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お知らせ |
会告:2008年度計測自動制御学会学会賞の贈呈
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2008年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,出口光一郎副会長を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞10件,技術賞4件,著述賞2件,新製品開発賞2件,教育貢献賞1件(2名)が推薦され,理事会の決定を経て8月21日,SICE Annual Conference 2008 (SICE 2008 in Chofu, Tokyo) 会場において贈呈式を行い,受賞者に賞状・メダル・賞金が贈呈された.
[論文賞]10件
(論文賞・蓮沼賞)
○空気噴流方式眼圧計で角膜変形遅れ特性が起こるメカニズムの解明
(計測自動制御学会論文集Vol.43, No.2で発表)
大阪大学 金子 真君
TU Darmstadt Institut fur Automatisierungstechnik Roland Kempf君
広島大学 栗田雄一君,飯田義親君,奥出純平君
JR西日本広島鉄道病院 三嶋 弘君
広島大学 塚本秀利君,中国労災病院 杉本栄一郎君
(論文賞)
○蛍光ダイナミクス情報を利用したフローサイトメトリーによるFRET検出
(計測自動制御学会産業論文集Vol.6, No.4で発表)
三井造船(株) 中田成幸君,林 弘能君,
星島一輝君,土井恭二君,木村憲明君
(論文賞・武田賞)
○An Approximation Method for the Stabilizing Solution of the Hamilton-Jacobi Equation for Integrable Systems -A Hamiltonian Perturbation Approach
(計測自動制御学会論文集Vol.43, No.7で発表)
Nagoya Univ. Noboru Sakamoto君
Univ. of Groningen Arjan J. van der Schaft君
○離散値入力型制御のための最適動的量子化器の安定性
(計測自動制御学会論文集Vol.43, No.12で発表)
京都大学 東 俊一君,杉江俊治君
○多項式型パラメータ依存 Lyapunov 関数を用いた不確かな線形時不変系のロバストH∞性能解析
(計測自動制御学会論文集Vol.42, No.6で発表)
京都大学 平井義人君,蛯原義雄君,萩原朋道君
○有限周波数位相・ゲイン特性に着目した連続時間制御対象の制御しやすさの特徴づけ
(計測自動制御学会論文集Vol.43, No.10で発表)
CREST,科学技術振興機構 管野政明君
東京大学 大西政彦君,原 辰次君
(論文賞・友田賞)
○拘束環境下における人間−機械系の等価慣性
(計測自動制御学会論文集Vol.42, No.2で発表)
(株)豊田中央研究所 羽田昌敏君,山田大介君
広島大学 辻 敏夫君
(論文賞)
○EMGセンサスーツのためのロバスト関節トルク推定と高速較正
(計測自動制御学会論文集Vol.42, No.8で発表)
電気通信大学 鈴木洋輔君,北海道大学 田中孝之君
カリフォルニア大学 Maria Q. Feng君
長崎大学 諸麦俊司君
○空間メモリ:知識活用を支援する空間知能化
(計測自動制御学会論文集Vol.42, No.4で発表)
東京大学 新妻実保子君,東京工科大学 橋本洋志君
東京大学 橋本秀紀君
○特異値分解を用いた所要時間予測
(計測自動制御学会論文集Vol.42, No.7で発表)
三菱電機(株) 西馬功泰君,後藤幸夫君,
熊澤宏之君,駒谷喜代俊君
[技術賞]4件
○ピコメートルオーダーでの高精度位置決め技術の開発と原子レベル物性計測への応用
(計測と制御 Vol.45,No.2,他で発表)
大阪大学 阿部真之君
○自動操船システムの非線形Receding Horizon制御
(計測自動制御学会論文集Vol.44, No.8で,他で発表)
川崎重工業(株) 河野行伸君,浜松正典君,
加賀谷博昭君
○多変数量解析を用いた統計的手法による鉄鋼製品の品質改善技術
(SICE Annual Conferece 2007,他で発表)
住友金属工業(株) 中川繁政君
住友金属小倉 中川義明君,谷崎隆士君
京都大学 加納 学君
○世界初で標準搭載化したエレベーター用アクティブ制振技術
(ELEVATOR TECHNOLOGY 11,日本機械学会論文集,他で発表)
三菱電機(株) 宇都宮健児君,岡本健一君,湯村 敬君,
佐久間洋一君,倉岡尚生君,妻木宣明君
[著述賞]2件
○むだ時間・分布定数系の制御(システム制御工学シリーズ)
(2007年・コロナ社)
明治大学 阿部直人君,首都大学東京 児島 晃君 著
○赤池情報量規準AIC−モデリング・予測・知識発見−
(2007年・共立出版)
元統計数理研究所 赤池弘次君,理化学研究所 甘利俊一君
統計数理研究所 北川源四郎君,
東京工業大学 樺島祥介君,下平英寿君 著
東京大学 室田一雄君,統計数理研究所 土谷 隆君 編著
[新製品開発賞]2件
○ユニファイドコントローラnvシリーズ
株式会社東芝殿
○光スペクトラムアナライザ AQ6370
横河電機株式会社殿
[教育貢献賞]1件(2名)
○SICEセミナーにおける教育貢献
慶應義塾大学 佐野 昭君,足立修一君
受賞者略歴および受賞論文概要
かねこ まこと
金 子 真 君(正会員) |
1954年1月18日生.81年東京大学工学系研究科博士課程修了.工学博士.通産省工業技術院機械技術研究所,九州工業大学助教授,広島大学教授を経て,2006年より大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻教授.ハイパーヒューマン技術を応用したダイナミック医療診断に興味をもつ.1996,2002年本会論文賞,1994,2007年日本ロボット学会論文賞,2004年IEEE RAS 論文賞.IEEE Fellow. |
Roland KEMPF 君(正会員) |
2004年Darmstadt University of Technology修了.Ph.D. 同年より,広島大学大学院工学研究科COE研究員.06年10月よりTU Darmstadt Institut |
くりた ゆういち
栗 田 雄 一 君(正会員) |
2004年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了.博士(工学).広島大学大学院工学研究科特任教員を経て,07年より奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教.ヒューマンモデリングやロボットハンドに興味をもつ.日本ロボット学会,日本機械学会,IEEE等の会員 |
いいだ よしちか
飯 田 義 親 君(正会員) |
2005年広島大学工学部第二類卒業.07年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了.非接触インピーダンスセンシングの研究に従事.同年シャープ(株)入社.現在に至る. |
おくで じゅんぺい
奥 出 純 平 君(学生会員) |
2005年鈴鹿工業高等専門学校電気工学科卒業.07年広島大学工学部卒業.同年東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程入学.ハプティックデバイスに興味をもつ. |
みしま ひろむ
三 嶋 弘 君(正会員) |
1969年広島大学医学部卒業.70年広島大学医学部助手,77年同講師,79年同助教授,96年より同教授.79年Yale University Visiting Associate Professor.2002年広島大学大学院医歯薬学総合研究科視覚病態学(眼科学)教授.06年よりJR西日本広島鉄道病院院長.緑内障の臨床・研究に従事. |
つかもと ひでとし
塚 本 秀 利 君(正会員) |
