論文集抄録
〈Vol.36 No.1 (2000年1月)〉
論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)
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タイトル一覧
[論 文]
[ショート・ペーパー]
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■ 超精密加工音速ノズルの加圧試験
計量研・石橋雅裕,高本正樹
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形状誤差が±1 μm以下である超精密加工音速ノズル10本の流出係数を,大気圧から絶対圧500kPaまでの圧力および4×104から1.2×106までのレイノルズ数範囲において,定積槽システムを用いて測定した.得られた流出係数は,別に製作された24本の超精密加工音速ノズルを用いて大気圧以下で測定した基準曲線の回りに±0.1%以内で分布した.試験したノズルの内の1本について,106前後のレイノルズ数において境界層遷移による約0.1%の流出係数の急激な減少が検出され,基準曲線の有効上限レイノルズ数範囲が明らかになった.この基準曲線を用いて流量を計算するために必要となるすべての式と定数を示し,測定に用いられた国家標準である定積槽システムの不確かさ評価を行った.
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■ 液体大流量計校正設備の不確かさ解析
計量研・寺尾●哉,高本正樹
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わが国の液体流量の国家標準である大型流量計校正設備の不確かさを解析した.この校正設備は世界でも有数の規模を持ち,水を用いて0.014〜0.83m3/s(50〜3000m3/h)の流量範囲で口径100mmから1100mmの流量計を校正できる.流量は,7台のポンプと有効高さ18.5mのオーバーフローヘッドタンクにより,一定に保たれる.さらに,すべての口径に対し,校正される流量計の上流には管内径の100倍の直管を設けることができ,流量計入り口での流れの条件は理想的であるとみなせる.基準流量は高速ダイバータを備えた容量50tの秤量タンクと計時装置により,いわゆる秤量法で求められる.この校正装置の不確かさを国際文書「計測における不確かさの表現のガイド」に基づいて,実験的ならびに解析的に評価した.その結果,包含係数を2としたときの拡張不確かさは0.034%と見積もられた.主要な不確かさ要因とその標準不確かさは(a)秤量タンクに導入された水の質量の計測(0.013%),(b)水が秤量タンクに導入された時間の計測(0.0085%),(c)秤量タンク内の水に働く浮力の補正(0.007%),(d)水の密度の測定(0.0025%)である.最大の誤差要因である秤量タンク内の水の質量の計測の不確かさは,主として秤量計の再現性によって発生することがわかった.
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■ 帯域通過型標本化定理を用いた白色光干渉による表面凹凸形状の高速測定
東工大・平林 晃,小川英光,水谷竜也,松下電器・永井 健,東レ・北川克一
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白色光干渉を利用した表面凹凸形状の高速測定法を提案する.干渉顕微鏡により,測定したい試料の表面の多くの点に対して干渉縞の離散データを得る.このデータから干渉縞が最大になる位置を求めることにより,表面形状を測定する.
現在使われている手法は,精度は十分なものであるが,多くの標本点が必要であり,測定に時間がかかる.そこで,本論文では,より少ない標本点で測定可能な方法を提案する.
まず,干渉縞のより現実に即したモデルを導き,それをもとに,干渉縞より十分に滑らかであり,しかも同じ位置で最大になる特性関数の概念を導入した.つぎに,干渉縞の帯域幅が低域通過型に帯域制限されているだけでなく,帯域通過型にも帯域制限されていることを示し,この性質を利用した干渉縞の標本化定理をもとに,干渉縞の測定データから特性関数を直接推定する公式を導いた.そして,この推定式を使って,特性関数が最大になる位置を直接求めることにより表面凹凸形状を測定できる方法を提案し,SB法と名付けた.SB法の標本点間隔は,干渉縞を再構成するために必要な1.98 μmであり,従来法の約24倍である.実データに対する計算機実験の結果,大幅な標本点間隔の拡大にも関わらず,従来法と同程度の精度を実現できることが確認できた.
