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お知らせ |
会告 : 2000年度計測自動制御学会学会賞の贈呈
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2000年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,小野敏郎副会長を委員長とする
学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞4件,技術賞5件,著述賞2件,
新製品開発賞2件が推薦され,理事会の決定を経て7月27日,第39回SICE学術講演会会場
(九州工業大学情報工学部)において,贈呈式を行い,受賞者に賞状・メダル・賞金が贈呈された.
[論文賞]4件 (論文賞・蓮沼賞) ○分光放射輝度の方向依存性を利用した放射率補正放射測温法
(計測自動制御学会論文集Vol.34,No.3で発表) 東洋大学・井内 徹君 ミツトヨ・鶴川屋智之君
東洋大学・田添 晃君 (論文賞・武田賞) ○観測器に基づくkernel表現を用いた非線形系のYoulaパラメトリゼーション
(計測自動制御学会論文集Vol.34,No.5で発表) 京都大学・藤本健治君,杉江俊治君
(論文賞) ○分散と協調に基づく熱延仕上ミル張力・ルーパ制御 (計測自動制御学会論文集Vol.35,No.1で発表)
川崎製鉄・浅野一哉君,山本和宏君, 市井康雄君,野村信彰君 (論文賞・友田賞)
○広視野Head Mounted Display開発のための周辺視における両眼知覚特性の解析と視差設定法の提案
(計測自動制御学会論文集Vol.34,No.2で発表) 山口大学・呉 景龍君,東芝・中畑政臣君,
立命館大学・川村貞夫君 [技術賞]5件 ○縦型3テスラ磁気共鳴装置 (International Symposium on the Neuroscience of Musicほかで発表)
新潟大学・中田 力君 GE横河メディカルシステム・塚元鉄二君,田坂信之君,
奈部谷 章君,佐藤博司君, Leon ter Beek君,今井 明君 ○フルイディックガスメーター
(第17回流体計測・第14回流体制御合同シンポジウムほかで発表) 東京ガス・温井一光君,酒井克人君,加藤秀男君,佐藤真一君
大阪ガス・岡田修一君,藤本訓弘君,日本ガス協会 岡村繁憲君 東邦ガス・木村幸雄君,佐藤孝人君
愛知時計電機・神田廣一君,長沼雅仁君, 関西ガスメーター・江下和雄君,金門製作所・大池英行君,友田馨一君
竹中製作所・松下雅彦君,東洋ガスメーター 堀 富士雄君 長野計器・吉池純一君,山武・大石安治君,矢崎計器・加藤力雄君
松下電器産業・白澤忠徳君,新村紀夫君 ○多目的輸送計画技術を応用した広域水運用システム
(計測自動制御学会論文集Vol.35,No.2ほかで発表) 日立製作所・加藤博光君,栗栖宏充君,瀬古沢照治君,舘 仁平君
○手術中の患者の血圧制御装置の作成 (第6回制御技術シンポジウムほかで発表)
京都大学・荒木光彦君,古谷栄光君,今村正之君, 小野寺 久君,韓 秀R君,森 健次郎君,白神豪太郎君
天理よろづ相談所・前谷俊三君 さかもと医院・坂本忠弘君 ○大型光学赤外線望遠鏡「すばる」の基本システム完成
(三菱電機技報,日本機械学会誌で発表) 三菱電機・伊藤 昇君,三神 泉君,宮脇啓造君,
清水岳男君,田畑真毅君,古藤 悟君, 堀内 弥君,岡本健一君 [著述賞]2件
○メカトロ・エンジニアリング(10) 制御技術 小山工業高等専門学校・黒須 茂君,三田純義君(共著)
○システムと制御の数学 京都大学・山本 裕君 [新製品開発賞]2件 ○オープン・オートメーション・システム Industrial-DEO
山武産業システム(株)殿 ○アラーム解析ツール&バーチャルプリンタ 三菱化学エンジニアリング(株)殿
[学術教育賞] 該当なし 受賞者略歴および受賞論文概要 いうち とおる 井 内 徹 君 (正会員)
1966年九州工業大学制御工学科卒業,68年東京工業大学大学院修士課程(制御工学専攻)修了,
同年八幡製鐵(株)(現 新日本製鐵(株))に入社,東京研究所などで放射測温,レーザー光加工,
センサ技術などの研究・開発に従事.91年より東洋大学工学部教授.応用物理学会,OSA,
SPIEなどの会員.理学博士. つるかわや ともゆき 鶴川屋 智 之 君 (正会員)
1972年8月29日生.95年東洋大学工学部機械工学科卒業,97年同大学大学院工学研究科
博士前期課程(機械工学専攻)修了,同年(株)ミツトヨに入社,98年より(有)共立精機に勤務.
97年度本会学術奨励賞を受賞.日本機械学会の会員. たぞえ あきら 田 添 晃 君 (正会員)
1973年生.96年東洋大学工学部機械工学科卒業,98年同大学大学院工学研究科博士前期課程
(機械工学専攻)修了,同年島田理化工業(株)に入社.現在,同社東京製作所で設計開発業務に従事.
受賞論文 「分光放射輝度の方向依存性を利用した放射率補正放射測温法」 本論文は,金属面および酸化金属面が放射輝度に関してLambertの法則に従わない放射体で,
かつその特性が互いに逆方向にあることを利用した放射率補正放射測温法を提案したものである.
