SICE 社団法人 計測自動制御学会
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 会告:2005年度計測自動制御学会学会賞の贈呈
  2005年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,舘 ワ副会長を委員長としする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞10件,技術賞5件,著述賞2件,教育貢献賞1件が推薦され,理事会の決定を経て8月9日,SICE Annual Conference 2005 会場(岡山大学)において,贈呈式を行い,受賞者に賞状・メダル・賞金が贈呈された.

[論文賞]10件
(論文賞・蓮沼賞)
○多重分光画像における画素内面積比の適応的推定
 (計測自動制御学会論文集 Vol.39, No.2 で発表)
     東京大学 喜安千弥君,藤村貞夫君
(論文賞)
○X線CT画像を利用した織物構造の分析
(計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.10 で発表)
   東京工業大学 篠原寿広君,高山潤也君,大山真司君,小林 彬君
(論文賞・武田賞)
○空気圧式調節弁固着現象のモデル化と固着検出法の開発
 (計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.8 で発表)
     京都大学 丸田 浩君,加納 学君,
     住友化学工業(株) 久下本秀和君,(株)東芝 清水佳子君
(論文賞)
○量子制御ダイナミクスの平衡点解析
 (計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.7 で発表)
     東京大学 山本直樹君,津村幸治君,原 辰次君
○サンプル値区分的アファインシステムの最適制御とCPUの高速・省電力化制御への応用
 (計測自動制御学会論文集 Vol.39, No.10 で発表)
     東京工業大学 東 俊一君,井村順一君
○パラメータを外乱と見なした非線形適応H∞制御系の構成法
 (計測自動制御学会論文集 Vol.39, No.10 で発表)
     統計数理研究所 宮里義彦君
○複数台移動ロボットの搬送経路計画問題に対する自律分散型最適化法
 (計測自動制御学会論文集 Vol.39, No.8 で発表)
     岡山大学 安藤昌和君,西 竜志君,小西正躬君,今井 純君
○状態予測機構を用いた強化学習による運動学習モデル
 (計測自動制御学会論文集 Vol.39, No.7 で発表)
     東京工業大学 井澤 淳君,近藤敏之君,伊藤宏司君
(論文賞・友田賞)
○触覚情報に基づく遠隔臨場感多指ハンドシステムの構築
 (計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.2 で発表)
     名古屋工業大学 佐野明人君,
     (株)デンソー 西 恒介君,三菱重工業(株) 宮西英樹君,
     名古屋工業大学 藤本英雄君
(論文賞)
○空調システム評価のための熱源器モデルの開発
 (計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.7 で発表)
     (株)東芝 木康夫君,岩渕一徳君,村山 大君,船津徹也君
[技術賞]5件
○電磁波レーダを用いたトンネル壁の非破壊検査について
 (第21回センシングフォーラムで発表)
     山口大学 田中正吾君
○自動校正機能を持つ電磁流量計による流量測定
 (第21回センシングフォーラムで発表)
     (株)山武 山本友繁君,山崎吉夫君
○都市ごみ焼却炉におけるモデル予測制御システム
 (計測自動制御学会論文集 Vol.40, No.7 で発表)
     (株)神戸製鋼所 友近信行君,中山万希志君,前田知幸君,
     福井工業大学 新谷裕和君
○プラント運転支援システム開発ツールにおける表層的知識と深層的知識を融合させた記号化知識表現技術とプロセス状態検知技術
 (SICE Annual Conference 2002,ほかで発表)
   横河電機(株) 新名伸仁君,本木利昌君,佐藤恵二君,小林靖典君,
   横河情報システムズ(株) 河野哲士君
○外観検査装置の鉛フリー対応
 (電子技術別冊表面実装マガジン43-16,ほかで発表)
     オムロン(株) 石羽正人君,藤井良樹君,藤田有人君
[著述賞]2件
○線形システム制御理論
 (2003年・森北出版)
     京都工芸繊維大学 大住 晃君
○ロボットモーション
 (2004年・岩波書店)
     東北大学 内山 勝君,東京大学 中村仁彦君
[教育貢献賞]1件
○制御理論とその応用に関する教育と啓蒙活動
     東京大学 原 辰次君