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■ 静電容量変化を利用した非接触眼球運動測定
湘南工科大・保坂良資
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本研究では,COG(capacito-oculography)法という新たな眼球運動測定方法を開発した.本方法では,眼球運動により,眼球表面とその前方に設置された電極との間の空間静電容量が変化することを利用して,これを測定する.この静電容量の変化は,電極に接続された発振器の共振回路部の静電容量の変化と等価と見なすことができる.したがって,眼球運動により,発振器の発する搬送波に周波数変調が施されることとなる.この信号をFM復調すれば,眼球運動を表わす信号を得ることができる.
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■ 視覚障害者誘導システムに用いる人の歩行状態追跡手法
東海大・曲谷一成,岩谷宏仁,山崎啓功,身障者リハセンター・簗島謙次
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筆者らはGPSを利用した視覚障害者誘導システムについて研究開発を行っているが,GPSを障害者の位置を知るために用いる場合いくつかの問題点が存在する.その中でも特に重要なものはGPSの利用可能な場所が制限されることに関する問題である.本論文ではこの問題を解決するためわれわれが開発したGPSが利用不可能である場合に人の位置を測定するするための手法について報告する.
われわれが開発した手法では被測定者の腰に加速度センサとジャイロスコープを装着する.人の移動距離は加速度センサ出力を解析して得られた歩数に被測定者の平均歩幅をかけることにより算出する.また進行方向はジャイロスコープの出力から算出する.これらセンサからの出力はワンチップマイコンで解析されその結果がシステムコントロール用コンピュータに送られる.
健常者を被験者として歩行実験を行った結果非常に高い精度で歩行状態を追跡することができた.したがって短時間の人の歩行追跡には今回開発した手法が有効であると考えられる.
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■ 非構造的な不確かさがある場合のパラメータ同定誤差の上界に関する一考察
理研・佐野滋則,名大・尾形和哉,早川義一
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制御系設計を行うにあたり,よいモデルを得ることは重要である.ここで同定実験により,モデリングを行うことを考える.一般に同定結果は,同定モデルや同定手法の選択,観測データの独立性,外乱や無視したモデル化誤差の影響によって大きく左右される.よいノミナルモデルを得るためには,同定対象に適したモデル構造や同定手法を選択することが重要であるのと同様に,外乱や無視したモデル化誤差の影響を受けにくく,データの独立性も十分あるような観測データを作成することも重要である.本論文では観測データの作成に着目し,外乱信号や非構造的な不確かさが存在する場合におけるパラメータ推定誤差の上界を明確にする.同定法としてよく用いられている最小二乗法をノルム空間からノルム空間への作用素としてとらえ,その上界をパラメータ推定誤差の初期値,外乱信号,非構造的な不確かさからパラメータ推定誤差までの誘導ノルムを用いて表現する.本論文では2種類の誘導ノルムを考える.これらの誘導ノルムは観測データの良し悪しを決める指標として利用できるので,最適な同定入力信号を決定するのに利用できる.本論文では連続時間系の最小二乗法を用いているが,離散時間系の最小二乗法を用いた場合への拡張は容易である.
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■ 入出力データによるモデル集合の確率論的検証
東工大・宮里智樹,Tong ZHOU,原 辰次
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モデル集合の検証問題は,ロバスト制御との融合性を考慮し,これまでは主に決定論的な枠組で議論されてきた.しかし,ノイズの決定論的な取り扱いから来る問題点が指摘されており,その妥当性には疑問が残っている.
そこで,本論文では,決定論的アプローチが持つ本質的な問題点の根本的な解決を目指して,モデル集合検証問題に確率論的アプローチを導入している.具体的には,モデル集合検証問題に対する新しい評価指標として,モデル集合が入出力データにより否定されない確率,適合性確率(MSUP:
Model Set Unfalsified Probability)を提案している.しかし,適合性確率の真値は計算することが非常に困難なため,ここでは適合性を表わす正定行列の固有値に注目し,その上界値と下界値を与えている.最後に,数値シミュレーションにより,提案手法がモデル集合検証問題の有効な指標の1つになる可能性があることを確認している.