1988年広島大学医学部卒業.同年広島大学眼科入局.99年広島大学眼科講師.2000年スエーデン・ウプサラ大学.02年県立広島病院眼科医長などを経て,04年から広島大学病院眼科講師.06年より高山眼科副院長.専門は眼科学,緑内障,薬理学,医学博士. |
すぎもと えいいちろう
杉 本 栄一郎 君(正会員) |
2000年広島大学医学部医学科卒業.同年広島大学病院眼科に入局.03年東京大学眼科にてマウス眼圧測定の研究を行い,その後広島大学病院にて緑内障の臨床・研究に従事.現在は中国労災病院勤務. |
受賞論文「空気噴流方式眼圧計で角膜変形遅れ特性が起こるメカニズムの解明」 |
空気噴流印加時の角膜変形を高速カメラで撮影し,印加力と角膜変形の時間応答から眼剛性を評価した際,眼剛性は空気印加初期においてきわめて高い値を示し,その後急激に減少して一定値に収束するという,通常の生体組織では考えられない逆飽和特性が観察された.この原因をどう説明すればよいのか.これが本研究の動機付けである.時系列データを観察していく過程で,角膜変形が印加力に対して,数ミリ秒遅れ,これが見かけ上大きな眼剛性を作り出していることがわかった.この時間遅れの原因を説明するため,角膜チェーンモデルを新たに導入した.チェーンは張力が加えられている限り変形しないが,張力がゼロになると容易に変形する性質を有している.空気印加初期の段階では,空気噴流による外圧より眼の内圧の方が高く,結果的に眼の内圧が角膜を外側に押し広げている状態になり,角膜の変形は起こらない.ところが外圧が増加し,眼圧を超えると,たちまち角膜が変形しはじめる.遅れ時間と眼圧との間に0.8以上の相関が出たことで角膜チェーンモデルの妥当性だけでなく,遅れ時間に基づく新しい眼圧測定装置の可能性も示すことができた. |
なかだ しげゆき
中 田 成 幸 君(正会員) |
1984年岡山大学工学部生産機械工学科卒業.同年三井造船(株)入社.玉野技術開発センター主管研究員.機械力学,ロバスト制御,制御システム機器の開発に従事.日本機械学会,日本サイトメトリー学会会員. |
はやし ひろのり
林 弘 能 君(正会員) |
1995年徳島大学大学院工学研究科電気電子工学専攻修了.同年三井造船(株)入社.玉野技術開発センター主任研究員.光・電子応用機器,情報処理システムの開発に従事.応用物理学会会員. |
ほしじま かずてる
星 島 一 輝 君(正会員) |
1993年徳島大学大学院工学研究科機械工学専攻修了.同年三井造船(株)入社.玉野技術開発センター主任.信号処理,情報処理,制御システム機器の開発に従事. |
どい きょうじ
土 井 恭 二 君(正会員) |
1980年東北大学工学部電気工学科卒業.同年三井造船(株)入社.玉野技術開発センター主管研究員.高周波技術の研究開発に従事.電子情報通信学会会員. |
きむら のりあき
木 村 憲 明 君(正会員) |
1972年大阪大学基礎工学部機械工学科卒業.同年三井造船(株)入社.技術本部技術理事.流体解析ソフトウエア,マイクロ波・レーザ・プラズマ機器の開発に従事.応用物理学会会員.工学博士. |
受賞論文「蛍光ダイナミクス情報を利用したフローサイトメトリーによるFRET検出」 |
生体内で起こっているさまざまな生理機能は,細胞内の生体分子が互いに結合・解離することにより成り立っており,疾病発症と深く関わるシグナル伝達を調査するため,生細胞内のタンパク質分子間相互作用研究が重要となってきている.近年,これら分子間相互作用を検出する技術として,蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した手法が適用されてきているが,これらは顕微鏡を主な手段として実施されており,1日に観察できる細胞の数は限られること,定量的な評価が困難であることなどから,研究効率を上げる新しい手法が望まれている.本論文では,FRETを高速かつ確実,定量的に検出することを目標に,細胞を高速に流しながら1細胞ごとの蛍光強度と蛍光寿命を検出できる新しいフローサイトメータを提案した.蛍光ダイナミクスのモデル化により蛍光寿命計測が蛍光色素の標識量やpH変化の影響を受けにくいFRETの計測法であることを示し,試作した装置の蛍光寿命精度について実験的な検討を行った.その後,実際の細胞について計測を行い,その有効性を示し,基礎医学や創薬の研究開発の効率向上に寄与できる可能性を示した. |
Noboru SAKAMOTO 君(正会員) |
He received the B.Sc. degree in mathematics from Hokkaido University and M.Sc. and Ph.D. degrees in aerospace engineering from Nagoya University, in 1991, 1993, and 1996, respectively. Currently, he is an Associate Professor with the Department of Aerospace Engineering, Nagoya University, Japan. He has held a visiting research position at University of Groningen, The Netherlands, in 2005 and 2006. His research interests include nonlinear control theory, control of chaotic systems and control applications for aerospace engineering. |
Arjan J. van der Schaft 君
(正会員) |
A.J. (Arjan) van der Schaft received the undergraduate and Ph.D. degrees in Mathematics from the University of Groningen, The Netherlands, in 1979 and 1983, respectively. In 1982 he joined the Department of Applied Mathematics, University of Twente, Enschede, The Netherlands, where he was appointed as a full professor in Mathematical Systems and Control Theory in 2000. In September 2005 he returned to Groningen as a Full Professor in Mathematics. His research interests include the mathematical modeling of physical and engineering systems and the control of nonlinear and hybrid systems. He has served as Associate Editor for Systems & Control Letters, Journal of Nonlinear Science, SIAM Journal on Control, and the IEEE Transactions on Automatic Control. Currently he is Associate Editor for Systems and Control Letters and Editor-at-Large for the European Journal of Control. He is (co-)author of the following books: System Theoretic Descriptions of Physical Systems (1984), Variational and Hamiltonian Control Systems (1987, with P.E. Crouch), Nonlinear Dynamical Control Systems (1990, with H. Nijmeijer), L2-Gain and Passivity Techniques in Nonlinear Control (2000), An Introduction to Hybrid Dynamical Systems (2000, with J.M. Schumacher). Arjan van der Schaft is Fellow of the IEEE. |