受賞者略歴および受賞論文概要
受賞者略歴および受賞論文概要
きやす せんや
喜 安 千 弥 君
(正会員)
1986年東京大学工学部計数工学科卒業.同年(株)日立製作所生産技術研究所勤務.91年東京大学工学部計数工学科助手.2000年帝京平成大学情報学部講師.03年長崎大学工学部情報システム工学科助教授.パターン情報処理,パターン認識,リモートセンシングなどの研究に従事.博士(工学).電子情報通信学会の会員.
ふじむら さだお
藤 村 貞 夫 君
(正会員)
1968年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士).同年東大工学部助手,講師(計数工学科).73年電気通信大学助教授(電波通信学科).78年東大助教授,88年東大教授.2000年東大退官(東大名誉教授).同年より帝京平成大学教授.この間,80〜81年米国テネシー州立大学工学部客員教授.光情報処理,リモートセンシング,放射測温,高次元画像処理などの研究に従事.応用物理学会,電気学会,IEEE,SPIEなどの会員.
受賞論文「多重分光画像における画素内面積比の適応的推定」
 人工衛星や航空機から地表を観測して得られた多重分光画像においては,ひとつの画素内にしばしば複数の対象物(カテゴリー)が混在する.このような場合に,各カテゴリーが画素内に占める面積比を推定しようとすると,まず各カテゴリーのスペクトルを正しく求める必要がある.ところが,別の領域で得られたトレーニングデータから要素スペクトルを求めると,対象とする領域の分光特性に一致しない場合があり,面積比の算出結果に誤差を生じる原因となっていた.本論文では,トレーニングデータを利用せずに,観測データ自身から要素スペクトルを適応的に推定して面積比を算出することを提案した.対象領域の画素を特徴空間に写像し,それらを囲む最小の単体を決定して,その頂点から要素スペクトルを推定した.各カテゴリーの分光特性が領域ごとに変動する場合においても,面積比が正しく推定できることをシミュレーション実験で確認した.

しのはら としひろ  篠 原 寿 広 君
(学生会員)
 2003年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻修士課程修了.同年同大学院理工学研究科機械制御システム専攻博士課程入学,現在に至る.3次元画像計測に関する研究に従事.
たかやま じゅんや高 山 潤 也 君
(正会員)
 1998年東京工業大学大学院修士課程修了.同年日産自動車(株)入社.2000年,東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手,現在に至る.高度能動計測系としての信号場の理論とその応用などの研究に従事.
おおやま しんじ
大 山 真 司 君
(正会員)
 1984年東京工業大学大学院修士課程修了.同年(株)日立製作所 日立研究所入社.90年東京工業大学工学部助手,現在同学大学院理工学研究科助教授.計測工学,計測システム構成論などの研究,教育に従事.1986年度本学会論文賞受賞.IEEE,電気学会などの会員(博士(工学)).
こばやし あきら
小 林   彬 君(正会員)
 1969年東京工業大学大学院博士課程修了.同年東京工業大学助手.87年同教授,2005年3月退官.現在大学評価・学位授与機構客員教授.計測用空間フィルタ,感覚計測,解領域法による信号処理,信号場,高SN比計測法などの研究に従事.1973,1980,1986年度本学会論文賞受賞.1996年本学会フェロー(工学博士).
受賞論文「X線CT画像を利用した織物構造の分析」
 繊維産業において織物の織られ方を解析する「組織分解」は,織物設計に重要な役割を果しているにも関わらず手作業で行われているのが現状で,近年組織構造の複雑化に伴い,ますます重要性を増すとともに自動化が切望されている.これまでの組織分解の自動化に関する研究は試料の表面画像を利用するため,対象は一層の組織構造の織物に限られていた.われわれは試料の断面画像を利用し,複数の層を有する多重織物にも対応する組織分解について新手法を提案した.本研究は試料の糸同士の位置関係を復元できる各糸の心線の位置情報を得ることを目的とし,糸断面モデルと呼ぶ関数と断面画像との相関をとることで各断面画像に現れた糸断面の中心点,すなわち心線上の点を推定する糸心線点列推定法を考案した.従来組織分解が困難であった多重織物について,X線CTにより得られた断面画像に本手法を適用し,各糸の心線の位置情報が問題なく得られることを確認した.

