第36回
計測自動制御学会九州支部
学術講演会


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【特別講演】



日 時平成29年11月25日(土) 13:00-14:00
会 場鹿児島大学郡元キャンパス稲盛会館(地図中の48番)
講 師福島 大輔氏(NPO法人 桜島ミュージアム理事長、博士(理学))
題 目「みんなに話したくなる桜島のヒミツ」
概 要  活発な火山活動を続ける桜島。モクモクと上がる噴煙や夜の「赤い火」が日常的に見られ、地球の鼓動を感じることができる世界的にも珍しい場所です。多い時は年間1000回近く爆発していますが、麓には約4500人の住民が「ふつう」に暮らしています。なぜ活火山に人が住んでいるのでしょうか?そこには、火山と人と自然の不思議な「つながり」があり、そのストーリーを知ると、景色が何倍も面白く見えてきます。
 まずは、桜島の形について。富士山のようなきれいな円錐形ではなく、横長でどっしりとした台形のような形をしています。これは、桜島が一つの山ではなく、二つの火山が南北に並んでできている複合火山だからなのです。二つの火山の境目が分かるようになると、さっきまで見ていた「一つの桜島」が「二つの火山」に見えてくると思います。
 火山の荒々しい山肌の様子を詳しく見てみましょう。実は、火山の山肌と人間の肌は良く似ていて、古い方が「シワ」が太くて深いのです。北側にある古い火山「北岳」の方が、南側にある新しい火山「南岳」よりも山肌が深く削られている様子がわかります。古い方が、長い年月雨にさらされているため、たくさん削られているのです。
 削られた山肌の岩石は、雨水と一緒に土石流となって麓へ流れていきます。土石流が何度も流れてきた場所には土砂がたまり、緩やかな斜面である扇状地を形成します。扇状地の地下には、山肌が削られて流れてきた岩石がゴロゴロ詰まっているので、石と石の間には隙間がたくさんあります。その隙間のおかげで、扇状地はとても水はけが良いのです。
 水はけの良い斜面では、おいしいミカンが育つといわれています。桜島の扇状地でも「桜島小みかん」というとても甘くて小さいミカンが栽培され、特産品として販売されています。昭和40年代には、桜島の農家1軒あたりの農業収入が鹿児島県で1位だったことがあります。桜島は火山なので農業には不向きと思われているかもしれませんが、昔は「宝の島」と呼ばれるほど豊かな場所だったのです。
 このように火山と人と自然の間には興味深い「つながり」のストーリーがあり、知れば知るほど景色が面白く見えてきます。ぜひ現地で確認してみてください。




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