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■ 超多自由度マニピュレータの運動学とFrenet-Serretの公式
防衛大・望山 洋
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本論文では,非常に多くの運動学的自由度をもつロボットマニピュレータに対し,そのアーム部全体の形を制御するという観点から機構学を論じた.形を制御するために適したマニピュレータの機構の条件は,マニピュレータの自由度を増加したときに,その運動学的拘束式が滑らかな空間曲線の幾何的側面を表わすFrenet-Serretの公式に漸近するという要求から導かれる.
この導出を可能にしたのは,以下の2つの工夫である.まず1つは,幾何学的な観点に基づく特別な座標系設定法である.この座標系設定法により,マニピュレータの運動学に関する本質的なパラメータを抽出することができた.もう1つは,マニピュレータの運動学的自由度を増加させるという行為の定式化である.従来,自由度の増加は曖昧に論じられてきたが,本論文ではこれをある極限操作で表わし,厳密に取り扱った.
得られた結果は,腕全体を活用することを求められるロボットマニピュレータは,捩れの自由度と,まっすぐの状態から片側にだけ可動する曲げの自由度の2つをもつ回転関節を一様にもつべきであることを示唆している.
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■ 直線位相フィルタ型離散時間修正繰り返し制御とむだ時間補正型離散時間修正繰り返し制御の特性比較
福井大・杉本英彦,鷲田一夫
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修正繰り返し制御系は,むだ時間要素の正フィードバックループにローパスフィルタを挿入した修正繰り返し補償器を用いるが,その補償器は,目標値の基本周波数とその整数倍の周波数ではローパスフィルタで決定されるゲインしか発揮しない.この問題を解決する方法として,直線位相フィルタ型修正繰り返し補償器を用いる方法と,筆者らが先に提案したむだ時間補正型修正繰り返し補償器を用いる方法がある.
本論文では,両方式の特性の違い,使用上の指針を次のとおり明らかにした.
@直線位相フィルタ型は,基本的に,フィルタを高次化しなければ制御性能が良くならないが,たとえ高次化してもむだ時間補正型の性能には及ばない場合も多い.これは,高次化して補償器をハイゲイン化しても,逆に帯域幅が狭められることに起因する.また,高次化にともない,演算時間が増大するという実用上の問題が発生する場合も多い.
Aむだ時間補正型は,演算量が大幅に少ない1次フィルタにもかかわらず,高次の直線位相フィルタ型でも及ばない制御性能を発揮する.特に,直流に対するゲインが∞になるという大きな利点を持っている.また,むだ時間補正型はその制御性能が優れているばかりでなく,設計の容易さや演算時間の少なさ等の制御系の実現性の点からも格段に優れた方法である.
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■ 産業用多関節ロボットの高精度輪郭制御のための非線形分離に基づく教示信号修正法
佐賀大・中村政俊,後藤 聡,近畿大・久良修郭
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関節ロボットのすべての動作可能領域で高精度輪郭制御を実現するために,非線形分離の考え方に基づいて,教示信号修正法を関節座標系において適用する方法を提案する.非線形分離とは,非線形特性を持つ制御対象に対して,非線形の静特性と線形の動特性に分離してモデル化し,非線形の静特性はその逆システムで補償し,線形の動特性には既存の線形制御理論を用いて制御を行うという考え方である.産業用多関節ロボットでは,非線形静特性が逆キネマティクスとキネマティクスにあたり,線形動特性が関節座標系における各関節のダイナミクスとなる.この関節座標系における線形動特性を制御する際に教示信号修正法を用いる.本方法を用いることによって,多関節ロボットの動作可能領域全域において,高精度輪郭制御が実現される.本方法の有効性をシミュレーションと実機産業用多関節ロボットによる実験結果から確認した.本手法は,既存の装置を変更することなく,単に教示信号を修正するだけで,ロボットの高精度輪郭制御を全作業領域に拡大することができ,産業用ロボットの利用範囲を大幅に改善拡張できる.