まるた ひろし
丸 田   浩 君
(正会員)
 2002年京都大学工学部工業化学科卒業.04年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了.同年昭和電工(株)に入社.現在は化学プロセスの開発・改善業務に従事.
かのう まなぶ
加 納   学 君
(正会員)
 1992年京都大学工学部化学工学科卒業.94年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了.同年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻助手.2004年同助教授.現在に至る.この間99〜00年オハイオ州立大学客員研究員.統計的プロセス運転監視・品質改善,プロセス制御,マイクロ化学プロセスに関する研究に従事.博士(工学).化学工学会,システム制御情報学会,AIChEの会員.
くげもと ひでかず久下本 秀 和 君(正会員)  1990年東京都立科学技術大学管理工学科(現 首都大学東京)卒業.92年東京都立科学技術大学大学院電子情報系システム工学専攻修士課程修了.同年住友化学工業(株)(現 住友化学(株))に入社.現在に至る.プロセス制御改善,高度制御技術の開発および適用業務に従事.
しみず けいこ
清 水 佳 子 君
(正会員)
 1988年東北大学理学部物理学科卒業.同年(株)東芝に入社.現在同社火力タービンプラント計画技術部にて,発電プラント制御に関する開発業務に従事.博士(工学).IEEE,システム制御情報学会,電気学会などの会員.
受賞論文「空気圧式調節弁固着現象のモデル化と固着検出法の開発」
 制御性能監視は,生産プラントの高効率運転を実現するために重要な技術である.制御性能が劣化する原因は,コントローラの調整不良や機器の不具合など様々であるが,プロセス産業において発生頻度の高い原因は空気圧式調節弁の固着である.調節弁の固着はプロセス変数の周期振動を引き起こすため,早期に固着を検出し,制御性能を向上させるためにオペレータが適切に対応することを促す仕組みが必要である.本研究では,調節弁に固着が発生するメカニズムについて検討し,調節弁固着現象のモデル化を行うとともに,固着検出法を提案する.提案法と既存手法を,開発した固着現象モデルを用いて発生させたシミュレーションデータ及び複数の化学プロセスの運転データに適用した.その結果,提案する固着検出法は,優れた固着検出性能を実現できるとともに,固着とコントローラの調整不良や外乱とを識別できることを確認した.

やまもと なおき山 本 直 樹 君(正会員)  1999年東京大学工学部計数工学科卒業,2004年同大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了.2003年4月より日本学術振興会特別研究員.現在カリフォルニア工科大学客員研究員.量子制御理論,システム解析の研究に従事.博士(情報理工学).
つむら こうじ
津 村 幸 治 君
(正会員)
 1992年東京大学大学院計数工学専攻博士課程修了,同年千葉大学情報工学科助手,96年同講師,98年東京大学大学院計数工学専攻講師,2000年同助教授,現在同大学大学院情報理工学系研究科助教授.制御理論,システム解析の研究に従事(博士(工学)).システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
はら しんじ
原   辰 次 君
(正会員)
 1976年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程制御工学専攻終了.同年日本電信電話公社入社.80年長岡技術科学大学助手.84年東京工業大学工学部助教授.92年同大学総合理工学研究科教授.2000年同大学情報理工学研究科教授.02年東京大学情報理工学研究科教授となり,現在に至る.ロバスト制御理論,サンプル値制御理論,ハイブリッド制御理論などの研究に従事,工学博士.システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
受賞論文「量子制御ダイナミクスの平衡点解析」
 本論文では,有限次元量子状態が従う制御ダイナミクスの平衡点を,とくに平衡点が制御,測定にどのように依存するかに注目して解析した.ダイナミクスは伊藤型確率微分方程式で記述され,ドリフト項がゼロとなる点を平衡点と定義する.すなわち,平均過程の平衡点を考察する.まず,平衡点が1次モーメント安定であることを示した.つぎに,孤立平衡点の制御,測定依存性を明示し,この孤立平衡点が量子状態であることを示した.量子状態は情報源として用いることが可能であり,そのためエントロピーが定義できる.このとき,平衡点のエントロピーが最大(または最小)になるための必要十分条件を求めた.また,その結果を用いて制御,測定による平衡点の移動の可能性について議論した.
以上で解析した結果は全て, 一般的な有限次元量子系にあてはまり, 制御
系設計において重要な指針を与えると考えられる. すなわち, 望ましい
量子状態を実現するために, いかなる物理量を測定し, そしてダイナミクス
の制御を行えばよいかの指針を与えるものである.

あずま しゅんいち
東   俊 一 君
(正会員)
 2004年東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻博士後期課程修了.同年4月より日本学術振興会特別研究員,11月よりジョージア工科大学客員研究員.現在に至る.ハイブリッドシステム論などの研究に従事.博士(工学).2002年度本学会学術奨励賞受賞.IEEEの会員.
いむら じゅんいち
井 村 順 一 君
(正会員)
 1992年京都大学大学院工学研究科博士課程中途退学.同年京都大学工学部助手.96年広島大学工学部助教授.2001年東京工業大学大学院情報理工学研究科助教授,04年同教授となり,現在に至る.98年5月トエンテ大学客員研究員.非線形制御,ハイブリッドシステム論などの研究に従事.博士(工学).IEEE,システム制御情報学会,日本ロボット学会,日本鉄鋼協会などの会員.
受賞論文「サンプル値区分的アファインシステムの最適制御とCPUの高速・省電力化制御への応用」
 近年,ハイブリッドシステムの最適制御に関する研究が多くなされているが,その多くが連続時間もしくは離散時間の区分的アファインシステムや混合論理動的システムに対するものであった.本論文では,論理的離散事象を含むハイブリッドシステムにおけるスイッチングがサンプル値型であることに着目し,サンプル値区分的アファインシステムモデルを用いた最適制御入力の設計法を示した.提案手法は,サンプル点間の最適制御問題の解を陽に与えた上でサンプル点の最適化問題を解くという考えに基づくものであり,従来手法では困難であったサンプル点間の状態と制御入力の応答を考慮に入れた最適制御入力を比較的少ない計算量で与えることができる.さらに,本論文では,CPUの高速・省電力化制御問題を,サンプル値区分的アファインシステムの最適制御問題として定式化し,数値例によって提案手法の有効性を示した.