受賞論文「An Approximation Method for the Stabilizing Solution of the Hamilton-Jacobi Equation for Integrable Systems -A Hamiltonian Perturbation Approach」 |
In this paper, a method for approximating the stabilizing solution of the Hamilton-Jacobi equation for integrable systems is proposed using symplectic geometry and a Hamiltonian perturbation technique. Using the fact that the Hamiltonian lifted system of an integrable system is also integrable, the Hamiltonian system (canonical equation) that is derived from the theory of 1-st order partial differential equations is considered as an integrable Hamiltonian system with a perturbation caused by control. Assuming that the approximating Riccati equation from the Hamilton-Jacobi equation at the origin has a stabilizing solution, we construct approximating behaviors of the Hamiltonian flows on a stable Lagrangian submanifold, from which an approximation to the stabilizing solution is obtained. |
あずま しゅんいち
東 俊 一 君(正会員) |
1976年7月24日生.2004年9月東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了.同年4月より日本学術振興会特別研究員,11月よりジョージア工科大学客員研究員.05年9月京都大学大学院情報学研究科助手,07年4月助教となり現在に至る.ハイブリッドシステム制御論などの研究に従事.博士(工学).2003年本会学術奨励賞,2005年本会論文賞,2007年および2008年本会制御部門大会賞を受賞.IEEE,システム制御情報学会の会員. |
すぎえ としはる
杉 江 俊 治 君(正会員,フェロー) |
1978年京都大学大学院修士課程精密工学専攻修了.84年同博士後期課程研究指導認定退学.78〜80年日本電信電話公社勤務.84年大阪府立大学工学部助手.88年京都大学工学部助教授を経て,現在情報学研究科教授.ロバスト制御,システム同定,非線形制御等の研究に従事.工学博士.1991年システム制御情報学会椹木記念論文賞.1998, 2008年同学会論文賞,1994,2000,2003,2007年本会論文賞を受賞.システム制御情報学会,ロボット学会などの会員.IEEEおよび本会フェロー. |
受賞論文「離散値入力型制御のための最適動的量子化器の安定性」 |
本論文では,先に著者らによって提案された離散値入力型制御のための最適動的量子化器の安定性の解析を行い,つぎの2つの成果を得た.第1は,フィードフォワード系に対し提案された最適動的量子化器の構造を,制御対象の極と零点によって特徴付け,それが安定となるための必要十分条件を導いたことである.その結果,非最小位相な制御対象に対しては,その量子化器は不安定となるか,制御対象との間で不安定な極零相殺を生じるという意味において実用的でないことが示される.第2は,非最小位相な場合も含む一般的な制御対象に対し,近似精度を表わす評価関数が有界となる動的量子化器の存在性に関する結果を与えた上で,実用的な動的量子化器の導出が,フィードフォワード系に対する数値最適化に基づく解法,もしくはフィードバック系での最適化に基づく方法によって行えることを示した点である.これにより,著者らの提案する「離散値入力型制御のための最適動的量子化器」の理論的枠組みが完成した. |
ひらい よしと
平 井 義 人 君(正会員) |
2004年京都大学工学部電気電子工学科卒業.06年京都大学工学研究科電気工学専攻修士課程終了.同年松下電器産業(株)半導体社入社,現在に至る.アナログLSI回路設計の業務に従事. |
えびはら よしお
蛯 原 義 雄 君(正会員) |
2002年3月京都大学大学院工学研究科電気工学専攻博士後期課程修了.同年4月京都大学大学院工学研究科助手,06年4月同研究科講師となり現在に至る.数値最適化手法を用いた制御系の解析,設計に関する研究に従事.京都大学博士(工学).システム制御情報学会,IEEEなどの会員. |
はぎわら ともみち
萩 原 朋 道 君(正会員) |
1986年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年京都大学工学部助手,91年助教授,改組に伴い,京都大学大学院工学研究科電気工学専攻助教授を経て,2001年より教授.サンプル値制御理論,2自由度制御系の設計法などの研究に従事.京都大学工学博士.システム制御情報学会,電気学会,IEEEなどの会員. |
受賞論文「多項式型パラメータ依存Lyapunov関数を用いた不確かな線形時不変系のロバストH∞性能解析」 |
本論文では,ポリトープ型の不確かさを有する連続時間線形時不変系のロバストH∞性能を,多項式型パラメータ依存Lyapunov関数を用いて解析することを可能とするLMI条件を提案した.このようなLMI条件を導出するために,本論文ではまず不確かさのない系のL2ゲイン性能をある特別な形のLyapunov関数を用いて解析する問題を考え,系の冗長表現を用いることでこのような Lyapunov 関数の存在条件をある集合上での不等式の成立条件に帰着させた.この不等式条件は Finsler の補題が適用できる形となっており,結果として不確かさのない系のL2ゲイン性能(したがってH∞性能)を解析するための新たな LMI 条件が平易な手順で導かれた.この新たな LMI 条件を用いることにより,ロバストH∞性能を保証する多項式型パラメータ依存 Lyapunov 関数が存在するための十分条件を,ポリトープの端点で評価された有限個の LMI の可解条件として得ることができた.提案手法の有効性を数値例をもとに検証した結果,extended LMI に基づく既存の解析手法の保守性を大幅に低減できることが確認された.本論文で得られた成果の設計問題への拡張が,今後の重要な研究課題である. |
かんの まさあき
管 野 政 明 君(正会員) |
1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年いすゞ自動車(株)入社.2003年英国ケンブリッジ大学工学博士課程修了.同年ケンブリッジ大学工学部研究助手.05年科学技術振興機構,CREST研究員となり現在に至る.07年本会著述賞受賞.ロバスト制御理論,計算機代数システムの制御系解析・設計への応用,精度保証付き計算に関する研究に従事.Ph.D.日本機械学会,日本数式処理学会などの会員. |
