最小二乗法は疑似白色信号などのPE性を満たす同定入力を必要とする.このような信号を電気油圧システムなどの機械系に入力すると騒音や振動などがしばしば発生する.一方ステップ信号は,騒音や振動などが比較的起こりにくく,実用性に優れた同定信号である.
しかし従来のオフライン同定法であるステップ応答法やステップ同定入力を用いた最小二乗法は,同定モデルの次数に制約をもつ.
本論文では,出力応答が定常値となるような入出力信号を用いて,任意次数の対象に適用可能な,新しい確定的なオフライン低次元化同定則を提案する.
本低次元化同定則では,ある種の出力誤差の0〜N重積分の定常値が零となり,かつ無視した高次項に影響されることなく,パラメータが順次一意的に同定される.この同定されたパラメータを用いて低次元化同定モデルの伝達関数の係数が計算される.
なお,本同定則ではM系列信号を用いた最小二乗法で必要となるサンプル周期決定のための試行錯誤も不要となる.