みやさと よしひこ
宮 里 義 彦 君
(正会員)
 1979年東京大学工学部計数工学科卒業,84年同大学院博士課程修了.同大学工学部助手,千葉工業大学機械工学科助手を経て,1987年7月より文部省統計数理研究所予測制御研究系助教授.現在改組に伴い大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 数理・推論研究系 助教授.総合研究大学院大学数物科学研究科統計科学専攻助教授併任.1991年度,1996年度本学会論文賞受賞.制御理論,特に適応制御などの研究に従事.IEEE,システム制御情報学会などの会員(工学博士)
受賞論文「パラメータを外乱と見なした非線形適応H∞制御系の構成法」
 適応制御の研究においてこれまでの議論は適応系の安定性に関するものが大部分であり,過渡特性を含む制御性能については多く論じられてこなかった.これに対して近年,逆最適化の観点に立って,漸近安定であるだけでなく特定の評価関数に対して最適あるいは準最適となるような非線形制御系や適応制御系の構成法に関する研究が行われている.これは非線形制御や適応制御の安定解析に用いるリアプノフ関数とHamilton-JacobiあるいはHamilton-Jacobi-Isaacs方程式の解を部分的に関連づけることにより可能となる.本稿ではこれに関連する話題として,逆最適性の考え方に基づいて,制御対象に含まれるパラメータの推定誤差あるいはパラメータの変動部分を未知外乱と見なして,未知外乱(パラメータ)から一般化出力までのL2ゲインを規定する非線形適応H∞制御系の構成法とその性質について述べている.
 この制御系は制御対象が線形系または非線形系いずれの場合も非線形H∞制御問題から導かれる非線形制御方式であり,適応パラメータの調整則に依存せずに制御系の有界性が保証され,システムパラメータが時変(任意の有界な変動)の場合にも適用できる.さらにシステムパラメータが時不変または一定値に収束する時には,制御誤差のゼロへの収束も達成される.また高調波利得が時不変の場合,得られた制御入力はあるH∞制御問題の準最適解であることが示される.
 ここで得られた非線形適応制御系はκ-term補償も含む非線形ダンピング法の一般化と考えられ,最適性の観点から導かれて時変のパラメータ変動から入力の一部も含む一般化出力へのL2ゲインが規定される点が,大きな特徴となっている.

あんどう まさかず
安 藤 昌 和 君
(正会員)
 2002年岡山大学工学部電気電子工学科卒業,04年同大学大学院自然科学研究科電子情報システム工学専攻博士前期課程修了.04年より三菱マテリアル(株)に入社し,現在に至る.在学中は,搬送システムの制御に関する研究に従事.
にし たつし
西   竜 志 君
(正会員)
 1996年京都大学工学部化学工学科卒業,98年同大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了,2001年同研究科博士後期課程修了,01年岡山大学工学部電気電子工学科助手.05年より同大学大学院自然科学研究科助手.サプライチェーンの最適化,生産スケジューリング,搬送システムの設計と制御に関する研究に従事.博士(工学).IEEE,電気学会,システム制御情報学会,スケジューリング学会,日本オペレーションズリサーチ学会,化学工学会の会員.
こにし まさみ
小 西 正 躬 君
(正会員)
 1969年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修士課程修了.同年(株)神戸製鋼所入社.同社中央研究所,浅田研究所,電子技術研究所を経て,94年より同社技術開発本部研究首席.99年9月同社を退職し,同年10月より岡山大学工学部工学部教授,2005年4月より同大学院自然科学研究科産業創生工学専攻教授.プロセス制御の知能化,生産スケジューリング技術の研究に従事.工学博士.システム制御情報学会,電気学会,日本鉄鋼協会, 日本機械学会,IEEEなどの会員.
いまい じゅん
今 井   純 君
(正会員)
 1987年九州大学工学部電気工学科卒業.92年九州大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了.九州工業大学助手,九州大学助手を経て,2000年より岡山大学講師.現在,分布定数系のモデリングと制御に関する研究に従事.工学博士.システム制御情報学会,電気学会,米国電子電気学会(IEEE)の会員.
受賞論文「複数台移動ロボットの搬送経路計画問題に対する自律分散型最適化法」
 半導体工場における搬送システムでは,AGV(Automated Guided Vehicle)間の衝突やすれ違いをなくし,搬送時間を最短とする経路計画を迅速に作成することが求められている.本論文では,複数台AGVの搬送経路計画問題を混合整数計画問題として定式化し,各AGVが情報交換と各AGVの経路計画の最適化を繰り返すことにより,総搬送時間を最短とする搬送経路を作成する自律分散型最適化法を用いた解法を提案した.提案手法によって得られる解の最適性について検討するため,ラグランジュ緩和法により下界値を導出し,双対ギャップを求めた.その結果,提案手法は143ノードから構成される搬送経路において15台のAGVの搬送経路を双対ギャップが5%以内の解を約5秒以内の計算時間で導出することができることを示した.さらに,3次元搬送路を有する搬送システムを対象として,AGVの速度が異なる問題に対する経路計画を行うことにより,さまざまな条件下で提案した自律分散型最適化法の柔軟性を確認した.