おおにし まさひこ
大 西 政 彦 君(正会員) |
2004年東京大学工学部計数工学科卒業.06年東京大学大学院情報理工学研究科修士課程修了,制御しやすさの特徴づけに関する研究に従事.同年住友電気工業(株)に入社.現在同社情報通信研究所にて携帯無線機器の開発に従事. |
はら しんじ
原 辰 次 君(正会員,フェロー) |
1976年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程制御工学専攻修了.日本電信電話公社.長岡技術科学大学を経て,84年東京工業大学工学部助教授.92年同大学総合理工学研究科教授.2000年同大学情報理工学研究科教授.02年東京大学情報理工学研究科教授となり,現在に至る.06年George S. Axelby Outstanding Paper Award受賞.ロバスト制御理論,サンプル値制御理論,量子制御,計算機援用制御系設計などの研究に従事,工学博士.本会フェロー,IEEE Fellow.現在本会副会長. |
受賞論文「有限周波数位相・ゲイン特性に着目した連続時間制御対象の制御しやすさの特徴づけ」 |
制御系統合化設計に向け,制御しやすい系の特徴づけに関する理論的研究が盛んに行われ,制御対象の特徴量を用いてH2やH∞制御問題の性能限界が陽に表現されてきている.その結果,制御対象が安定かつ最小位相であっても,それが必ずしも制御しやすいということには直結しないということが指摘されてきた.しかし,そのような結果は,数値的に示されているにとどまっており,理論的検討が待たれていた.そこで本論文では,一入力一出力連続時間(限界)安定な系に対し,制御しやすさを,位相・ゲイン特性に基づき,定量的・理論的に解析した.すなわち,有限周波数位相・ゲイン条件,条件(pi)を提案し,その条件とH∞ループ整形設計における最適性能の値●●●●●●●(位相余裕45°を保証する値)との間に密接な関係があることを示した.特に,2次の連続時間系において,条件(pi)を満たす系に対する最適性能値は必ず●●●●●●●以下となることを理論的に厳密に示した.また,高次の系に対しても,同様の結果が近似的に成立することを議論した.さらに,その観察に基づき,高次の(限界)安定な連続時間系に対し,(1)まず条件(pi)を考慮しながら整形重み関数を選択して帯域幅を決定し,(2)その後安定化・ロバスト性の達成はH∞ループ整形設計法で実現する,2ステップからなる簡単なロバスト設計手法を提案し,その有効性を数値設計例で確認した. |
はだ まさとし
羽 田 昌 敏 君(正会員) |
1992年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了.同年(株)豊田中央研究所に入社.以来,ドライバおよびタイヤのシミュレーションモデル開発およびこれらを適用した人間−機械系に関する研究に従事.2002年米国ペンシルベニア大学Center for Human Modeling and Simulationの客員研究員.現在,車両運動研究室に所属.博士(工学).日本機械学会,自動車技術会の会員. |
やまだ だいすけ
山 田 大 介 君(正会員) |
2003年慶應義塾大学大学院理工学研究科前期博士課程修了.同年(株)豊田中央研究所に入社.以来,人体筋骨格モデルによる筋力推定,人間の運動感覚にもとづく操舵反力制御に関する研究に従事.現在,車両運動研究室に所属.日本機械学会,SAEの会員. |
つじ としお
辻 敏 夫 君(正会員) |
1985年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了.同年広島大学工学部助手.94年同助教授を経て,2002年より同大学大学院工学研究科教授,現在に至る.工学博士.本会学術奨励賞(1986),論文賞(2002),バイオメカニズム学会論文賞(1990),日本義肢装具学会論文賞(2000),日本医科器械学会論文賞(2003),日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門学術業績賞(2004),IEEE R&A Society The K. S. Fu Memorial Best Transactions Paper Award(2004)などを受賞.人間とロボットの運動制御,生体信号解析,ニューラルネット,ヒューマン・マシンシステムなどの研究に従事. |
受賞論文「拘束環境下における人間−機械系の等価慣性」 |
人間−機械系の特性を解析する研究では,対象物の特性とともに人間の特性も機械インピーダンスを用いてモデル化する場合が多い.特に慣性特性は姿勢と拘束によりその特性が全て記述されることから,等価慣性特性を調べることで人間の巧みな制御動作がもつ物理的意味を明らかにできる可能性がある.本論文では人間と対象物の間の接触のみならず,人間や対象物が受ける拘束までを考慮した人間−機械系の等価慣性を導出した.またドライバ−ステアリング−シート系において,操舵する際の姿勢やステアリングとの間に生じる接触や拘束の違いにより等価慣性が変化する様子を解析した.提案された導出法はその後,筋骨格系を含む等価インピーダンス特性まで拡張されシステム化された(Vol.42, No.9 1083/1091).さらに等価慣性指標を用いた人間−自動車系のレイアウト設計法にも適用され(Vol.43. No.5 400/407),その有用性および実用性が示された. |
すずき ようすけ
鈴 木 洋 輔 君(正会員) |
2006年電気通信大学大学院電気通信学研究科博士前期課程修了.同年(株)リコーに入社.パールナルマルチメディアカンパニーに配属となり現在に至る.2004年本会システムインテグレーション部門講演会ベストセッション講演賞受賞. |
たなか たかゆき
田 中 孝 之 君(正会員) |
1996年電気通信大学大学院電気通信学研究科博士前期課程修了.同年電気通信大学機械制御工学科助手.99年同大学知能機械工学科助手,03年同助教授.04年北海道大学大学院情報科学研究科助教授,07年同准教授となり現在に至る.この間,01年10月〜02年3月カリフォルニア大学アーバイン校客員研究員.ウェアラブルロボット,ヒューマンインタフェース,ユニバーサルデザイン,移動ロボットの研究に従事.博士(工学).日本機械学会,日本ロボット学会,精密工学会,IEEEの会員. |
Maria Q. FENG 君(正会員) |
Maria Q. Feng is Opus Foundation Director and Professor of Civil and
Environmental Engineering at University of California, Irvine (UCI), with
a joint appointment at the Department of Electrical Engineering and Computer
Science. She is also the founding Director of the Center for Advanced Monitoring
and Damage Detection at UCI. With Ph.D. in Mechanical Engineering from
University of Tokyo, Dr. Feng joined UCI in 1992. Her research interests
are primarily in safety and security of civil infrastructure systems as
well as human beings, focusing on innovative and interdisciplinary science
and technology for sensors and health monitoring. Dr. Feng has published
near 350 journal and conference proceeding papers on these subjects. Dr.