本手法は,2つの異なる方向から分光放射輝度を測定し,その比Reを用いて測定対象の
分光放射率ないし分光放射率比を補正するもので,それぞれελ−補正放射測温法,
εR−補正放射測温法と呼んでいる.これらの手法は酸化プロセスにおける金属の
温度計測技術として有望であることを確証した. 本方法において,放射計の第1の設定角度θ1は試料面法線方向から30゜まで,
第2の設定角度θ2は,70゜から80゜の範囲が分解能と実用的な観点から望ましい.
金属表面の酸化膜成長に伴って放射率の干渉効果による放射率変動が本測定原理の適用を
制約するが,指標Reを求める波長域を長波長にすることで干渉現象生起を大幅に緩和することできる.
試料表面粗さ変化などによる特性の変化を定量的に解析すること,およびその影響を緩和する手法を
見いだすことなどが今後に残された課題である. ふじもと けんじ 藤 本 健 治 君 (正会員)
1996年京都大学大学院修士課程応用システム科学専攻修了,97年同大学院博士後期課程を中途退学,
現在京都大学大学院情報学研究科助手.99〜2000年オーストラリア国立大学およびデルフト工科大学
客員研究員.非線形制御の研究に従事.システム制御情報学会,IEEE の会員.
すぎえ としはる 杉 江 俊 治 君 (正会員) 1978年京都大学大学院修士課程(精密工学専攻)修了,84年同博士後期課程研究指導認定退学,
78〜80年日本電信電話公社勤務,84年大阪府立大学工学部助手,88年京都大学工学部助教授を経て,
現在情報学研究科教授.ロバスト制御,システム同定,非線形制御等の研究に従事(工学博士).
システム制御情報学会,日本ロボット学会,IEEE の会員. 受賞論文 「観測器に基づくkernel表現を用いた非線形系のYoulaパラメトリゼーション」
非線形系の kernel 表現とは,線形制御理論において重要なツールの1つである左既約分解を
一般化したものであり,非線形系の解析・設計において重要な役割を果たすものである.
本論文では,kernel 表現の満たすべき性質の1つとして可検出性という概念を導入している.
これは線形系での左既約分解の状態空間表現が状態観測器を用いて特徴づけられることに注目して,
kernel 表現にもこの概念を拡張したものである.可検出な kernel 表現を用いることで
非線形既約分解を用いたものとしてははじめて,状態空間でのすべての安定化補償器の
パラメータ表示を与えている.また従来の状態空間アプローチにおける非線形安定化補償器の
パラメータ表示に関する結果は非線形の状態観測器に基づいており,可検出な kernel 表現の
状態空間表現もまた状態観測器として実現されることから,本論文の結果は従来まったく
異なるものであった入出力写像によるアプローチと状態空間アプローチを結びつけるものとなっている.
あさの かずや 浅 野 一 哉 君 (正会員) 1983年東京大学大学院工学系研究科修士課程(計数工学)終了,同年川崎製鉄(株)入社,
鉄鋼プロセス制御の研究開発に従事.現在,技術研究所加工・制御研究部門主任研究員.
93〜94年Caltech,94〜95年ETH客員研究員.95年本会技術賞・友田賞受賞. やまもと かずひろ
山 本 和 宏 君 (正会員) 1992年早稲田大学理工学研究科修士課程(電気工学)修了,同年川崎製鉄(株)入社,
技術研究所加工・制御研究部門において,鉄鋼の圧延プロセス制御の研究開発に従事.96年退職.
いちい やすお 市 井 康 雄 君 (正会員) 1980年早稲田大学理工学研究科修士課程(電気工学)修了,同年川崎製鉄(株)入社,
以来,千葉製鉄所制御技術部にて熱延,冷延プロセス制御システムの建設,設計に従事.
現在,制御技術室主査. のむら のぶあき 野 村 信 彰 君 (正会員) 1980年東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程(材料科学)修了,同年川崎製鉄(株)入社,
以来,千葉製鉄所熱間圧延部にて,ホットストリップミルの設備建設改造,操業改善に従事.
現在,薄板管理室主査. 受賞論文 「分散と協調に基づく熱延仕上ミル張力・ルーパ制御」
熱延仕上ミルにおける圧延材の張力とルーパ角度の制御は,安定な圧延操業のために重要である.
従来,張力とルーパの間の干渉が制御上の問題点とされ,さまざまな多変数制御が適用されてきたが,
構造が複雑で現場調整に課題があった.本論文では,この干渉を制御対象の不確かさとみなして
構造化特異値を用いて指数化し,適切な入出力の組合せを選べば干渉の影響は無視でき,
分散制御が適用可能であることを示す.つぎに,この結果に基づき,張力とルーパの制御を独立させ,
それぞれの制御系に2自由度IMCを適用した分散制御系を提案する.さらに,ルーパ系に
インピーダンス制御を導入し,ルーパを張力変動に対して協調的に動作させることにより,
さらなる張力変動抑制を図る.このように制御要素をモジュール化することにより,
従来の多変数制御系では困難であったコントローラの個別の設計,調整,保守を可能としている.
本制御系は,千葉第3熱間圧延工場に適用され,安定稼働,品質向上,世界初の熱間連続圧延の実現に
大きく寄与している. ご けいりゅう 呉 景 龍 君 (正会員) 1994年京都大学大学院工学研究科博士課程終了,同年立命館大学理工学部助手,
97年山口大学工学部講師,99年香川大学工学部助教授となり,現在に至る.人間工学,
バーチャルリアリティ工学,認知科学,バイオ・インフォーマティクスなどの研究に従事.