いざわ じゅん
井 澤   淳 君(正会員)
 2004年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了.博士(工学).同年NTTコミュニケーション科学基礎研究所客員研究員(日本学術振興会特別研究員),現在ジョンズ・ホプキンス大学ポスドク研究員(日本学術振興会特別研究員).生体運動制御の研究に従事.日本機械学会,北米神経科学会の会員.
こんどう としゆき
近 藤 敏 之 君(正会員)
 1999年名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年カリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員(日本学術振興会特別研究員).2000年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻助手,現在に至る.2004年本学会論文賞受賞.複雑適応システムとその工学応用に関する研究に従事.日本ロボット学会,IEEEなどの会員.

いとう こうじ
伊 藤 宏 司 君(正会員)
 1969年名古屋大学大学院工学研究科修士課程応用物理学専攻修了,70年同大学工学部自動制御研究施設助手,79年広島大学工学部第2類(電気系)助教授,92年豊橋技術科学大学情報工学系助教授を経て,96年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻教授,現在に至る.運動・行動の学習と制御,自律ロボット,人間共存ロボット,義肢制御に関する研究に従事.日本ロボット学会,電子情報通信学会,IEEEなどの会員.工学博士.
受賞論文「状態予測機構を用いた強化学習による運動学習モデル」
 ヒトは試行錯誤により,環境と目的に応じた運動を獲得することができる.このような生体の運動学習を理解するために,本論文では強化学習と神経回路網から構成される運動学習モデルを提案した.ロボットを制御する場合と異なり,生体には視覚感覚情報のフィードバックに神経伝達に由来する200ms程度の時間遅れが存在する.また,関節トルクから筋力への分配は一般に不良設定問題である.タスクにとって最適な運動軌道,関節トルクと各筋力を求めるために,関節角度,角速度を観測し,各筋への運動指令を出力するActor-Critic networkを用いた.さらにむだ時間遅れを保証するために神経回路網によって構成される内部モデルを用いた.内部モデルと強化学習は同時に学習をすることができる.2関節6筋モデルの到達運動を例に,提案モデルが滑らかな運動を獲得できることを示した.さらに,最適化の規範としてモデル予測誤差最小規範を提案し,これが最小分散モデルの近似になることを示した.

さの あきひと
佐 野 明 人 君(正会員)
 1987年岐阜大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了,同年岐阜大学機械工学科助手,92年電気通信大学機械制御工学科助手,94年名古屋工業大学機械工学科講師,98年同助教授,2003年同大学トヨタ自動車寄附講座客員教授,05年同大学大学院工学研究科教授,現在に至る.触覚テクノロジー,人間−機械系,受動歩行の研究に従事.博士(工学).日本機械学会,日本ロボット学会,日本バーチャルリアリティ学会などの会員.
にし こうすけ
西   恒 介 君(正会員)
 2001年名古屋工業大学工学部機械工学科卒業,03年同大学大学院工学研究科博士前期課程修了(生産システム工学専攻),同年(株)デンソーに入社.在学中テレロボティクスの研究に従事,現在ディーゼルコモンレールシステムの品質保証に従事.
みやにし ひでき
宮 西 英 樹 君(正会員)
 2001年名古屋工業大学工学部機械工学科卒業,03年同大学大学院工学研究科博士前期課程修了(生産システム工学専攻),同年三菱重工業(株) 汎用機・特車事業本部に入社.在学中テレロボティクスの研究に従事,現在特殊車両の開発・設計業務に従事.
ふじもと ひでお
藤 本 英 雄 君(正会員)
 1970年名古屋大学工学部機械学科卒業,現在名古屋工業大学教授.ものづくりテクノセンター長.理化学研究所研究員(併任).工学博士.医学工学や感性の工学,ロボティクスなどに興味をもつ.ASME最優秀論文賞など多数受賞.スケジューリング学会会長,本学会常務理事,文科省科学技術・学術審議会文化資源委員会委員など歴任.現在,愛知県ものづくり人材育成協議会座長,日本機械学会フェロー・評議員,本学会中部支部支部長.
受賞論文「触覚情報に基づく遠隔臨場感多指ハンドシステムの構築」
 バイラテラル遠隔操作システムにおいて,ロボットから操作者へ触覚情報を伝送することは,臨場感を高めるのに非常に重要である.触覚に関わる機械受容器の一種であるマイスナー小体はコイル状軸索構造を有し,様々な摩擦状態により生じる皮膚の横伸び・せん断変形を選択的に感知する.本研究では,この特性に基づき,非均一な弾性皮膚に内蔵したバイオミメティックなコイル状触覚センサを開発した.本論文では,この新しい触覚センサにより,接触直後の摩擦係数,接触中心および初期局所滑りが計測できることを確認した.また,繊細さが要求されるタスクとして,滑りやすいテーパー状の物体をピンチ動作により把持し持ち上げる操作を取り上げた.そして,ネットワークを介した遠隔操作実験において,操作者は触覚ディスプレイからの触覚情報を用いて,把持力と負荷力を適切に調整し,安定な把持・持ち上げ動作を実現した.