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■ GAを併用したセルフチューニングPID制御系の一設計
徳島大・満倉靖恵,広島大・山本 透,岡山県立大・兼田雅弘
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プロセス制御系では,PID制御法が広く用いられている.しかし,制御対象の特性が動作条件等によって変動するため,PIDパラメータもそれに対応して,適切に調整される必要がある.そのため,PIDパラメータを自己調整するセルフチューニング制御法がいくつか提案されている.一方,生物の進化を工学的に模擬した遺伝的アルゴリズム(GA)を用い,直接PIDパラメータを調整する方法もいくつか報告されている.本論文では,逐次型最小2乗法により,システムパラメータを逐次推定し,それに基づき,GAを用いてPIDパラメータを調整する新しいセルフチューニング制御法を提案している.本手法は,GAにより直接PIDパラメータを探索するのではなく,一般化最小分散制御における設計パラメータをGAにより探索し,これを仲立ちとしてPIDパラメータを求めている.このとき,設計パラメータには,制御工学的に有意な範囲が存在するため,GAによる探索範囲が限定され,探索時間を大幅に削減できることから,PIDパラメータのオンライン調整が可能となっている.また,システムを「一次遅れ+むだ時間」として記述することにより,システム変動の物理的意味を考慮し,むだ時間変動にも対応したPIDパラメータの調整を可能にしている.
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■ 軌道上で増設される宇宙構造物の分散制御
電通大・望月一憲,木田 隆,航技研・小松敬治,山口 功
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宇宙ステーションのような大型の宇宙構造物は,軌道上で稼働している構造物に新たなモジュールを結合して増設されていくエボリューショナルな宇宙システムである.そこで,もし既存の宇宙構造物の制御系を変更せずに,新たに結合するモジュールの制御系によって結合の前と後のシステムを安定化するすることができれば,宇宙システムのミッションを中断することなく安定な状態を保ったまま増設が可能になる.本論文では,そのような機能をもつ分散制御則をロバスト制御の枠組みの中で設計することを試みる.ただし構造物は軽量大型なのでその弾性振動を制御することを考えて低次元制御器とする.宇宙構造物の結合には専用の連結器(ドッキング機構)が用いられラッチ機構やバネによるプリロードによって固定する構造などの様々な方式が提案されている.ここでは,結合器を弾性構造物で近似しモード合成法を使って結合後の全体系のモードモデルを作成する.そして連結器の物理パラメータの誤差に対してもロバスト安定となる分散制御則がμ設計によって得られることを示す.この設計法を2つの梁が結合する簡単な数値モデルに適用してその有効性を示す.
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■ 逆問題としての設計論と創発的計算法の適用
神戸大・北村新三,角田 譲,村尾 元,後藤 淳,NTT・小藪正哉
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人工物の設計過程をまず構造,属性,機能の概念のもとで定式化し,つぎに新しく仕様の定義を数学的に与える.このもとで設計問題を構造集合から機能集合への写像の逆として定義する.
つぎに,人間の設計過程は新しい構造の生成,前向き写像を解くことによるその構造のもつ機能の計算(あるいは実験),そしてこの機能と与えられた仕様の比較の過程の繰り返しであると考える.ここで新しい構造の生成と比較の役割を上で定式化した設計問題において創発特性であると解釈し,これを創発計算法で実現する.
おわりに,遺伝的アルゴリズムを2つの例に適用した.最初はインダクタとキャパシタを要素とした線形受動フィルタの合成で,もう1つはリンクと回転ジョイントからなる多リンク移動ロボットの合成である.これらの2例は仕様と環境に適応した望ましい構造と機能の創発を示している.