Feng has received numerous awards and honors including (1) CAREER Award
by National Science Foundation, (2) The Alfred Noble Prize jointly by American
Society of Civil Engineers (ASCE), American Society of Mechanical Engineering
(ASME), Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE), American
Institute of Mining, Metallurgical, and Petroleum Engineers (AIME), and
Western Society of Engineers (WSE), (3) The Collingwood Prize by ASCE,
(4) Charles Pankow Finalist Award for Innovation by ASCE - Civil Engineering
Research Foundation, (5) Walter L. Huber Civil Engineering Research Prize
by ASCE, (6) Best Presentation Award by Society of Instrument and Control
Engineers, Japan, and (7) The Fariborz Maseeh Best Faculty Research Award
by University of California, Irvine. She is Fellow of ASCE.. |
もろむぎ じゅんじ
諸 麦 俊 司 君(正会員) |
2003年カリフォルニア大学アーバイン校Ph.D課程修了.02年長崎大学工学部機械システム工学科助手,07年同工学部助教となり現在に至る.この間,04〜05年中国清華大学および韓国科学技術院(KAIST)客員研究員.パワーアシスト装置や生体情報計測に関する研究に従事.博士(工学).IEEE,ISPO,日本機械学会の会員. |
受賞論文「EMGセンサスーツのためのロバスト関節トルク推定と高速較正」 |
人間機械システムの汎用的ヒューマンインタフェース及び運動計測機器としてセンサスーツを提案した.センサスーツは筋活動測定のための小型センサデバイスが内蔵されたウェアラブル運動計測システムである.センサスーツでは,装着ごとのセンサ取り付け位置誤差や装着者の体格差がトルク推定精度に大きく影響する.本研究では,複数の筋電図(EMG)センサを内蔵したEMGセンサスーツにおいて,測定位置誤差や個人差に対してロバストな関節トルク推定システムを高速に較正する手法を構築した.実験により,大腿部EMGと膝関節角度,膝関節トルクを計測した.複数被験者の共有データから学習した共有ニューラルネットワークを提案し,これによりロバストなトルク推定システムを高速に較正することができた.実験により,較正時間を90%短縮でき,かつ学習収束率を60〜90%に向上することができた.また,トルク推定誤差を従来のニューラルネットワークよりも30%削減できることを確認した.以上より,提案手法は測定位置誤差と個人差に対してロバストな関節トルク推定システムの構築と高速な較正に有効である. |
にいづま みほこ
新 妻 実保子 君(正会員) |
2003年東京工科大学工学研究科修士課程修了.07年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了.07年より日本学術振興会特別研究員(DC2),同年10月より特別研究員(PD),現在に至る.群移動ロボット,空間知能化,ヒューマンインタフェースの研究に従事.博士(工学).IEEE,日本ロボット学会,電気学会,ヒューマンインタフェース学会の会員. |
はしもと ひろし
橋 本 洋 志 君(正会員) |
1988年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得後退学.同年4月早稲田大学理工学部助手,90年東京工科大学専任講師,助教授,教授を経て2008年4月より産業技術大学院大学創造技術専攻,教授,現在に至る.群ロボット,サイバネティックインタフェース,高品質生活支援の科学技術,ものづくり工学,ものづくり経営人材育成,サービス工学に従事.工学博士.IEEE,電気学会(上級会員),日本シミュレーション学会(理事),日本e-Learning学会(理事)などの会員. |
はしもと ひでき
橋 本 秀 紀 君(正会員,フェロー) |
1981年3月東京大学工学部電気工学科卒業.87年3月同大学院工学系研究科電気工学博士課程修了.同年4月同東京大学講師(生産技術研究所),90年同助教授,2007年同准教授,現在に至る.89〜90年MIT客員研究員.空間知能化,ネットワーク・ロボティクス,ハプティクス・インタフェースの研究に従事.工学博士.本会およびIEEE Fellow.IEEE,電気学会,日本ロボット学会などの会員. |
受賞論文「空間メモリ:知識活用を支援する空間知能化」 |
さまざまな知的活動において,その要となるものは人間の経験や記憶からなる知識である.特に,文書や画像,Webページなど外在化された知識は関連する知識を想起し,客観的な観察を通して考察を行うことは新たな発想や問題解決につながる.したがって,知的活動の本質的な作業を妨げることなく知識の蓄積と閲覧を行えることは知的活動支援につながるものと考える.これより本論文では,人間の高度な知的活動に不可欠な文書や画像,Webページなどを外在化された知識と位置づけ,人間の身体を用いてこの知識の蓄積と閲覧を瞬時にかつ直感的に処理する空間メモリを提案し,実験を通してその有効性を明らかにした. |
にしうま のりひろ
西 馬 功 泰 君(正会員) |
1997年東京大学工学部計数工学科卒業,99年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了,同年三菱電機(株)入社.現在,先端技術総合研究所にて制御工学,システム工学の道路交通システムへの応用に関する研究開発に従事. |
ごとう ゆきお
後 藤 幸 夫 君(正会員) |
1991年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年三菱電機(株)入社.産業システム研究所,先端技術総合研究所にて,システム・制御工学の交通システムへの応用,路車間通信システムに関する研究開発に従事.2001〜02年MIT,ITS研究センタ客員研究員.電気学会員.博士(工学). |
くまざわ ひろゆき
熊 澤 宏 之 君(正会員) |
1981年大阪大学工学部通信工学科卒業,83年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程通信専攻修了,98年同博士後期課程修了.83年三菱電機(株)入社,現在,同社先端技術総合研究所にて,高度道路交通システム,路車間通信システムに関する研究開発に従事.98〜99年MIT,ITS研究センタ客員研究員.電子情報通信学会,情報理論とその応用学会,IEEE会員.工学博士. |
こまや きよとし
駒 谷 喜代俊 君(正会員) |
1977年京都大学工学部電気工学科卒業.79年京都大学大学院工学研究科(電気工学専攻)修士課程修了.同年三菱電機(株)入社.現在,伊丹製作所に勤務,工学博士.システム工学,知識工学の交通システムへの応用に関する研究開発に従事.電気学会,情報処理学会,IEEE会員. |