たかぎ やすお
高 木 康 夫 君(正会員)
 1980年京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程修了.同年(株)東芝入社.発電プラントおよび発電機制御技術開発ならびに空調システムのシミュレーション解析に従事.87年ミズーリ州ワシントン大学システム科学科修士号取得.博士(工学).電気学会,システム制御情報学会などの会員.
いわぶち かずのり
岩 渕 一 徳 君(正会員)
 1997年千葉大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了.同年(株)東芝入社.主として,発電システムおよび空調システムの制御技術,シミュレーション技術の開発に従事.
むらやま だい
村 山   大 君(正会員)
 2001年東京工業大学大学院理工学研究科制御工学専攻修士課程修了.同年(株)東芝入社.主として,エネルギーソリューション技術や発電プラント制御技術の開発に従事.電気学会会員.
ふなつ てつや
船 津 徹 也 君(正会員)
 1987年九州大学総合理工学研究科エネルギー変換工学修士課程修了.同年(株)東芝入社.主として,発電プラントのシステム・制御技術開発に従事.博士(工学).電気学会,機械学会,空気調和衛生工学会の会員.
受賞論文「空調システム評価のための熱源器モデルの開発」
 近年,地球温暖化ガスの大量放出による地球全体の気候変動が国際的な注目を集めている.この目標達成に向けて,民生分野全般にわたる温暖化ガス抑制が重要な課題となっている.本論文では,特に,現在もCO2発生量が着実に増加しつつある民生分野の中で,大きなCO2発生量を占める建築物に関して,そのコミッショニングや省エネ改造による効果を精密に評価するためのシミュレーションモデルについて述べる.ビルの熱需要は季節や時刻により大きく変化するので,その消費エネルギーやCO2発生量を正確に把握するには,実際の1年間の負荷条件を考慮したエネルギー消費量の正確なシミュレーションが必要である.本論文では,このために開発した熱源器の動的なシミュレーションモデルを紹介する.開発したモデルは,吸収式冷凍機,ターボ冷凍機,レシプロ冷凍機モデルである.各々,物理的な考察に基づき,その関係式からシミュレーションモデルを構築した.モデルの妥当性を検証するために,地域熱供給プラントでの機器応答と比較して,その精度を確認した.

たなか しょうご
田 中 正 吾 君(正会員)
 1976年九州大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了.同年同大学助手を経て,80年山口大学工学部電子工学科助教授,91年同大学電気電子工学科教授,現在に至る.インテリジェント計測,生体医用計測,非破壊検査などの理論および応用研究に従事(工学博士).電気学会,システム制御情報学会などの会員,中国文化賞(2003),文部科学大臣賞(2004),日本工学教育協会賞(2004)などを受賞,2003年本会フェロー.
受賞論文「電磁波レーダを用いたトンネル壁の非破壊検査について」
 国内には,自動車用,鉄道用,発電所水路用トンネルなど,総延長8,700kmにも及ぶトンネルがあり,これらのほとんどが建設後30〜50年を迎え,アルカリ性骨材反応を始め,種々の衝撃や負荷等により劣化しつつある.たびかさなる崩落事故に対処するため多くの診断手法が考えられているが,いまだ安心して使えるものはない.
 本論文は,これらの診断手法のうち,特に電磁波レーダ法に的を絞り,高信頼度・高精度な電磁波レーダ非破壊検査システムを開発・実用化したものである.つまり,従来の方式は受信波を単にBモード濃淡画像で表わし,これを検査担当者が目視でみることにより異常を“推察”していたため,熟練者と言えども信頼度の高い検査は困難であった.これに対し本論文で開発した方式は,電磁波の伝播過程を忠実にモデル化した信号伝播モデルに基づき,コンクリート内部のクラックや空洞の位置,種別,大きさなどをリアルタイムに正確に検査・計測できるようにしたものであり,深さ方向にクラックや空洞が複数重なっている複雑な場合にも,高信頼度・高精度な非破壊検査ができるようになっている.

