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[論 文]
[ショート・ペーパー]
イメージ情報科学研・金森 務,片寄晴弘,大阪芸大・志村 哲,イメージ情報科学研・井口征士
近年,インタラクティブにマルチメディアを制御するインタラクティブアートという芸術分野が確立し,新世代楽器と呼ばれる新しい楽器が開発されている.従来の新世代楽器は主として,歴史的に規格化が進んだ西洋楽器を題材に開発が進められてきた.伝統楽器においては所作や動作そのものが演奏表現に密着しており,そのセンシング手法を確立することが大きな困難であり,ニーズにもかかわらず開発が進んでいなかった.本論文では,尺八を対象とした新世代楽器サイバー尺八について述べる.まず,尺八演奏表現を形成する所作・身体表現を整理する.その上で,それらの情報をを計測・認識を行うためのセンサー実装について述べる.
本システムはコンピュータ音楽の実公演を通じて,その有効性の検証を行っている.音楽制作サイドからは,新たな表現の可能性をインタラクティブに模索できるという点で芸術創作に大きく貢献するという評価を得ている.
航技研・辻井利昭,村田正秋,張替正敏
航技研では,2波のGPS受信機を用いてアンビギュイティを移動中に解くアルゴリズム(OTFアルゴリズム)を開発し,その性能評価のために飛行実験を実施した.オフライン解析の結果,基線長が20km以下で5衛星以上観測できた場合にはL1のアンビギュイティをほぼ瞬時に98%以上の確率で解くことができた.
本アルゴリズムでは,アンビギュイティ解の候補から正しい解を選ぶ方法として最小二乗探索法を用いた.その際,平滑化した疑似距離,ワイドレーンおよびL1搬送波位相という観測誤差の異なる3種の観測量を段階的に用いることにより,探索数を10分の1に減少させることができた.また,誤った候補を棄却する場合に,観測領域での検定のみならず測位領域での検定を行った.さらに測位領域の検定では,高速にかつ高い確率で正しい解を得るために,3次元での位置ではなく水平方向の位置を評価することを提案する.この方法は,航空機の進入着陸におけるリアルタイムキネマティクGPSなどに応用できる.
国立環境研・大政謙次,日大・国府田正樹,大谷義彦
本論文では,テクスチャのキメが粗い発芽直後の実生を対象として,受動的な方法であるShape-from-Focus法による形状の3次元顕微計測とテクスチャマッピングによるカラー合成画像表示の方法について検討した.
Shape-from-Focus法による形状計測では,焦点測度の演算のために,Nayar and Nakagawaの単色濃淡画像を用いた加算変形ラプラシアン(SML)演算法に加えて,RGB濃淡画像を用い,また,演算時間を短縮するために変形マスクを用いたMax-Min演算法と最小2乗演算法を新たに開発し,性能比較を行った.その結果,原画像としてRGB濃淡画像を用いた最小2乗演算法による合焦距離の推定精度が最もよかった.この方法は,テクスチャのキメが粗い場合だけでなく,エッジのような急激な濃度変化が生じる場合にも効果があった.
つぎに,被写体の形状に加えて,色調や明るさなどについての3次元的な認識を容易にするために,上記で得られた合焦距離画像の結果を用いて原画像の内挿を行い,合焦カラー画像とテクスチャマッピング画像を得る方法について検討した.その結果,実生の鮮明な合焦カラー画像を得ることができ,また,マウス操作により自由に視点を変えることができるテクスチャマッピング表示が可能になった.
川崎製鉄・舘野純一,浅野一哉,川崎テクノリサーチ・守屋 進,川崎製鉄・市川文彦,塩川 隆
従来検査員によって行われていたステンレス鋼板の光沢感評価を自動化するため,光学的センサーにより測定した表面特徴量からニューラルネットワークを用いて光沢感を判定する方法を開発した.
センサーによる光情報として,水銀ランプの光反射強度にレーザ光源の光反射強度を組み合わせる方法を提案した.前者は,幾何光学的な測定方法に対応するものであり,光沢感の低い領域において目視と良い相関を持つ傾向がある.後者は,光の波長程度の表面情報を反映し,光沢の高い領域において分解能が優れている.両者を組み合わせたことにより,広い範囲にわたり,鏡面性の高いステンレス鋼板の表面光沢感を定量化することができた.
