SICE 社団法人 計測自動制御学会
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 会告 : 理事会だより−SICE学術講演会の国際化について−
   9月21日の常務理事会にて,企画委員会答申の「SICE学術講演会の国際化」が承認されました.その答申内容と,承認された背景について説明します.
会 長 江木 紀彦

答申内容
1. 2002年よりSICE学術講演会をAnnual Conferenceと呼ぶ.
2. Proceedingsは英語とする.
3. 投稿論文は査読を行う.
4. Conferenceでのofficial languageは日本語と英語とする.
5. 開催地は支部協議会で決定し,理事会が承認する.
6. 開催支部と国際委員会は協力して実行委員会とプログラム委員会を構成する.
7. 2002年の場合をモデルケースとしてAnnual Conferenceの手引き(査読の方法も含む)を作る.手引きは国際委員会が作成し,必要に応じて理事会の承認を得る.
8. 2〜3年に1度,海外発信を強く意図し,海外組織と連携した国際会議(SICE International Conferenceと呼ぶ)をAnnual Conferenceに併設する.
9. 学術講演会の国際化に伴い,それを支援し補完する活動を,部門を中心に強化する.

背景説明
 最近IT革命が国を挙げての話題となっている. IT革命とは,いろいろな人間社会の仕組みがコンピュータのシステムに置き換わっていくということに留まる単なる現象ではない.インターネットに代表される情報ネットワークの発達が国境というものを意識させなくなったという真の国際化でもある.このような時に,もし国家ということを意識し,それを守ろうとするときにこそ必要なことは,その国の固有の文化に閉じこもることではなく,その文化を世界に広め,その良さを積極的に示すことである.そして世界に発信する時に大事なことはその使用する言語が,世界の大部分に理解されるものでなければならないということである.
 さて,このことをSICEに当てはめるとどうなるであろうか.SICEの保持する計測と制御に関する知識・技術は高度なものであることは万人が認めている.しかしだからといって国際的にすべてが認められているのであろうか.少なくとも,ある領域,ロボット関係や制御理論等においては世界的に,またSICE一般としてはアジアの各国からは日本の高い技術力と重ね合わせて,高く評価されてはいる.しかし,実体は数多くの素晴らしい報文が日本語で書かれているために,それらを実際に読んでもらえ,かつ正しく理解されているとは考え難い.サイテーション・インデックスに取り上げてもらうこともできない.
 産業界においても,先進的なITのパッケージは主として米国で創出されている.したがって米国に行き,そこで直接情報交換をしない限り,少なくとも1年は遅れた最先端の技術を入手することになる.もともと英語の得意なシンガポール,インド,フィリピンの人達は別としても,韓国,中国,台湾の若い人達が,英語を駆使してまさにこのような場で積極的に最先端の情報を入手している.今や日本人だけが指をくわえてこのような風景を眺めているのである.それだけに,これからは日本語で技を磨き,英語で勝負することが必然となってきている.日本人にとって日本語によりものを考え,表現することが最上であることは論をまたない.日本語が捨てられないことは当然である.しかし,英語に対する慣れは促進する必要がある.
 このような状況の中でSICEとして,自分自身が発展し,かつ日本の社会に貢献するにはどうしたらよいであろうか.それは日本語を基盤として最高の学問・技術をさらに発展させることと,それらの成果を世界に向けて発信することである.今や,インターネット上を英語による情報が飛び交っている.その中でこの日本語の論文が素晴らしいといっても,次善の論文が英語で読めるならば,当然そちらが評価される.だから,発信は英語でなければならない.英語化という努力をすること,その場を学会に設定することで,大学,会社での英語化努力を支援していきたい.
 学術講演会という硬い名称をAnnual Conference(年次大会:会員が年1回集い,旧交を暖め,名前だけ知っている人と交流のできる会)として,学術的レベルは従来通りとし,ただProceedingsを英語化し査読をすることで,国際的に受発信することを,今年の理事会は決定した.
 たとえ一時は苦しくても,英語に関する感性が発達して,さほどの抵抗感なしで使えるようになり,そして年次大会がその機会を提供したという評価を将来得たいものである.今や英語はインターネット言語であり,結果として国際公用語である.英語化を避けて通れる時代ではない.
 嵐のように吹き始めた国際化をまだ感じていない方からは,英語化が壁となりSICEの発展を阻害すると言われている.日本語だけの世界に自己満足していればそれはそれで評価の対象となった古き良き時代の郷愁に捕らわれることは避けたい.日本語のぬるま湯に浸かっていることを咎めなかったがために,これから世界に向って羽ばたかねばならない前途ある人達の足枷となってしまう方を怖れている.
 会員皆様のご理解と,積極的なご協力を切にお願いする次第である.
以上
copyright © 2003 (社)計測自動制御学会