やまもと ともしげ
山 本 友 繁 君(正会員)
 1986年大阪大学基礎工学部制御工学科卒業.同年山武ハネウエル(株)(現(株)山武)入社.研究開発本部所属.おもにマイクロフローセンサ,電磁流量計など工業計器の研究開発に従事.
やまざき よしお
山 崎 吉 夫 君
 1994年名古屋工業大学生産システム工学科卒業.同年山武ハネウエル(株)(現(株)山武)入社.研究開発本部所属.おもに電磁流量計など工業計器の研究開発に従事.
受賞論文「自動校正機能を持つ電磁流量計による流量測定」
 電磁流量計は,管内に障害物を持たない・高精度などの特徴を持ち,様々なアプリケーションに適用されている.通常の電磁流量計は,流速vに比例する起電力(v×B成分,B:磁束密度)に基づいて流量計測を行っているため,流速以外のパラメータ変化によって発生する計測誤差を排除できず,低導電率流体が測定できないなど適用できるアプリケーションにも限界があった.本論文では,センサ部構造を変え,磁場の時間変化によって発生する起電力(∂A/∂t成分,A:ベクトルポテンシャル)も同時に抽出し,流体が流れたままリアルタイムで流量の補正を行う新たな方式を提案する.新方式の電磁流量計では,従来の電磁流量計では実現が難しい高周波励磁を行うことにより,高S/N比・高速応答といった基本性能の向上が実現でき,さらに流体の特性や状態も把握できるなど流量計の枠を越えた様々な応用可能性がある.新方式のセンサ部構造・補正動作方法を示し,実験によりその基本性能を確認した.

ともちか のぶゆき
友 近 信 行 君
 1994年3月京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修了.同年4月(株)神戸製鋼所入社,同社電子技術研究所などを経て,現在,生産システム研究所所属.主として,ごみ処理プラント・鉄鋼生産プロセス・溶接ロボットの制御,システム最適化に関する研究開発に従事.
なかやま まきし
中 山 万希志 君(正会員)
 1985年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻制御工学分野修了.同年(株)神戸製鋼所入社,電子技術研究所に所属.90年3月から技術研究組合国際ファジィ工学研究所へ出向,92年4月帰任,2004年4月から生産システム研究所所属,現在に至る.主として知的制御システムの研究開発に従事.工学博士.システム制御情報学会,日本知能情報ファジィ学会,日本鉄鋼協会の会員.
まえだ ともゆき
前 田 知 幸 君(正会員)
 1990年3月神戸大学工学部システム工学科卒業,92年3月神戸大学大学院工学研究科修士課程修了,同年4月(株)神戸製鋼所に入社,同社電子技術研究所などを経て,現在生産システム研究所に所属.主として制御理論,画像認識,プロセス制御などの研究開発に従事.
あらや ひろかず
新 谷 裕 和 君
 1974年大阪大学基礎工学部生物工学科卒業.同年(株)神戸製鋼所入社.同社技術開発本部において機械制御研究室長,振動音響研究室長等を歴任.2004年福井工業大学機械工学科教授に就任.05年同大学原子力技術応用工学科教授,現在に至る.主として遠隔操作の研究や歩行ロボットの研究に従事.博士(工学).システム制御情報学会,日本機械学会,日本ロボット学会の会員.
受賞論文「都市ごみ焼却炉におけるモデル予測制御システム」
 本論文は,都市ごみ焼却炉(流動床炉)における熱エネルギーを有効利用するために,多変数モデル予測制御手法を用いてボイラ発生蒸気を安定化することを提案し,商用の実炉を用いてその有効性を示した.従来の予測モデルでは給塵量のばらつきを考慮できなかったが,炉内酸素濃度をモデル入力にすることによって給塵外乱を考慮でき,予測精度を飛躍的に改善できることを示した.さらに,給塵機回転速度と蒸気弁開度を入力とする従来の予測モデルと,炉内酸素濃度を入力とするモデルを組み合わせ,高精度な予測に基づくモデル予測制御アルゴリズムを考案した.実機稼動中の流動床ごみ焼却炉における実験により,給塵量の突発的な変動に対しても,蒸気系や炉内温度を安定化できることを確認した.