工学博士.93年IEEE神経回路網国際会議論文賞受賞.システム制御情報学会,日本機械学会,
日本ロボット学会,IEEEなどの会員. なかはた まさおみ 中 畑 政 臣 君 (正会員)
1972年9月26日生.97年立命館大学大学院理工学研究科情報システム学専攻修士課程修了,
同年(株)東芝生産技術研究所(現生産技術センター)に入社,現在に至る.在学中,
バーチャルリアリティ,立体知覚に関する研究に従事.現在,製造プロセス全般の研究開発に従事.
かわむら さだお 川 村 貞 夫 君 (正会員) 1981年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業,86年同大学基礎工学部機械工学科博士課程修了,
同年同大学基礎工学部助手,87年立命館大学理工学部助教授,95年同教授, 96年より同学部ロボティクス学科教授となり,現在に至る.90年9月より91年9月まで
カナダトロント大学客員研究員.98年より立命館大学総合理工学研究機構副機構長.
工学博士.ロボティクスや身体運動科学に関するの研究と教育に従事.87年本会論文賞,
同年システム制御情報学会論文賞,92年財団法人油空圧振興財団論文表彰. 受賞論文 「広視野Head Mounted Display開発のための周辺視における
両眼知覚特性の解析と視差設定法の提案」 HMD(Head Mounted Display)は人工現実感(Virtual Reality)工学において幅広く
応用されつつある.ところが,それらのHMDでは両眼視差が視野の全領域にわたって
均等的な値を設定しているので,広視野HMDを構築するときに種々の問題が生じると予想される.
本研究では,広視野HMDの視野中心から周辺にわたって自然な立体感を実現するため,
周辺視における両眼奥行知覚特性と両眼明るさ知覚特性を測定する.測定結果より,
両眼立体感度および両眼明るさ感度は網膜中心窩より周辺に移るに伴い低下することが示される.
ただし,両眼奥行感度に比べ,両眼明るさ感度の低下はかなり緩やかである.
この結果は,広視野HMDを設計するとき網膜周辺に映る映像に視差を 設定する必要がないことを示している.しかし,逆に大きな視差を網膜周辺に与えると
映像が立体的に見えずに2重に見える問題点を確認した.そこで,広視野HMDの両眼視差を
適切に設定するため,実験結果の解析より両眼奥行知覚特性の数理モデルを示し,
そのモデルを用いて,広視野HMDのための視差設定法を提案した.提案した方法では,
眼球の運動にしたがって視差重みウィンドウが移動し,常に適切な視差が設定される.
このような視差設定法より2重映像の発生が除去され,広視野・高臨場感の 立体映像の呈示が可能になる.
なかだ つとむ 中 田 力 君 1976年東京大学医学部医学科卒業.78年渡米,カリフォルニア大学助教授,
准教授を経て92年カリフォルニア大学デイビス医学部教授.96年帰国,新潟大学脳研究所教授,
現在,同大学脳疾患解析センター長.これまでに筑波大学医学部,東北大学学際研究センター,
カリフォルニア工科大学などの教授を併任. つかもと てつじ 塚 元 鉄 二 君 (正会員)
1988年東京都立大学大学院理学系研究科物性物理学専攻修士課程修了, 同年横河メディカルシステム(株)(現GE横河メディカルシステム(株))入社,
96年より同社MR研究室長,現在に至る.磁気共鳴診断装置の開発,撮像法の研究に従事.
ISMRM,日本磁気共鳴医学会などの会員. たさか のぶゆき 田 坂 信 之 君
1992年早稲田大学理工学部電子通信工学科卒業,94年同大学大学院理工学研究科
電気電子通信工学専攻修士課程修了,同年横河メディカルシステム(株) (現GE横河メディカルシステム(株))入社,磁気共鳴画像診断装置の撮像法,
画像処理の研究に従事,現在に至る.日本磁気共鳴医学会の会員. なべたに あきら
奈部谷 章 君 1995年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了,
同年GE横河メディカルシステム(株)入社,磁気共鳴画像診断装置のプローブ技術の研究開発に従事,
現在に至る.日本磁気共鳴医学会の会員. さとう ひろし 佐 藤 博 司 君
1987年埼玉大学理学部物理学科卒業,同年横河メディカルシステム(株) (現GE横河メディカルシステム(株))入社,磁気共鳴画像診断装置の撮像法の研究に従事,
現在に至る.日本磁気共鳴医学会の会員. Mr. Leon ter Beek Ingenieur in Molecular Sciences, University of Wageningen, Netherlands,
1988. PhD in Chemistry, University of British Columbia, Canada, 1994,
with the thesis of " NMR on solutes in nematic liquid crystals ".
NMR staff member of the University College Dublin ,Ireland, 1994-1996.
Honorary Visiting Scientist at the University of British Columbia,
Ireland, 1996. Research Engineer at the NIMC, Tsukuba, 1996-1998.