受賞論文「特異値分解を用いた所要時間予測」 |
道路交通システムの分野では,今後,プローブ情報システムなどの出現により収集される情報量の増大が予想され,計算負荷の軽い交通情報予測システムが求められている.本稿では,数時間先までの所要時間などを予測する手法において,履歴情報とリアルタイム情報を組み合わせることにより予測精度を高精度に保ったまま,予測処理,予測モデルの構築処理および更新処理の高速化を達成する予測手法を提案する.提案手法は,履歴情報の特異値分解(Singular Value Decomposition) により予測モデルを構築することにより,予測精度と高速性を両立させたことが特徴である.また,提案手法の予測精度を実際の所要時間データを用いて評価し,他の非線形手法と同等の予測精度をより少ない計算量で達成可能であることを確認した. |
あべ まさゆき
阿 部 真 之 君 |
1999年大阪大学工学研究科電子工学専攻修了(博士(工学)).同年(株)東芝入社.2002年大阪大学工学研究科特任助手,03年同助教授,07年同准教授.走査型プローブ顕微鏡を用いた種々の計測手法を開発.近年は原子間力顕微鏡を用いた原子識別や原子操作,単原子レベルでの反応の可視化などの研究を行っている. |
受賞論文「周波数検出方式原子間力顕微鏡の超高分解能化とフォーススペクトロスコピー」 |
化学の教科書で見られる2原子間に働く力の距離依存性測定は実際には,技術的に難しくこれまで再現性のある測定が不可能であった.教科書に書かれている距離依存性測定曲線は,実測値によるものではなく,レナード・ジョーンズモデルや第一原理計算を用いて作成されているものが多い.原子間力顕微鏡を用いることでそれが原理的に可能であることはわかっているが,信号対ノイズ比が低いことと,ピコメートルオーダーで探針−試料間の位置制御を行うことが困難であったためこれまで不可能であった.この度,われわれのグループでこれらの問題を解決する技術を開発し,信頼性のある距離依存性測定(フォーススペクトロスコピー)を可能にした.探針と試料の位置制御を±1pmで行うことを可能にした.その結果,試料表面の原子種の識別を行えるまで検出感度を上げることができた. |
はままつ まさのり
浜 松 正 典 君 |
1968年4月生.91年大阪大学基礎工学部制御工学科卒業.同年川崎重工業(株)入社,現在に至る.主として移動体の運動制御技術の研究開発に従事.システム制御情報学会の会員. |
かがや ひろあき
加賀谷 博 昭 君(正会員) |
1968年1月生.92年金沢大学大学院工学研究科電気情報工学修士課程修了.同年川崎重工業(株)入社,現在に至る.主として機械システムの振動制御技術の研究開発に従事. |
こうの ゆきのぶ
河 野 行 伸 君 |
1953年11月生.78年大阪大学大学院基礎工学研究科制御工学修士課程修了.同年川崎重工業(株)入社,現在に至る.各種制御システムの研究開発に従事.システム制御情報学会,日本機械学会の会員. |
受賞論文「非線形Receding Horizon制御の自動操船システムへの適用」 |
タグボートやフェリーあるいは海洋観測船や海洋工事作業船などの船舶は,近年,測位システムの高精度化に伴い,GPSやジャイロコンパスから得られる測位情報を基に複数の推進機を一括操縦して船位・船首方位を自動制御する操船システムの搭載が増えている.本論文では,このような自動操船制御システムの制御系において,非線形Receding Horizon制御を適用したルートトラッキング制御方法,冗長アクチュエータの最適推力配分方法,さらに,実適用上課題となるウェーブフィルタ,状態推定オブザーバの構成方法を提案した.また,本論文で提案した制御則を実装した二重化自動操船制御システムを開発し,実際の海底ケーブル布設工事に適用した結果,厳しい気象・海象条件下においても良好な運動性能を確保できることが確認でき,工事期間を通しての連続運用実績からその信頼性の高さを実証することができた. |
なかがわ しげまさ
中 川 繁 政 君(正会員) |
1987年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修士課程修了.同年住友金属工業(株)に入社.現在,総合技術研究所鋼板プロセス研究開発部にて,鉄鋼圧延プロセスの制御技術の研究開発に従事.日本鉄鋼協会の会員. |
なかがわ よしあき
中 川 義 明 君 |
1990年岡山大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程終了.同年住友金属工業(株)に入社,鉄鋼業におけるプロセス制御技術の研究開発に従事.2004年より(株)住友金属小倉にて製造ラインおよびスタッフの生産性向上を支援するとともに,統計的アプローチによる品質改善支援に従事.現在,同社IEソリューション室長.日本鉄鋼協会の会員. |
たにざき たかし
谷 崎 隆 士 君 |
1984年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修士課程修了.2005年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士後期課程修了.84年住友金属工業(株)に入社.現在,鹿島製鉄所制御部システム技術室にて,数理技術の生産・物流分野への応用研究開発,IT技術・IE技術を用いた生産性向上の企画業務に従事.日本オペレーションズ・リサーチ学会,日本ロジスティクスシステム学会,日本鉄鋼協会の会員.博士(情報学). |
かのう まなぶ
加 納 学 君(正会員) |
1994年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了.同年同助手.2004年同助教授.現在に至る.この間99〜2000年オハイオ州立大学客員研究員.プロセスデータ解析,プロセス制御,マイクロ化学プロセスに関する研究に従事.化学工学会,システム制御情報学会,日本鉄鋼協会,AIChEの会員.博士(工学). |
受賞論文「多変量解析を用いた統計的手法による鉄鋼製品の品質改善技術」 |
鉄鋼製品のハイエンド品化が進展するなかで,鋼板表面疵や鋼材内部欠陥などの定性的品質に対する要求はますます厳格化してきている.また,鉄鋼製品の製造現場においても,定性的品質に対する不良原因の追究や不良率低減の対策に多大な工数を要するようになってきた.しかしながら,従来,このような定性的品質に対する品質改善のアプローチは,属人的であり,確立された手法がなかった.そこで,多変量解析を用いた統計的手法による鉄鋼製品の品質改善技術を開発した.主成分分析と線形判別分析を組み合わせて定性的品質を定量化する方法を応用して定性的品質の品質影響要因解析を行う方法を提案した.また,鉄鋼製品の定性的品質に対する良品率を改善するために,運転データに基づいて運転条件を最適化する手法を応用した.開発した技術を実際の鉄鋼製造プロセスに適用し,鉄鋼製品の品質改善(鋼板表面疵低減,鋼材内部欠陥合格率改善)に寄与した. |
うつのみや けんじ
宇都宮 健 児 君 |
1997年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社先端技術総合研究所・メカトロ二クス技術開発部昇降機システムグループ勤務.主としてエレベーターの振動制御に関する研究に従事.日本機械学会会員. |
おかもと けんいち
岡 本 健 一 君(正会員) |
1989年大阪府立大学大学院機械工学専攻修士課程修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社先端技術総合研究所にて昇降機システムの開発に従事.日本機械学会などの会員. |
ゆむら たかし
湯 村 敬 君 |
