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 会告 : 平成12年度東北支部優秀発表奨励賞の贈呈
平成12年度の東北支部優秀発表奨励賞は下記の6君に贈呈された.

ささきひろき
佐々木博規 君
 1975年5月15日生.99年岩手大学工学部電気電子工学科卒業,現在同大学院工学研究科博士前期課程電気電子工学専攻.

受賞論文「3 次元透視の計算機シミュレーションシステム」
(計測自動制御学会東北支部第187回研究集会で発表)
 本発表論文は,計算器断層法(CT:Computer Tomography)で得た投影データから直接ホログラムを生成する方法を考察し,ホログラム再生を含む一連の流れをコンピュータでシミュレーション実験したものである.CTの部分には,当研究室で提案しているFMR法(Fast Model Reconstruction)を用いた.この再構成法は,少数方向の投影データから高速で,ある程度の良好な画像を再構成する手法である.ホログラム作成までの従来の方法では,投影データから仮想物体への変換をCTで行い,つぎに仮想物体からホログラムへの変換を計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)で行う.考察した新しい方法では,あらかじめ計算しておくことができるFMR-CTの一般化逆行列と計算機合成ホログラムのデータ行列との掛け算により,2つの行列を統合して1つの行列で表現しておき,その行列に直接投影データを掛け算してホログラムを作成する.

みつやゆうすけ
三ツ谷裕輔 君
 1977年4月3日生.2000年東北大学工学部機械・知能系卒業,現在同大学院工学研究科博士課程前期2年の課程航空宇宙工学専攻.

受賞論文「四脚歩行ロボット搭載用両眼視覚システムの開発」
(計測自動制御学会東北支部第188回研究集会で発表)
 さまざまな物体が散在し,複数移動体を含むような動的複雑環境において,ロボットが周囲の環境と調和して活動するためには,大局的な情報を得るために周囲を見回す,局所的な情報を得るために対象物に近づくといったように,そのおかれた環境を知る必要がある.人間がそうであるようにロボットにおいても,視覚による移動物体の発見および追跡は,物体の位置や動き,形状などの種々の情報を収集するために重要な役割を果たす.本論文では,人間の視覚系にヒントを得ながら開発した能動両眼ロボットヘッドにより,実世界で環境と相互作用しながら行動する四脚歩行ロボットのための実時間視覚システムを構築した.ロボットヘッドの周波数応答実験では30Hzの正弦波に十分追従しており,NTSC ビデオフレームレートにも対応できることが示された.また,動的複雑環境中で有効な視覚的追跡機能の1つであるゼロ視差フィルタ法に基づく移動物体の追跡実験においては,背景が複雑であるにも関わらず追跡は十分に成功しており,この追跡アルゴリズムの有効性が確認された.

さいとういさむ
齊藤  勇 君
 1976年8月19日生.99年秋田大学鉱山学部機械工学科卒業,現在同大学大学院鉱山学研究科博士前期課程機械工学専攻.

受賞論文「片持送水管の能動制御系設計におけるセンサ・アクチュエータ配置と限界流速の関係」
(計測自動制御学会東北支部第189回研究集会で発表)
 弾性送水管内部を流体が流れると,ある流速(限界流速)以上でフラッタやダイバージェンスと呼ばれる不安定現象が生じる.これまで,センサやアクチュエータを用いた能動制御手法が,限界流速の向上に著しい効果があることを理論的及び実験的に示してきたが,それらの配置は必ずしも制御を行った際に限界流速が最大となるように決定はされていなかった.そこで本研究では,センサ・アクチュエータ配置と閉ループ限界流速の関係を,理論および実験により調べた.その際,すべての解候補において平等な比較を行うために,投入エネルギーに拘束条件を定めたコントローラを使用した.いくつかの拘束条件のもとで閉ループ限界流速の変化を調べた.その結果,拘束条件が小さい場合にはアクチュエータ配置の影響だけではなく,センサ配置の影響も大きくなることを明らかにした.また,閉ループ限界流速を最大化する最適なセンサ・アクチュエータ配置は,投入エネルギー量の変化に伴いその配置自身が変化することを明らかにした.

かみむらきょうこ
上村 馨子 君
 1976年11月28日生.山形大学工学部機械システム工学科卒業.現在,同大学院理工学研究科機械システム工学専攻.