Research associate, MR Laboratory in GE Yokogawa Medical Systems, Ltd.,
1998. Member of ISMRM. いまい あきら 今 井 明 君 (正会員) 1989年電気通信大学機械工学科卒業,同年横河メディカルシステム(株)
(現GE横河メディカルシステム(株))入社,磁気断層診断装置のソフトウェア開発に従事,
98年より磁気断層診断装置の機構設計に従事し,現在に至る. 受賞論文 「縦型3テスラ磁気共鳴装置」
脳科学,特に「こころ」の探求は人類に残された最後の基礎科学と言われる.
脳の世紀と呼ばれる21世紀を迎えるにあたって,高次脳機能の詳細解析を可能とする
非侵襲的機能画像装置の開発は,最重要課題のひとつとされる.機能的磁気共鳴画像
(ファンクショナルMRI)は空間分解能,時間分解能の両面において既存の機能画像法を
遙かにしのぐ技法であり,ファンクショナルMRIの最適化を特異的にターゲットとした
磁気共鳴装置の開発が計画された. ヒトは寝そべったまま機能することはほとんどない.事実,脳機能は脳循環の自動制御に
深い関係があり,脳循環そのものは体位に大きく影響を受ける.病態生理学においては
もちろんのこと,正常脳機能においても「脳のおかれた位置」はその機能に大きな影響を
与えることは明白である.にもかかわらず,これまでの機能画像装置はすべて「横型」の装置であった.
これは機能画像に用いられる装置が臨床における諸条件を満たすために開発された装置で
あることに由来する.ヒトが本来の姿で機能することのできる「縦型」装置の重要性は明白である.
磁場強度は3テスラを選択した.これまでの経験をもとにそれぞれの磁場強度の利点と欠点とを
考慮した上で,3テスラが最も有効性の高い磁場強度と判断された結果である.
加えて,自由度の高い作業空間を確保する目的から頭部専用の磁石として設計を行った.
完成した装置は,現在,世界で唯一の縦型装置であるばかりでなく,すでに既存の装置では
獲得不可能であった情報を与える最先端装置として稼働している. ぬくい かずみつ
温 井 一 光 君 (正会員) 1960年東京電機大学高等学校電気計測科卒業,同年東京ガス(株)入社,自動制御,計測関連に従事,
現在に至る.65年東京電機大学電気通信工学科卒業. さかい かつひと 酒 井 克 人 君 (正会員)
1983年千葉大学大学院工学研究科修士課程電子工学専攻修了,同年東京ガス(株)入社,
技術研究所でフルイディック素子,フローセンサの基礎研究を行い,その後商品技術開発部に移籍し,
フルイディックガスメータの開発に従事,現在に至る. かとう ひでお 加 藤 秀 男 君
1973年福島県立川俣高校機械科卒業,同年東京ガス(株)入社,ガスメータの技術管理に従事,
91年からフルイディックガスメータの開発に従事,現在に至る. さとう しんいち
佐 藤 真 一 君 (正会員) 1992年上智大学理工学部機械工学科卒業,同年東京ガス(株)入社,93年からフルイディック
ガスメータの開発に従事,現在改良型フルイディックメータの開発中. おかだ しゅういち
岡 田 修 一 君 (正会員) 1993年大阪大学大学院工学研究科電気工学専攻博士前期(修士)課程終了,
同年大阪ガス(株)入社,新型ガスメーターの開発に従事. ふじもと のりひろ
藤 本 訓 弘 君 1996年神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程卒業,同年大阪ガス(株)入社,
保安機能を搭載したガスメーター(マイコンメーター)の設計・開発に従事. おかむら しげのり
岡 村 繁 憲 君 1979年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了,同年大阪ガス(株)入社,
82年より同社商品開発部にて,ガス安全システム,ガスメーター等の開発に従事,
98年より(社)日本ガス協会出向中. きむら ゆきお 木 村 幸 雄 君 (正会員)
1983年名古屋工業大学工学部電気工学科卒業,同年東邦ガス(株)入社, 現在,同社総合技術研究所にて,フルイディック式ガスメーターなど
流量計測に関わる研究開発に従事. さとう たかと 佐 藤 孝 人 君 (正会員)
1989年名古屋工業大学工学部電気情報工学科卒業,92年同大学大学院博士前期課程修了,
同年東邦ガス(株)入社,以来,フルイディック式ガスメーターなど流量計測に
関わる研究開発に従事. かんだ こういち 神 田 廣 一 君 (正会員) 1976年名古屋大学工学部機械科卒業,同年愛知時計電機(株)入社,
フルイディックガスメーターなど主に流量計測器の開発に従事,現在に至る.
ながぬま まさひと 長 沼 雅 仁 君 1981年名城大学理工学部電気工学科卒業,同年愛知時計電機(株)入社,
フルイディックガスメーターなど主に流量計測器の電子回路部の開発に従事,現在に至る.
えした かずお 江 下 和 雄 君 (正会員) 1975年大阪府立大学工学部応用化学科卒業,87年関西ガスメータ(株)入社,
システム開発,ガスメーター関連の研究開発に従事,96年よりフルイディック
ガスメーター開発担当となり,現在に至る. おおち ひでゆき 大 池 英 行 君 (正会員)
1973年武蔵工業大学工学部機械工学科卒業,同年(株)金門製作所入社, 容積式気体流量計・オイル流量計等の設計,開発に従事.その後フルイディック式
ガスメーターの開発に従事し,現在に至る. ともだ けいいち 友 田 馨 一 君 (正会員)
(株)金門製作所入社勤務,関西研究所主任研究員(課長格),品質保証担当.