1983年熊本大学工学部機械工学科修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社先端技術総合研究所・メカトロ二クス技術開発部勤務.主としてエレベーター・エスカレーターの機械システム開発に関する研究に従事.日本機械学会会員. |
さくま よういち
佐久間 洋 一 君 |
1999年金沢工業大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社稲沢製作所・開発部・機械開発課勤務.主としてエレベーターの振動・騒音に関する製品開発に従事.日本音響学会会員. |
くらおか ひさお
倉 岡 尚 生 君 |
1995年北海道大学大学院機械工学科修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社稲沢製作所・開発部・機械開発課に所属.主としてエレベーターの振動・騒音低減技術の開発に従事. |
つまぎ のぶあき
妻 木 宣 明 君 |
2001年名古屋工業大学大学院電気情報工学科修士課程修了.同年三菱電機(株)に入社.現在同社稲沢製作所・開発部・ハードウェア開発課勤務.主としてエレベーターのインバータ機器の開発に従事. |
受賞論文「世界初で標準搭載化したエレベーター用アクティブ制振技術」 |
エレベーターの乗り心地指標であるかご横振動は,かごを案内するレールの曲がりや据付誤差によって強制変位加振されて生じる.従来の高速エレベーターでは,かご防振系のばね剛性や減衰を適正に調整するとともに,振動源であるレール曲がりを加工・据付時に厳しく管理し高品質な乗り心地を実現してきた.このように従来熟練技術者の“技”によって実現してきた以上の快適な乗り心地を“制御技術”によって実現する“アクティブローラーガイド”を実用化し,世界で初めて標準搭載した.工業的に広く使用するためには,既存のエレベーター設備仕様を変更せずに設置可能な必要があり,消費電力を抑え電源設備の負担を減らすとともに,他機器との干渉防止の観点から小型な構成である必要があるが,本技術では外乱特性を考慮した独自のノイズ処理技術と,エレベーター構造特性を考慮した非接触アクチュエータ開発及びその最適設計技術により,消費電力低減と小型化の両方を実現した. |
あべ なおと
阿 部 直 人 君(正会員) |
1989年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.同年明治大学理工学部精密工学科助手,98年同大学専任講師,2002年同大学理工学部機械情報工学科(学科名変更)准教授,現在に至る.97年から1年間ドイツウルム大学客員研究員.日本機械学会,電気学会,システム制御情報学会などの会員.むだ時間系の理論と応用,振動制御の研究に従事(工学博士). |
こじま あきら
児 島 晃 君(正会員) |
1991年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.同年東京都立科学技術大学講師.97年同助教授.2004年首都大学東京教授(システムデザイン研究科)となり,現在に至る.2000〜01年,スイス連邦工科大学(ETH)自動制御研究所客員研究員.モデル予測制御とその応用,ロバスト制御,むだ時間系をはじめとする分布系の制御などの研究に従事.工学博士.IEEE,システム制御情報学会,日本鉄鋼協会,電気学会などの会員. |
受賞図書「むだ時間・分布定数系の制御(システム制御工学シリーズ)」 |
むだ時間系および分布定数系は,信号の伝達に遅れを伴うシステム,状態が空間的に分布するシステムを表わすものであり,対象の特徴に根ざした固有の制御工学が展開されてきた.本書は,このような系に対していくつかの有用な制御法を解説したものである.むだ時間系に対しては,安定解析など基礎的な結果が述べられた後,PID制御,スミス法,内部モデル制御法など実用的な制御法が,調整法と併せて論じられている.また,最適レギュレータ問題,一部のH∞制御問題が,状態予測法とよぶ考え方により見通しよく解けることが示されている.分布系に対しては,系を工学的な視点から分類した後,熱系(熱交換器)の周波数領域における設計法,振動系(柔軟ビーム)のモード解析に基づく制御法が示されている.そして,これらの一連の結果を古典制御・現代制御の基礎から導くことにより,各制御法の原理と特徴を理解させる試みが行われている. |
あかいけ ひろつぐ
赤 池 弘 次 君(正会員) |
1952年東京大学理学部数学科卒業.同年統計数理研究所入所.85年統計数理研究所予測制御研究系研究主幹,86年統計数理研究所長,94年退官.統計数理研究所名誉教授.総合研究大学院大学名誉教授.理学博士. |
あまり しゅんいち
甘 利 俊 一 君(正会員) |
1958年東京大学工学部応用物理学科卒業,63年同大学院数物系研究科博士課程修了.同年九州大学工学部助教授.67年東京大学工学部計数工学科助教授,教授を経て現在同名誉教授.94年理化学研究所併任,同フロンティアシステム,脳科学総合研究センターグループディレクター,同センター長を経て現在同特別顧問.数理工学,特に情報幾何学および数理脳科学の研究に従事.工学博士.日本学士院賞,IEEE Piore賞,C&C賞ほか多数受賞. |
きたがわ げんしろう
北 川 源四郎 君(正会員) |
1971年東京大学理学部数学科卒業,74年同大学院理学系研究科数学専攻博士課程中退.同年統計数理研究所研究員,91年統計数理研究所教授,2004年統計数理研究所長.現在,情報・システム研究機構理事,統計数理研究所長.時系列解析,統計的モデリングの研究に従事.理学博士. |
かばしま よしゆき
樺 島 祥 介 君) |
1989年京都大学理学部卒業,93年同大学院理学研究科物理学第一専攻博士後期課程中途退学.同年奈良女子大学理学部物理学科助手.現在,東京工業大学大学院総合理工学研究科教授.統計力学と情報科学の境界領域の研究に従事.京都大学博士(理学). |
しもだいら ひでとし
下 平 英 寿 君 |
1990年東京大学工学部計数工学科卒業,95年同大学院工学系研究科博士課程修了.同年日本学術振興会特別研究員.96年統計数理研究所予測制御研究系助手.2002年東京工業大学情報理工学研究科講師.05年同助教授.07年同准教授,現在に至る.情報量規準,ブートストラップなど統計科学の研究と教育に従事. |
むろた かずお
室 田 一 雄 君(正会員) |
1978年東京大学工学部計数工学科卒業,80年同大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年東京大学工学部助手.現在,東京大学大学院情報理工学系研究科教授.数理工学の研究と教育に従事.工学博士および博士(理学). |
つちや たかし
土 谷 隆 君 |
1983年東京大学工学部 計数工学科卒業.86年同大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年統計数理研究所予測制御研究系助手.現在,統計数理研究所数理・推論研究系教授.総合研究大学院大学複合科学研究科統計科学専攻教授・専攻長.最適化・数値計算の立場からの統計数理・数理工学の研究と教育に従事.博士(工学). |
受賞図書「赤池情報量規準AIC−モデリング・予測・知識発見−」 |
赤池弘次博士は,1970年代初頭,汎用性と情報数理的な裏付けをもった,簡明にして実用性の高いモデル選択の規準として情報量規準 AIC(Akaike Information Criterion) を提唱し,データの世界とモデルの世界を結びつける画期的な新しいパラダイムを打ちたてることに成功した.そしてこの業績により,平成18年11月に第22回京都賞(数理科学部門)を受賞された.