さらに,これらセンサーの測定値と目視での等級判別結果との間の写像関係の導出手段としてニューラルネットワークの適用を検討した.LVQ型ニューラルネットワークにおいて,学習初期値の与え方,クラス内での付加競合および各中間ユニットの参照ベクトルの修正頻度の考慮による学習則の改良を行った.実システムにおいても良好な結果を得ることができ,品質保証の向上に貢献することができた.
上越教育大・Ziye LI,シャープ・久保敬司,立命館大・川村貞夫
ハンドルやバーのような人間と機械の相互作用を有する作業は多く存在する.今後はより快適,能率の良い作業を行うため,機械の特性だけではなく,人間の機械的な特性,人間と機械が接触する際の特性を考慮した機械設計が必要となる.そこで,本研究ではハンドルを人間が操作する問題を取り扱い,人間とハンドルとの力学的な接触によるハンドルの回転剛性の変化に着目する.まず,人間の腕を2リング機構とし,内力としての操作力がハンドルの回転剛性に与える効果を解析する.次に内力剛性と筋力剛性が加わった状態を計測し,腕の内力及び腕の剛性がハンドルの回転剛性に及ぼす影響を明らかにする.剛性解析及び計測の結果から次の結論が得られた.(1)腕の内力によるハンドルの剛性は,腕の筋肉によるハンドル剛性に比べても同じ程度の値である.(2)ハンドルを回転軸方向に引っ張った時は,腕の筋収縮レベルを低くて保った状態で内力によってハンドル剛性が効率的に高められる.
Univ. of Tokyo・Naoharu ITO
This paper studies the diagonal decoupling problem with dynamic state feedback for linear systems over principal ideal domains using the so-called geometric approach. A sufficient condition for the problem to be solvable is obtained, and a numerical example for the decoupling control problem of a ship propelled with a controllable pitch propeller is presented to illustrate the result obtained.
広大・美口純一,呉 漢生,水上孝一
近年,その高いロバスト性からスライディングモード制御の研究が数多くなされている.しかし,そのほとんどが連続なシステムに対するもので離散系システムに対する研究はあまり進んでいない.従来の研究では線形システムに不確定要素が付加された離散システムに対するスライディングモード制御は切換面でチャタリングが生じるため,系の安定性を保証できないという欠点を持っていた.本論文ではこのチャタリングを消去する方法として新たにリアプノフ関数を用いた到達条件を導き,その条件に基づく制御器にニューラルネットワークを組み合わせた新しい制御則を提案する.これにより制御入力はシステムの状態を漸近的に切換面に近づけることができ,その制御入力は切換面に達すると等価入力と等しくなる.このため一度,切換面に達するとそれ以降,切換面にとどまるためチャタリングを防ぐことが可能となる.
また,従来の研究で対象としていたシステムに加わる不確定要素はそのノルムの上限値が既知とされていたが,本論文で対象としているシステムに対してはその上限値が未知として考えることができる.
阪大・太田快人,住金・後藤 修
補間点拡大法は,多ブロック連続時間L1制御問題に関する解法として提案されている.ブロックを拡大して1ブロック問題の最適解から下界列と上界列を構成して多ブロック問題の最適解を計算する.本論文では,従来,汎弱位相の性質から説明されていた収束性に関して新たな考察を加えている.すなわち,下界列の収束に関し,H∞制御問題では,拡大1ブロック問題に対するハンケル作用素のノルム値は,多ブロック問題に対するハンケルテプリッツ作用素のノルム値に収束することが示される.これにより,補間点拡大法と従来理論との関係が明白になる.上界列の収束性に関しては,L1制御の場合に,列2ブロック問題について,上界列のノルム値が最適値に収束することを従来よりも緩い仮定のもとで成立することが示される.この結果,上界列の準最適性が保証されることがわかった.