90年,英国ナショナルエンジニアリングラボラトリ−(NEL)にて,流体理論, 流れ解析法,試験システムなどの学術研究会参加経験をもつ.ガスメ−タ−
製造設備の生産技術を従事後,ガスメ−タ−およびガス関連機器の設計,開発,
ならびに開発製品の品質保証業務に従事.現在に至る. まつした まさひこ 松 下 雅 彦 君 (正会員)
1970年立命館大学理工学部電気科卒業,同年(株)竹中製作所入社, 膜式ガスメーター,フルイディック式ガスメーターなどの開発,設計に従事,現在に至る.
ほり ふじお 堀 富士雄 君 (正会員) 1975年富山工業高等専門学校機械工学科卒業,同年東洋ガスメーター(株)入社,
品質システム,自動検針システム,集中監視システムの研究開発を経て流量計開発に従事,現在に至る.
よしいけ じゅんいち 吉 池 純 一 君 1974年明治大学工学部電気工学科卒業,同年(株)長野計器製作所(現長野計器(株))入社,
主に流量計測回路,圧力センサ,圧力制御機器等の開発設計に従事,現在に至る.
おおいし やすはる 大 石 安 治 君 (正会員) 1982年長岡技術大学大学院電気電子機器工学修士課程修了,
同年山武ハネウエル(株)(現(株)山武)入社,電子制御機器の開発に従事, 88年からマイクロフローセンサを応用した製品開発を行い,現在に至る.
かとう りきお 加 藤 力 雄 君 (正会員) 1972年神奈川大学工学部機械工学科卒業,同年矢崎計器(株)入社,
生産技術部門にて設備設計に従事,その後ガス機器開発部門に移籍し,現在に至る.
しらさわ ただのり 白 澤 忠 徳 君 1981年九州大学工学部電気工学科卒業,同年松下電器産業(株)入社,
ガス安全機器の設計・開発に従事,現在に至る. しんむら のりお 新 村 紀 夫 君
1980年北海道大学工学部機械工学科卒業,同年松下電器産業(株)入社, ガス燃焼機器・ガス安全機器の設計・開発に従事,現在に至る.
受賞論文 「フルイディックガスメーター」 都市ガスの取引用として,現在膜式のガスメータが使われている.しかし,
近年のガス機器の高機能化や小型化,コストダウンに対する期待から新しいガスメータが
切望されていた.そこで,流体振動現象を利用したフルイディック素子と, 熱式のフローセンサを組合せたフルイディックガスメータの開発を行った.
フルイディック素子ではこれまでにない広い測定レンジ(100L/h〜12000L/h)で
優れた直線性(実使用レンジで±3% of Reading以内)を達成し, フローセンサも3L/h〜400L/hを低消費電力で測定することができる.
また,実使用環境においては,ガス機器等による圧力変動がフルイディック発振に
与える影響を解明した.さらに,これらの圧力変動下においても正確な計量が
できるような対策を検討しフルイディックガスメータを実用化し, 平成10年7月にガスメータとしての型式承認を受けて,
日本初の電子化ガスメータとして平成10年10月より市場導入をはかった. 従来の膜式メータでは実現できなかった,瞬時流量が計測できるため,
特に安全機能の向上に役立っている. かとう ひろみつ 加 藤 博 光 君 (正会員)
1995年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了,同年(株)日立製作所入社,
運用計画システム,情報制御システムなどの研究開発に従事.情報処理学会の会員.
くりす ひろみつ 栗 栖 宏 充 君 (正会員) 1988年京都大学大学院工学系研究科修士課程修了,同年(株)日立製作所入社,運用計画システム,
情報制御システムなどの研究開発に従事.97年から98年まで米国カリフォルニア大学
ロサンゼルス校客員研究員.IEEE,電気学会の会員. せこざわ てるじ 瀬古沢 照 治 君 (正会員)
1979年東北大学大学院工学系研究科修士課程修了,同年(株)日立製作所入社,
自動車エンジン,上下水道・河川,プラントなどの運用監視制御システムの研究開発に従事.
工学博士.95年本会学会賞(技術賞).電気学会などの会員. たち にへい 舘 仁 平 君 (正会員)
1975年金沢大学工学部電気工学科卒業,同年(株)日立製作所入社, 制御用計算機を用いた上下水道監視制御システムなどの設計に従事.電子情報通信学会の会員.
受賞論文 「多目的輸送計画技術を応用した広域水運用システム」 水を融通する運用計画を立案する際に,従来からネットワーク輸送最適化問題に
帰着する手法があった.この場合,数理モデルに対して効率よく適切なパラメタを
設定することが困難であり,試行錯誤に頼りがちになることが課題であった.
また,いったん良いパラメタを設定できても,これを固定的に用意しておくだけでは,
渇水時や災害時に対処するための計画を柔軟に立案することが困難であった.
今回開発した広域水運用システムでは,水運用計画立案の際に目的として考える
配水池水位の回復を制約化することにより,日量を扱う概要レベルと, 時間量を扱う詳細レベルに計画問題を階層化できることを利用した.
階層化することで,概要レベルにおいて対話型多目的計画法を応用し, 詳細レベルで用いるモデルパラメタを自動生成する手法を提案した.
また,実際の導送水系のデータを用いて数値シミュレーションを行って システムの性能を評価し,実用レベルでの有効性を示した.