本書は,赤池博士の業績と受賞を記念し,さらに,博士によって切り拓かれた情報量に基づく知的情報処理の分野の諸側面と最先端の成果を紹介することを目的として,企画されたものである.各章は,赤池博士自身の京都賞受賞記念講演会(平成18年11月11日,於:国立京都国際会館)での講演,そして受賞を記念して開催されたシンポジウム『モデリング・予測・知識発見−情報量規準が拓いた世界』(平成18年11月12日,於:国立京都国際会館)における,赤池博士と甘利俊一氏,北川源四郎氏,樺島祥介氏,下平英寿氏の講演を元にして,構成されたものである. |
受賞製品「ユニファイドコントローラnvシリーズ」 |
株式会社東芝 |
当社は,紙・パルプ,石油・化学,鉄鋼・金属,上下水道,廃棄物処理システムなどに適用される産業用の「ユニファイドコントローラnvシリーズ」を製品化しました(2007年10月10日).
新製品は,共通プラットフォームとして同一のハードウェアを使用し,電気制御や計装制御それぞれに適合したソフトウェアをインストールする形態となっています.
また,新製品は各I/Oユニットを接続するフィールドネットワークとして,100Mbpsのループ二重化構成が可能なシステムを開発し,「電気制御で必要とされる高速性」と「計装制御で必要とされるオンラインメンテナンス(保守性)」を両立した高速シリアルI/Oシステム「TC-net I/O」を装備しています.
さらに,ユーザーが長年蓄積してきたアプリケーション資産を継続して利用できるよう,エンジニアリングツール(IEC 61131-3準拠),監視・制御ネットワーク(Gigabit Ethernet対応),オペレータステーション(OPC接続対応)のそれぞれで従来機種からの継承性を考慮した製品となっています. |
受賞製品「AQ6370 光スペクトラムアナライザ」 |
横河電機株式会社 |
光通信装置やこれらに搭載される光部品の開発・製造において,光スペクトラムアナライザは,波長と光パワーレベルを基軸として光信号を評価・解析する測定器です.光通信システムの普及が進むとともに,光通信装置や光部品への低価格化要求が強くなっており,コスト削減,生産性向上に寄与するコストパフォーマンスの高い製品が求められています.
当社は,このような市場動向,ユーザニーズに応える製品としてAQ6370光スペクトラムアナライザを2006年2月から国内外で発売を開始しました.AQ6370は,1) 波長分解能20pm以下,近傍ダイナミックレンジ60dB以上の高い光学性能,2) 従来機種の5倍の測定スピード,100倍のデータ転送速度による高測定スループット,3) 中心波長,スペクトル幅や光SN比,光増幅器の利得/雑音特性を解析する豊富な機能を特徴としてもっており,ユーザのTCO(Total Cost of Ownership)を大幅に削減できると国内外の光通信分野のお客様から高い評価をいただいている製品です. |
さの あきら
佐 野 昭 君(正会員) |
1966年東京大学工学部計数工学科卒業,71年同大学院工学系研究科博士課程修了.工学博士.同年慶應義塾大学工学部電気工学科助手,85年同大学理工学部電気工学科教授,94年同大学システムデザイン工学科教授,現在に至る.この間,英国サルフォード大学客員研究員,郵政省通信総合研究所客員研究官などを務める.システム同定,適応制御などの制御工学,信号処理工学などの教育と研究に従事.システム制御情報学会,電子情報通信学会,電気学会,日本鉄鋼協会,EURASIP,IEEEなどの会員. |
あだち しゅういち
足 立 修 一 君(正会員) |
1981年慶應義塾大学工学部電気工学科卒業.86年同大学院工学研究科博士課程修了.工学博士.同年(株)東芝入社,総合研究所に勤務.90年宇都宮大学工学部電気電子工学科助教授,2002年同教授.93〜96年航空宇宙技術研究所客員研究官,03〜04年ケンブリッジ大学客員研究員.06年慶應義塾大学理工学部物理情報工学科教授,現在に至る.システム同定,制御工学などの教育と研究に従事.電気学会,日本機械学会,日本鉄鋼協会,システム制御情報学会,IEEEなどの会員. |
受賞教育活動「SICEセミナーにおける教育貢献」 |
10年以上にわたりSICEセミナー「制御のためのシステム同定」の講師を務め,制御のためのモデリング・システム同定の啓蒙活動に尽力し,制御工学の発展に多大の貢献をした.このセミナーは,現代制御,ロバスト制御セミナーなどとともにSICE制御部門の定番セミナーの1つであり,毎年多数の受講生を集めている. |
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