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■ A New Learning Method Using Prior Information
of Neural Networks
Kyushu Univ.・Baiquan LU, Junichi MURATA,Kotaro
HIRASAWA and Jinglu HU
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In this paper, we present a new learning
method using prior information for three-layered
neural networks. Usually when neural networks
are used for identification of systems, all
of their weights are trained independently,
without considering their inter-relation
of weights values. Thus the training results
are not usually good. The reason for this
is that each parameter has its influence
on others during the learning. To overcome
this problem, first, we give exact mathematical
equation that describes the relation between
weight values given a set of data conveying
prior information. Then we present a new
learning method that trains a part of the
weights and calculates the others by using
these exact mathematical equations. This
method in almost all cases keeps a priori
given mathematical structure exactly during
the learning. Numerical computer simulation
results are provided to support the present
approaches.
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■ コンピュータハードディスクに対する自動スリープモードの電力有効性設計
広島大・岡村寛之,土肥 正,尾崎俊治
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近年,コンピュータシステムにおけるハードディスクやディスプレイの自動スリープ機能が省電力の観点から重要視されるようになってきた.本論文では,コンピュータへのアクセスがない状況において,省電力の観点からユーザがいつハードディスクをスリープ状態に切り替えるべきかについての問題を取り上げ,電力有効性と呼ばれる評価基準を最大にする最適スリープ時間を求めるための確率モデルを提案する.特に,ユーザによるコンピュータへのアクセス要求が到着した後,その処理期間中に到着する他のアクセス要求がバッファ内で待ち行列を形成するような使用環境を想定する.アクセス要求が同次ポアソン過程に従って到着する場合,電力有効性を最大にする最適自動スリープ時刻が解析的に導出される.より一般的な到着パターンに対しては,2種類の近似解が提供される.
[ショート・ペーパー]
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■ ループ整形設計手法の解集合における低次元制御器
ゼクセル・伊藤榮信,中島五月,原田良一,長岡技科大・川谷亮治
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ループ整形設計手法(LSDP)によるH∞制御器の次数低減のために,村田・川谷(1998)はLSDP制御器の一般解である自由パラメタΦ(={Aφ,Bφ,Cφ,Dφ},‖Φ‖∞●1)を含む制御器に相似変換Tを行い,不可観測部を外すことで,低次元化を図った.低次元化制御器はΦの次数となるが,ΦとTには2つの条件式が課せられる.本研究ではこれをr入力m出力系へ拡張した.
この2つの条件式を解くために,Φとしてp次のLuenberger第1可制御正準形を仮定した.Aφの中の任意パラメタαiを除き,上記2つの式から未知行列すべてを確定するには,Φの次数がp=n−mとなる必要がある.nは拡大系の次数である.これは制御器がm次低減されることを意味し,最小次元観測器に類似する.‖Φ‖∞●1を満たすαiの選定には遺伝的アルゴリズムを使った.低次元化制御器の性能を直立3重倒立振子で調べた結果,低次元化前(10次),後(6次)の制御器の性能はほぼ同一であった.
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■ 出力フィードバックによる非線形系のロバスト指数的受動化制御
上智大・申 鉄龍,田村捷利
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受動化問題は非線形系の安定化や適応制御問題と密接に関係しているため,最近再び注目されている.しかし,現在提案されている受動化手法の多くは状態フィードバックに基づいたものが多く,出力による受動化問題に関する研究はまた不十分である.さらに,不確かさを有する非線形系に対しては,受動性の不確かさに関するロバスト性を考えなければならない.
本論文はゲイン有界な不確かさを有する非線形系に対して,出力フィードバックによるロバスト指数受動化補償器の一構成法を示す.まず,ロバスト指数受動性の必要十分条件を示し,対象とする非線形系が相対次数1かつ指数的最小位相特性を持つという条件の下で,閉ループ系が準大域的にロバスト指数受動的となる出力フィードバック補償器を求める.
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