あらき みつひこ 荒 木 光 彦 君 (正会員) 1966年京都大学工学部電子工学科卒業,71年同博士課程修了,京都大学工学博士.
71年京都大学工学部助手,86年同教授,96年同大学院工学研究科教授.大規模システム理論,
多変数系の設計法,むだ時間系の制御,2自由度PID制御,ディジタル制御系,
同期発電機の制御,ファジィ制御系の安定性,手術中の血圧制御,スケジューリング問題などの
研究に従事.IEEE,電気学会,システム制御情報学会,人工臓器学会,日本鉄鋼協会などの会員.
ふるたに えいこう 古 谷 栄 光 君 (正会員) 1989年京都大学大学院工学研究科電気工学第二専攻修士課程修了,
同年詫間電波工業高等専門学校助手,91年京都大学工学部助手, 98年7月京都大学大学院工学研究科電気工学専攻講師となり現在に至る.
手術中の血圧制御・周術期の血糖値制御などの医用生体制御,むだ時間制御系,
スケジューリング問題などの研究に従事.京都大学博士(工学).電気学会, システム制御情報学会,人工臓器学会などの会員.
いまむら まさゆき 今 村 正 之 君 1965年京都大学医学部医学科卒業,73年米国ハーバード大学外科研究員,
76年京都大学第一外科助手,81年同講師,93年同教授.専門は消化器外科学(膵臓,食道の外科).
88年日本医師会医学助成費受賞,89年第6回国際内分泌外科学会賞受賞 (Zollinger-Ellison症候群の外科的治療).医学博士.
おのでら ひさし 小野寺 久 君 1978年京都大学医学部医学科卒業,83年同大学第一外科医員,
89年ロンドン大学セントメアリー病院外科主任研究員,91年京都大学第一外科助手,
98年同講師.専門は消化器外科学(大腸外科,生体制御工学,医療統計). 手術中の自動血圧制御や血糖値制御,麻酔深度の最適制御,
肛門機能の機械的制御など生体の多方面の最適制御につき研究中である.医学博士.
かん しゅうげん 韓 秀 火玄 君 1988年大阪医科大学医学部医学課程卒業,89年京都大学医学部附属病院で外科研修,
90年国立八日市病院外科医師として勤務.95年京都大学大学院医学研究科腫瘍外科学にて研究に従事.
99年京都大学医学部附属病院外科医員,2000年松江赤十字病院外科医師,現在に至る.
消化器外科を専攻. もり けんじろう 森 健次郎 君 1964年京都大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士),
同年京都大学助手医学部付属病院(麻酔科),65年アメリカ合衆国カリフォルニア大学
ロスアンゼルス校Postdoctoral Research Pharmacologist(脳研究所), 67年東京女子医科大学講師,68年同助教授,71年京都大学助教授(医学部麻酔学講座),
73年同教授,95年同大学院医学研究科教授に配置換,97年パリ大学教授併任 (客員,フランス政府教育省招聘),98年京都大学定年退職,99年パリ大学定年退職,
同年高松赤十字病院病院長.麻酔学の臨床研究のかたわら, 麻酔と脳の機能に関する研究に従事.Brain Death(Churchill Livingston社,共著)
などの米英独の出版社からの著書(共著)13のほか,国際学術誌の原著論文500編以上,
国際学術誌編集委員5,海外学会,国際学会の招待講演,特別講演等多数. 英国麻酔学ロイアルカレジフェロー(名誉).
しらかみ ごうたろう 白 神 豪太郎 君 1984年京都大学医学部医学科卒業,同年同大学医学部麻酔科医員,
85年自治医科大学麻酔科ジュニア・レジデント,86年京都市立病院麻酔科医員,
91年京都大学医学部附属病院手術部助手,2000年同大学大学院医学研究科器官
外科学講座臨床病態生理学講師となり現在に至る.その間,97年には Harvard Medical SchoolのResearch Fellow,98年には
University of Virginia Health Sciences Centerの Research Associateを勤める.京都大学博士(医学).
American Society of Anesthesiologists,International Anesthesia Research Society,
日本麻酔学会などの会員. まえたに しゅんぞう 前 谷 俊 三 君 1958年京都大学医学部医学科卒業,85年同大学医学部附属病院手術部助教授,
89年同大学医学部外科学教室助教授,90年同大学生体医療工学研究センター教授,
96年天理医学研究所副所長となり,現在に至る.消化器外科,臨床統計解析,
制御工学の臨床応用に関する研究に従事.医学博士.Surgical Oncologyと International Journal of OncologyのEditorial Board,
癌の集学的治療研究財団理事,手術手技研究会顧問, American Society of Colon and Rectal Surgeons,
Surgical Infection Societyなどの会員,日本消化器外科学会の特別会員.
さかもと ただひろ 坂 本 忠 弘 君 1985年滋賀医科大学卒業,86年公立甲賀病院勤務,
90年京都大学医学部第一外科にて自動血圧制御装置に関する研究を開始, 96年国立療養所南京都病院勤務,97年同外科医長,98年さかもと医院開業,
現在に至る.京都大学博士(医学). 受賞論文 「手術中の患者の血圧制御装置の作成」
手術中の患者の血圧を計算機でオンライン制御する装置を作成し, 臨床応用した.その結果,手術時間が約1/2に短縮され,輸血量が約2/3に減少した.