京大・小林啓吾,広大・井村順一,京大・●川恒夫
本論文では,一般の加速度拘束を有する非ホロノミックシステムの制御理論を確立するための基礎研究として,水平面内において駆動関節2つ,自由関節1つよりなるマニピュレータの安定化問題を取り上げる.このシステムは,その線形近似系が可制御でなく,また連続な時不変状態フィードバックでは安定化できないため,従来の制御理論を直接適用できないという難しさがある.まず,このシステムが,適当な座標変換と入力変換によって2階の微分方程式からなるチェインド形式にフィードバック等価であることを明らかにする.つぎに,チェインド形式に変換したシステムを指数安定化する状態フィードバック則を導出する.これによって非駆動関節を含むすべての関節の値を目標値に制御することができるようになる.提案する制御則は,指数関数的に収束する参照軌道に収束させることにより,目標点(原点)への収束が保証されると同時に指定した過渡応答が得られるものであり,速度拘束を持つ非ホロノミックシステムに対して提案されている多くの制御則とは異なり,大きなオーバーシュートや無限回の切り返しの発生を防ぐことができるものである.最後に本方法の有効性をシミュレーションによって検討する.
宇都宮大・足立修一,永田 寛,山口 功,木田 隆,関口 毅
従来,システム同定の分野では伝達関数モデル表現に基づく同定法(たとえば予測誤差法)が主流であったが,近年,状態空間モデル表現に基づく部分空間法(4SID法)が脚光を集めている.対象のインパルス応答より状態空間モデルを構築する部分空間法が主流であったが,80年代後半に対象の入出力データから直接状態空間モデルを同定できる直接4SID法が提案され,研究が加速された.部分空間法の特徴は,()多変数系への拡張が容易,()数値的に安定な計算法に基づいている,()非線形最適化計算が不要,などである.これらは予測誤差法で問題点とされていたものであり,部分空間法の実問題への適用が期待される理由にもなっている.しかしながら,実データを用いた部分空間法の検討はまだまだ十分であるとはいえない.
そこで,本論文では技術試験衛星Y型を用いて収集された軌道上同定実験データを用いて,部分空間法と予測誤差法の比較検討を行うことを目的とする.その結果,部分空間法は軌道上同定実験データのようなSN比のよい入出力データに対しては特に有効であり,また,設定パラメータが少ないため利用しやすいことが明らかになった.
北陸先端大・鳥居鉱太郎,國藤 進,松沢照男
神経線維において,シナプス前線維から放出される神経伝達物質素量の解析法として考案された素量解析法は,中枢神経系における長期増強(LTP)現象の責任部位を明らかにするための手法としても期待されている.しかし従来からの多くの解析法は,ノイズを含んだ測定信号の分布に統計的分布をあてはめて推定を行うもので,またあらかじめ未知である素量放出の分布を仮定してしまうという欠点があった.これに対してKullmannが提案するMEND法は,放出の分布は一切仮定せず,ノイズ分布のデコンボリューションによりもとの分布を最尤推定する手法で,従来より進んだ素量解析法であるといえる.本論文ではまずシミュレーション実験によりMENDの有効性を示すと同時に,MENDの計算が瓶詰めによる近似を行うことで,有限の生体データを無駄にしている側面を持つことを明らかにした.そこでMENDの計算に数値積分をとりいれたMEND改良版を提案し,より良好なシミュレーション結果が得られたことを示す.また変曲点を求めることにより,推定結果の分布からピークの存在する可能性を示すことを提案する.最後にMEND改良版を用いて海馬モノシナプスによる実験データを解析し,従来手法に比べてより有効な推定結果が得られたことを示す.
阪太・田村坦之,高橋 理,鳩野逸生,馬野元秀
人の意思決定を定量的に解析する手法の研究が盛んである.起こる結果の確率分布が既知の場合の意思決定では対処が可能でも,現実に存在する問題の多くは,何らかの不確実性を含んでいるために,問題の評価が難しい.
本論文では,各事象の生起する確率が未知という不確実な状況のもとでの意思決定理論を展開することを目的としている.そのためには,複数の要素(事象)によって構成される焦点要素を対象にしたリスク評価を可能にする必要がある.そこで,焦点要素に含まれる要素の価値の平均および分散を用い,与えられた確率分布に対する選好基準を定めた正規リスク構造の概念を取り入れて価値関数を構成することを試みた.このとき,価値関数の中に,意思決定者の楽観度をパラメータとして取り入れ,その度合に応じた的確な選好判断ができる意思決定モデルを構築した.その結果,従来の選好基準のもとで評価すると現実とは矛盾する評価対称も,本論文で提案した意思決定モデルを用いると的確な評価ができる.