受賞論文「視覚を有するマルチアームロボットシステムの研究」
(計測自動制御学会東北支部第190回研究集会で発表)
 産業用ロボットはあらゆる生産現場で適用されており,研究は盛んに行われてきた.その作業対象物は多くは,金属のような剛体であるが,近年は柔軟物を対象とした研究も行われるようになってきた.しかし,まだ十分なものとは言えず,たとえば,縫製作業等においては熟練技能者に頼っているのが現状である.そこで,本研究室では,視覚を有するマルチアームロボット制御システムを開発し,人が作業を行うのと類似した形態での縫製作業の自動化を目的とした,自動縫製システムの開発を行ってきた.本研究室で開発したこれまでの自動縫製システムでは,作業台上の布を上から押さえ付ける方法で布を操作し縫製を行っていたため,作業対象は1枚の布に限定されていた.そこで,複数枚の布の重ね合わせ縫製作業の実現を目的とした,把持機構を有するハンドと,正確な把持を行うための布位置認識システムを新たに開発した.この開発により,作業台上にある布の位置を認識し,その情報をもとに手先を移動させることで,確実な把持が可能となり,正確な複数枚の布の重ね合わせ縫製作業が実現した.以上のことから,開発したシステムの有効性を確認した.

もりしゅんすけ
森  俊介 君
 1977年11月21日生.2000年東北大学工学部電子工学科卒業,現在,同大学院情報科学研究科博士課程前期2年の課程情報基礎科学専攻.

受賞論文「知能集積システム用低消費電力リコンフィギャラブルVLSIプロセッサ」
(計測自動制御学会東北支部第191回研究集会で発表)
 知能ロボット等のリアルワールド応用知能集積システムを実現するには,高性能かつ低消費電力な専用プロセッサの開発が要求される.このような専用プロセッサの構成には,ユーザが,電気的に演算機能や配線機能を書き換え可能なFPGA などのプログラマブルデバイスを使用する方式と,LSI製造工程を伴う方式に分類される.前者は,後者に比べ開発コストが低く,開発期間が短い利点がある反面,後者に比べ処理性能が大幅に低く,消費電力が大きい問題点がある.このような背景から,本研究では従来のFPGAの問題点を克服する低消費電力かつ高性能なリコンフィギャラブルVLSIプロセッサの開発を目的としている.高性能化のためリアルワールド応用において良く用いられる算術演算主体の負荷分散型処理に着目し,算術演算に特化した演算モジュールと近傍モジュール間でのデータ転送に特化した相互結合網に基づくアーキテクチャを提案している.また,低消費電力化のためには停電源電圧化が最も有効であることに着目し,複数電源電圧を用いて演算モジュールごとに最適電源電圧を割当て可能なアーキテクチャに対するデータフローグラフの最適な割当てを行うハイレベルシンセシス法についても検討している.

かわだまなぶ
河田  学 君
 1976年2月10日生.99年京都工芸繊維大学工芸学部機械システム工学科卒業.現在,東北大学大学院情報科学研究科博士課程前期2年の課程システム情報科学専攻.

受賞論文「インテリジェントFES を利用した下肢麻痺者のための自転車の開発」
(計測自動制御学会東北支部第192回研究集会で発表)
 本研究では,筋系に電気刺激を与えることで失われた運動機能を再建するFES により,足を動作させ駆動する自転車の開発を行った.下肢麻痺者はこの自転車を利用することで骨や筋肉は強化され,さらに自発的行動意欲を向上させるといった効果が期待される.また従来のFES システムは人に常時付けて四肢の動きや発生した力を計測するよいセンサがないためオープンループシステムであったが,自転車にセンサを取り付けることでフィードバックすることを可能にした.実験は健常者で行いサイクリング運動は大腿四頭筋と大腿二頭筋の左右4つの筋肉を刺激して行うがクランク角全周にわたりトルクが発生できるように,クランク角度に応じて刺激する筋肉を切り替えて実現した.その際筋肉を刺激してから張力が発生するのに150msの遅れが生じるためクランク角速度に応じて本来刺激するクランク角度より150msだけ早く刺激した.つぎにクランクにおける角速度と角度とトルクの関係を,足をリンクモデルとして考えた理論と実験結果とにより近似し,コンピュータシミュレーションモデルを構成しその妥当性を確かめた.さらにこれを用いてギア比を決め患者用自転車の設計を行った.
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