装置の概要はつぎの通りである.ベッドサイドモニターから,観血的動脈血圧
(最高・最低・平均血圧、脈圧),心拍数,酸素飽和度,および中心静脈圧を3秒周期で得る.
また,経時的尿量と出血量を30分周期でキーボードより手動入力する. 操作端としては降圧剤注入用微量注入ポンプと輸液注入ポンプを用い,
操作量はそれぞれの注入速度とする.制御装置は,平均動脈圧および輸液の制御と危険回避動作を行う.
平均動脈圧制御には状態予測サーボを,輸液制御と危険回避動作には, 部分的に疑似ファジィ推論を含む論理判断を使っている.
いとう のぼる 伊 藤 昇 君 1973年京都大学工学部機械工学科卒業,75年東京大学大学院工学系研究科
機械工学専攻修士過程終了,同年三菱電機(株)入社,衛星通信地上局アンテナ機械系開発設計,
大型天文観測システム等の開発設計等に従事.2000年全国発明表彰恩師発明賞受賞.
日本機械学会の会員. みかみ いずみ 三 神 泉 君 (正会員) 1978年東北大学工学部機械工学科卒業,同年三菱電機(株)入社,
大型電波天文観測機器機械系開発設計,衛星通信システムの開発設計, 大型光学望遠鏡のシステム開発設計等に従事.2000年全国発明表彰恩師発明賞受賞.
みやわき けいぞう 宮 脇 啓 造 君 1981年大阪大学大学院工学研究科産業機械工学専攻修士過程修了,
同年三菱電機(株)入社,衛星通信地上局アンテナ,大型天文観測機器等の機械系開発設計に従事.
2000年全国発明表彰恩師発明賞受賞.日本機械学会の会員. しみず たけお 清 水 岳 男 君 (正会員)
1984年大阪大学工学部機械工学科卒業,同年三菱電機(株)入社, 衛星通信地上局アンテナ,大型天文観測機器等の制御系開発設計に従事.電子情報通信学会の会員.
たばた まさき 田 畑 真 毅 君 1982年京都大学工学部航空工学科卒業,84年東京大学大学院工学系研究科
航空学専攻修士過程終了,同年三菱電機(株)入社,衛星搭載用展開構造, および光学望遠鏡・レーザー機器の能動光学システム等の研究開発に従事.
日本機械学会,日本航空宇宙学会の会員. ことう さとる 古 藤 悟 君
1980年大阪大学大学院工学研究科産業機械工学専攻修士過程修了, 同年同大学工学部機械工学科助手,81年三菱電機(株)入社,
熱流体シミュレーション技術,熱流体可視化・計測技術の開発, 電気機器の電熱・流体制御技術の開発に従事.日本機械学会,
日本電熱学会,流れの計測懇談会などの会員(工学博士). ほりうち やすし 堀 内 弥 君
1993年大阪大学工学部電子制御機械工学科卒業,同年三菱電機(株)入社, 宇宙関連機器や産業機器などの高速・高精度制御系の研究・開発に従事.
おかもと けんいち 岡 本 健 一 君 (正会員) 1989年大阪府立大学大学院博士前期過程修了,同年三菱電機(株)入社,
構造物の振動解析・制御関連の研究開発に従事.日本機械学会,システム情報制御学会の会員.
受賞論文 「大型光学赤外線望遠鏡「すばる」の基本システム完成」 1枚構成の主反射鏡をもつ光学望遠鏡として世界最大である,
有効口径8.2mのすばる望遠鏡がハワイ島マウナケア山頂に完成し, 試験観測で,0.2秒角という世界最高の空間分解能を達成し世界を驚かせた.
大型光学望遠鏡の建設経験のない日本がこのような成果を生んだ背景には, 最新の機械工学や制御工学を駆使した独特のシステムコンセプトがある.
このシステムコンセプトには,力フィードバック制御で261式のアクチュエータから
精密な支持力を主鏡に与える主鏡の形状制御方式,ドーム自身が出す陽炎を抑える
ドーム形状と風速制御方式,有害な熱変形を最小化する主鏡鏡材の製造方式,
風速7/秒の風外乱下で望遠鏡を星に追尾させるためのオブザーバーを用いた 高精度ダイレクトドライブ制御方式,観測や機能維持を支援するさまざまな
保守支援方式等が含まれている.課せられた光学性能のサブシステムへのブレークダウン過程,
技術的問題点,その問題解決のために生み出されたアイデアやブレークスルー技術について紹介した.
くろす しげる 黒 須 茂 君 (正会員) 1962年新潟大学工学部機械工学科卒業,70年慶應義塾大学工学部(計測工学科)助手,
74年同大学大学院博士課程(計測工学専攻)退学,同年小山工業高等専門学校講師,88年教授.
78〜80年カリフォルニア大学(バークレー校)客員研究員.現在,SICE力学量計測部会主査,
米国機械学会(ASME),米国暖房冷房空調学会(ASHRAE)などの会員.システム制御,
ジャイロセンサの研究に従事(工学博士). みた すみよし 三 田 純 義 君 (正会員)
1973年群馬大学工学部機械工学科卒業,75年群馬大学工学研究科機械工学専攻修了,
同年東京工業大学工学部付属工業高等学校機械科教諭,95年小山工業高等専門学校
機械工学科助教授,現在同校助教授.日本機械学会,日本設計工学会,日本科学教育学会,
日本産業教育学会などの会員.メカトロニクスに関する教材開発, マンマシンインタフェースに関する研究に従事.