徳島大・近藤 正
ニューラルネットワークを用いて複雑な構造をした非線形システムを同定する場合,入力変数の高次の影響をニューラルネットワークの内部で考慮する必要があるために,入力変数の個数が多くなるとニューラルネットワークの構造は大規模化し複雑になる.また,ニューラルネットワークに不必要な入力変数が含まれている場合,内部にその入力変数に関連したニューロンが数多く存在するために大きな汎化能力を得ることが困難になる.このために,ニューラルネットワークの入力変数としてどのような変数を選択するのかということが汎化能力の大きなニューラルネットワークを構成するために重要な問題となる.本研究では,入力変数の自己選択能力を備えたニューラルネットワークを提案する.このニューラルネットワークは入力変数の自己選択能力を備えているために,有用な入力変数に関連したニューロンのみによりニューラルネットワークを構成することが可能であり,汎化能力のより大きなニューラルネットワーク構造を構成できる.このニューラルネットワークを非線形システムの同定問題へ応用し,従来から提案されている非線形システム同定手法によって得られた同定結果と比較することによりその有効性を明らかにする.また,大気汚染濃度の短期予測問題に応用し,実際問題への有効性を確認する.
三菱電機・中川隆志,仲谷善雄,佐々木和則,吉川榮和,高橋 信,吉田富彦,長谷川 明
原子力プラントにおける制御盤や運転要領書は,プラントの安全性を大きく左右する.しかし,マンマシンインタフェースを設計段階で容易に評価できる実用的手法は開発されていない.
筆者らは,プラント,マンマシンインタフェース及び運転員行動のシミュレータを統合して得られるマンマシンインタラクションを対象に,潜在的なヒューマンエラー,インタラクション上の問題点を明らかにする評価分析システムの開発を行っている.本論文では,マンマシンインタフェースを評価する観点から,従来より研究されてきた認知行動モデルについての問題点を検討した上で,運転員が運転マニュアルに基づいて行動すると仮定し,このような行動において発生しうるエラーを評価するための運転員行動モデルを提案する.原子力プラントを対象に,試作した運転員シミュレータ,マンマシンシミュレータ,プラントシミュレータが,運転員―マンマシンインタフェース間のインタラクションを適切に再現することを確認するとともに,ワーキングメモリの使用量からインタラクション上の問題点領域を指摘する方法について提案する.
筑波大・Wei DAI,佐々木公男
望遠マイクロフォンの開発ができれば,遠方微弱音の採録ができるため,種々の新しい応用の可能性が開かれる.従来から望遠マイクロフォンという名のものは数社から市販されているが,それらは単一指向性のマイクロフォンに音響管をつけて,指向性だけを向上させたものであり,感度が不足する.感度の不足を補うためには,多数のマイクロフォンの利用が必要と考えられる.
そこで,本論文では,センサアレイを用いた,高感度,高SNR,鋭指向性を持つ合焦型望遠マイクロフォン系の実現可能性を1次元アレイの場合について数値解析により基礎的に検討した.本望遠マイクロフォンシステムは可変のゲイン素子と遅延素子を用い,円弧状に並べたマイクロフォン出力のゲイン補償と遅延補正後の信号を加算することにより,高感度,高SNR,鋭指向特性,合焦性を持つ望遠マイクロフォン系を実現しようとするものである.
狭帯域音源に対する本システムの感度分布を明らかにすると共に,音響周波数範囲をカバーするFM変調波による広帯域音源に対する本システムの受信波誤差を,相対的RMS誤差の観点から検討した.これらの結果より,望遠マイクロフォン系の実現性の見込みがあることを示している.
Tokushima Univ.・Tomohiro KUBO,JAIST・Etsujiro SHIMEMURA
A hybrid system of a lumped parameter part and a distributed parameter part is considered. An LQ regulator is constructed by the lumped-parameter-part control. Its robustness against a class of nonlinear perturbation in the input channel is evaluated.
九工大・大川不二夫
ディジタル制御系の設計においては,連続時間系に対する制御系設計法を利用する立場から,まず連続時間制御系を設計し,つぎにこの結果を離散化し,ディジタル制御系を設計する,いわゆる再設計法が主流をしめている.離散時間モデルに対して設計を行う方がより直接的であるにもかかわらず,上記の手順が用いられているのは,連続時間系に対する設計法が十分に確立され,設計者がそれに慣れていることによると考えられる.さらには,計算機等による処理時間の高速化により,サンプリング周期が短くとれることにもよる.一方,このことは離散時間モデルの誘導(離散化)が面倒であったり,その利点が少ないことにも起因するといえる.
