SICE Annual Conference 2008併設行事
2008年8月19日:SICE Annual Conference 2008併設行事としてワークショップを開催しました.場所:電気通信大学創立80周年記念館リサージュ3F,午前の部についてはこちらをご参照ください.
- 午後の部:参加者37名,「ライフサイエンス関連の学協会との連携を探る」
講演1(13:00〜14:00):麩澤 孝(全国頸髄損傷者連絡会 代表代行),「全国頸髄損傷者連絡会の活動と夢を創る新たな連携」
ユーザと開発者,エンジニアの連携について発表いただきました.”連携=お互いの理解”であるという明確な定義が印象深いものでした.
講演2(14:00〜14:30):小山真理子(ポリオの会 代表),神山 博(ポリオの会),「患者の立場から」
”ポリオが紀元前1500年のエジプト壁画に描かれるほど古くから存在する病気であり,現在では過去の病気と認識されている”といった内容から,ポストポリオ症候群発生の仕組みや計測技術(痛みや疲労の定量化,数値化,画像化),自動制御技術やインターフェース開発に期待することについて発表いただきました.
講演3(14:45〜14:55):吉川和徳(日本シーティング・コンサルタント協会 理事長),「支援技術(Assistive Technology)における多職種協働」
使用方法の間違いなどにより,ユーザにとってあまり役に立たない福祉道具があること,適切な対応がされている用具が優れたものであるといった発表をしていただきました.
講演4(14:55〜15:08):松尾清美(日本リハビリテーション工学協会 理事長),「日本リハビリテーション工学協会のライフサイエンスとの関わりと他団体との連携について」
開発者・製作者・使用者間の連携の必要性,現在の医学では完治できない高齢者・障害者に関する心理的社会課題と医学的課題の統合を見据えた新しい倫理,ものつくりについての発表をしていただきました.
講演5(15:08〜15:19):中山 剛(電子情報通信学会「福祉情報工学研究会」委員長),「電子情報学会福祉情報工学研究会の紹介」
情報に関連した各種企画や教育活動,情報保障などについて発表いただきました.
全体討論:15:20〜16:00
以下のような意見が出され,活発に意見交換が行われた.
- 実際の生活を見て自律した生活のために何が必要であるかを考える連携とそのためのネットワークつくりが必要である.(松尾氏)
- 多職種協働,理学療法士の学会,工学系の学会との連携がない.懇親会が重要で,連携への第1歩である.(吉川氏)
- 頑張れ頑張れで,歩く,転ぶを繰り返しながら.痛みと戦っている.良い車椅子が必要であるが,良い車椅子を作成できる人は車椅子に乗っている人である.(ポリオの会)
- 杖から車椅子に至るまでの間を埋めるシステム開発が必要ではないか.歩行から車椅子の間を埋めるものを開発するべきであり,エンドユーザが開発に携わり,連携することが必要である.(池田氏)
- 立場・分野の違いにより単語や用語,考え方が異なる.
- OT,PTと一緒に研究.ロボットの使用に全員が理解しているわけではない.連携ネットワークを大きくすることが必要で,開発したロボットなどを受け入れる施設を増やす必要がある.アニマルセラピー.エンドユーザの立場で考えることはあまりない.話す機会がない.(永沼氏)どのようにすればPT,OTやエンドユーザと会えるのか?(小野氏)
- コミュニケーションが取れないことが問題である.リハビリテーションは出来ているので,より良い生活を入手したい.(松尾氏)
- 癒し,体の機能回復だけでなく,心理的な回復を行いたい.ロボットでアニマルセラピーを行いたい.(永沼氏)
- 障害をどのように捉えるかは個人差がある.体の状態や社会(環境)の状態による障害がある..認識の違いにより,リハビリの意味も異なる.生活機能の障害を直すなどの一つのキーワードを用いて連携を行っていく必要がある.(吉川氏)
- 連携には苦労していない.開発した物が普及しない.連携は上手く行きつつあるが,普及しないことが問題と認識している.(浜田氏)
- 学協会レベルではなく,国としてもやらなくてはいけないし,何らかの仕組みつくりを今しなくてはならない.コミュニケーションを上手く取れる仕組みを作っていきたい.その仕組みを広めていくことが必要である.(小野氏)
- 技術をエンドユーザが見ても分からないというのは疑問であり,きちんと説明すればエンドユーザでも理解できる.計測技術の展示会のようなものが欲しい.当たり前のことがエンジニアとエンドユーザで異なるので,お互いの意思疎通を行う場が必要である.(吉川氏)
- SICEとしてそのようなことを行っていくことを目指している.(小野氏)
- 施設の人(中間ユーザ)だけでなく,エンドユーザの声を入れていくべきである.エンドユーザも,いずれ我が身かもしれないユーザである.(松尾氏)
- ポリオの会としては連携をしたいが,企業は儲けたいが基礎研究をしてくれる人が少ない.協力は惜しまないし,セラピストロボットにも興味がある.協同研究を行って行きたい.(神山)
- 交流の場所が重要である.(麩澤)
- セラピストのためにロボットやアニマルがいる場合と異なる場合がある.ニーズとシーズで,目的を持って開発したい.(浜田氏)