受賞図書 「メカトロ・エンジニアリング(10) 制御技術」 メカトロニクス関連の入門者はこれまで少なからずあるが,本書は電気やコンピュータに
アレルギーを示す機械系の学生との対話を通して,理解しづらい個所を把握し,
また納得するに至る筋道を学生とともに考え・工夫した教授法の集大成である.
本書は,このような背景のもとに,メカトロの原点であるモータを制御する技術を中心に,
新しい技術を反映させながら,サーボ機構の基礎と応用について解説した実用書である.
パソコンの性能向上と低コスト化は著しく,それにともなって, 制御系をシミュレーションできる市販のソフトが容易に利用できるありがたい時代になった.
しかしながら,方法論だけではものはできない.技術は,“ものづくり”であり,
今まで世の中になかったものを生みだすことである.技術にとって大切なことは,
まず「こういうことを実現してみたい」という構想(空想,妄想であってもよい)
をもつことである.それを実現する方法はみんなで知恵を絞ればよい. また,現代はLSIの技術革新にともなって,技術者が望めば大体のことは実現できるのである.
大切なことはお手本のない未知の課題に挑戦するパワーである.読者に, “ものづくり”とはいったい何なのかを考えるひとつの機会になってほしいと願っている.
やまもと ゆたか 山 本 裕 君 (正会員) 1950年3月29日生.72年京都大学工学部数理工学科卒業,74年同大学院修士課程修了.
78年フロリダ大学Ph.D.(数学).同年京都大学数理工学科助手,87年同大学助教授を経て,
現在同大学情報学研究科教授.実現理論,無限次元系,繰り返し制御,学習システム,
サンプル値制御などの研究に従事.96年IEEE CSS G. S. Axelby Outstanding Paper Award,97年本会論文賞武田賞などを受賞.
受賞図書 「システムと制御の数学」 本書はこれまでの工業数学の成書とはことなり,最近の制御理論における数学的理論の
必要性に配慮して現代的な関数空間の基本的取り扱いを通して,さまざまな数学的道具立てを
整理して伝えることを主眼としている点でこれまでにない特色をもっている.
全体は9章から成るが,まず1章では線形空間の基礎知識の復習がなされている.
ベクトル空間の概念の再考や商空間,双対空間などの取り扱いは,他に見られない特徴である.
第2章以降ではノルム空間やHilbert空間とともに,1章で扱われた双対性の一般化として
双対空間や線形作用素の空間の理論が5章まで展開される.双対空間や線形作用素の空間の
取り扱いは制御理論家にとって非常に参考になろう.6章からはこれらの発展として
Schwartzの超関数,Fourier解析,Laplace変換などが取り上げられる. ここでの大きな特色はFourier変換やLaplace変換を超関数の立場から統一的に解説していることで,
見通しがよく応用しやすい理解が得られている.最後の第9章はH-infinity理論で
著名になったHardy空間の理論を,それまでの章の結果を用いながらわかりやすく解説している.
正準分解定理やNehari,Sarasonの定理の証明などは邦書では他になかなか例を見ないものである.
全体として,既出の定理,結果への引用が詳しく,説明も丁寧であり, 抽象的な関数空間論が実は工学者にとっても重要な意義をもつことを実感
させてくれる内容となっている. 受賞製品 「オープン・オートメーション・システム Industrial-DEO」
山武産業システム(株) Industrial-DEOは下記3つのコンセプトにより開発しています.
(1)Information On Demand(意思決定のスピードアップ) オープン制御ネットワークを中心にフィールドレベルから生産管理までを有機的に統合します.
インテリジェント化されたフィールド機器や制御コントローラ,PLCなどからの情報は,
統合ドライバにより,すべて情報処理機器に集約.集約したデータは,情報系LANを通じて
どこからでもアクセス可能です.操業現場からマネージメントに至る階層のスタッフが
操業状態をリアルタイムに把握でき,迅速な意思決定を実行できます. (2)Automation Suite(運転に必要なソリューションの提供)
オープンデータベース,フィールドネットワーク統合,PLCネットワーク統合などの上で,
バッチ管理・運転支援自動化・生産管理情報システムなどのソリューションパッケージを提供します.
(3)Dependable Open(トータルな信頼性を確保) オープン汎用インフラを採用しながら,プロセス制御に対する信頼性を確保。
「DEO」という名の由来でもあるDependabilityの概念に基づくテクノロジーを採用し,
DCSとしての信頼性を実現しています. 受賞製品 「アラーム解析ツール&バーチャルプリンタ」
三菱化学エンジニアリング(株) この製品はパソコンで稼働するソフトウェアパッケージで,プラントで発生するアラーム情報や
運転操作の情報をもとに,プラントの安定化や高度化を進めるためにお使いいただくツールです.
近年のプラントの運転制御にはDCSが活用されており,DCSには通常,アラーム,および,
運転員の操作を記録するプリンタが接続されています.このプリンタの代りに
本ソフトウェアパッケージを組み込んだパソコンを接続すれば,プリンタの機能を代替するとともに,
アラームや運転操作履歴のデータをパソコンに保存することができます. この保存されたデータを本ツールの解析機能を使って解析することにより,
アラームの削減や制御性の改善,プロセスの改善を行うことができます. 本ツールは,横河電機社,山武産業システム社,日立製作所から販売されている
各DCSに接続することができます. |
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