ここでは,対象をメカニカルシステムに限定し,近似ではあるが,簡潔でロバストな離散時間モデルを提案する.提案するモデルは,まず畳み込み積分に台形近似則を用いて離散時間運動方程式を得る.次に,この離散時間運動方程式の摂動項を消去することにより誘導される.得られたモデルは,速度信号項を含むが,摂動項を含まず,ロバストなモデルとなっており,制御系設計において非常に有用性があることを示す.また,数値シミュレーション例により提案したモデルの有効性を裏付ける.
長岡技科大・川谷亮治,村田 剛,ファハリ ヘルタ,武士俣 進
倒立振子系は制御工学の分野でもっともよく知られた実験装置の1つであり,制御工学を学び始めたものだけではなく新たに構築された理論の検証用として幅広い層に利用されている.これまでにいろいろな制御目的に対して様々な形態の振子系が構成されているが,実験における安定化制御の難しさは,系を構成する振子の数によって大きく異なる.本論文では,台車上に3本の振子を直列につなげた直列3重型倒立振子系に対する安定化問題を議論する.アクチュエータは台車を駆動するDCサーボモータのみで,台車の位置と振子の相対角度が直接計測できるものとしている.安定化制御器の設計はループ整形設計手法を用いる.その際,拡大系を構成するために選定した重みは,プラントの入力側には観測ノイズ低減用として1次のローパス特性をもつ重み伝達関数,出力側には時間応答改善用として対角の定数行列とする.特に,後者の対角要素の選定には,台車に対する速度制限の下でインパルス応答の絶対値面積が最小となるように数値探索法により決定する.このようにして得られた制御器を用いて制御実験を行い,安定化に成功した.
豊橋技科大・山田 実,徐 粒,斉藤制海
2D(2次元)状態観測器の存在条件と設計問題は2D安定有理関数環上のBezout方程式の可解性と求解問題に帰着されるが,従来の方法では計算効率の上で問題がある.本論文では,2D状態観測器が存在するための新たな必要十分条件とその設計法を示す.特に,加群上のGro¨bner基底法による条件と設計法は,従来の方法の問題点を回避し,可検出性の判定や設計が効率よくできる.これらの結果は,基本的に2D安定化補償器に対する双対的な結果であるが,加群上のGro¨bner基底法を利用する部分が異なり,改良されている.これにより,理論的見通しがよくなっただけでなく,アルゴリズムの実現も簡単となった.また,これらの結果に基づいて2D観測器のパラメトリゼーションを行った.
東北大・内山 勝,薄井和明,Yongqiang DAI
リンクの弾性変形が無視できないマニピュレータをフレキシブルマニピュレータという.フレキシブルマニピュレータの手先軌道が与えられたとき,これを実現する関節変位の軌道およびそのとき発生する弾性変位を求める問題をフレキシブルマニピュレータの逆運動学という.この問題は,運動学を表わす代数方程式と動力学を表わす微分方程式を連立して解く微分代数方程式の問題で,その解法は確立されていない.本論文では,学習制御の考え方を用いた繰返し計算により,逆運動学の解を求めることを提案し,その有効性を示す.まず,逆運動学問題を表わす基礎方程式を示し,問題を定式化する.つぎに,繰返し解法のアルゴリズムを示し,手先軌道として与える目標軌道の性質,ならびに解法における重力補償の方法について論ずる.以上の方法により,回転2自由度の平面フレキシブルマニピュレータの逆運動解を求め,アルゴリズムの有効性を示す.さらに,シミュレーションにより,解の妥当性を示す.逆運動学解では,運動終了と同時に,弾性変形が静的なたわみのみとなり,残留振動が生じないという特徴がある.
Case Western Reserve Univ.・Wei LIN
This paper studies adaptive control
of a class of minimum-phase nonlinear systems
with unknown parameters. Sufficient conditions
are developed for the existence of a nonlinear
adaptive controller that achieves global
stability and regulation. The adaptive controller
is explicitly constructed by using a Lyapunov-like
recursive argument. The result of this paper
incorporates and extends a number of adaptive
control schemes recently proposed in the
literature for globally feedback linearizable
systems without zero danamics.