にいな のぶひろ
新 名 伸 仁 君(正会員)
 1986年高知大学農学部農業工学科機械コース卒業.同年横河電機(株)に入社,同社商品開発部にて,運転支援(AI/エキスパートシステム)や高度制御(非線形最適化,ニューロ,ファジィ)のソフトウェアパッケージの開発・設計と,それらの製品を使ったコンサルテーション業務に従事.現在,商品マーケティング部にて運転支援関連ソフトウェアパッケージの企画・販売推進に従事.環境システム計測制御学会の会員.
もとき としまさ
本 木 利 昌 君(正会員)
 1983年東京農工大学工学部数理情報工学科卒業.同年横河電機(株)に入社,現在,ソリューションベースソフトウェア製品開発部に勤務.PIMS(Plant Information Management System),プラント運転支援システムなどのソフトウェアパッケージ開発に従事.
さとう けいじ
佐 藤 恵 二 君(正会員)
 1991年大阪大学基礎工学部機械工学科卒業.同年横河電機(株)に入社,現在,プラットホーム開発部に勤務.運転支援ツールの企画/開発に従事.
こばやし やすのり
小 林 靖 典 君(正会員)
 1990年東京理科大学理学部数学科卒業.同年横河電機(株)に入社,現在,業種マーケティング室に勤務.石油・化学業種のマーケティングに従事.
こうの さとし
河 野 哲 士 君(正会員)
 1986年広島大学大学院修士課終了(中間エネルギー物理学).同年YSテクノシステム(株)に入社.現在,横河情報システムズ(株)生産情報システム事業部広島システム部に勤務.生産支援系システムの開発に従事.
受賞論文「プラント運転支援システム開発ツールにおける表層的知識と深層的知識を融合させた記号化知識表現技術とプロセス状態検知技術」
 プラントの運転支援システムは,運転員がプラントを安定,安全かつ効率的に運転できるように支援するシステムである.運転員を支援するには,ベテラン運転員の運転知識を活用することが重要な鍵となるが,記述言語/方式の複雑さなどから,運転員が運転知識の抽出をすることが難しいという問題があった.そのため,知識技術者が知識を抽出し文字型で運転知識を表現していた.
 そこで,研究では制御型知識システム構築に向くフローチャート形式を使った知識表現と,診断型知識システム構築に向くロジックチャート形式を使った知識表現に,メンタルモデルを加味した記号処理技術を開発し,複雑な運転知識を分かりやすい形式で表現することを可能とした.また,プロセス状態検知技術は,時間の要素を加えた論理演算で状態検知する記号処理により,プロセスの状態を検知する技術である.これらの技術を組み合わせることで,論理演算(深層的知識)と知識(表層的知識)を組み合わせた,高度な異常診断が可能になる.
 本成果により,運転ノウハウを持ったオペレータ自身が,運転支援システムを容易に開発・保守することが可能となり,あらゆる産業界から高い評価を受け,導入例が数多く報告されている.

いしば まさと
石 羽 正 人 君
 1987年青山学院大学電気電子工学専攻博士課程前期課程修了.同年(株)オムロンライフサイエンス研究所入社,2003年よりオムロン(株),画像処理工学に従事.
ふじい よしき
藤 井 良 樹 君
 1991年関西大学工学部工学研究科博士課程前期課程修了.同年(株)オムロンライフサイエンス研究所入社.2003年よりオムロン(株),画像処理工学,ソフトウェア工学に従事.電子情報通信学会会員.
ふじた ゆうじん
藤 田 有 人 君
 1997年早稲田大学理工学部機械工学科卒業.同年オムロン(株)入社,機械工学,画像処理に従事
受賞論文「外観検査装置の鉛フリー対応」
 はんだ外観検査装置は,プリント基板の製造ラインで電子部品のはんだ付け状態の良否を検査する装置である.これまで電子部品の微細化,実装の高密度化の進展に合わせて,はんだ外観検査装置の検査性能を向上させてきた.近年ではさらに地球環境への配慮から,環境負荷物質である鉛の全廃に向けた動きの中で,はんだに含まれる鉛成分を除去した鉛フリーはんだの採用が各メーカで進んでいる.近い将来,すべての基板が鉛フリーになる見込みである.このような状況下で,はんだの鉛フリー化によるはんだ外観の変化・特徴を説明し,次に鉛フリー化と当社のはんだ外観検査の関係,および当社が鉛フリー用に新たに開発した機能について述べる.

おおすみ あきら
大 住   晃 君(正会員)
 1969年京都工芸繊維大学大学院修士課程修了.同年同大学生産機械工学科助手.同助教授を経て,89年同機械システム工学科教授となり現在に至る.その間,83年米国ハーバード大学応用科学科客員研究員.確率システムの同定・推定・制御および不規則雑音に埋もれた信号の検出などの研究に従事.工学博士 (京都大学).1982年本学会論文賞,1991年日本下水道管渠推進技術協会第2回黒瀬賞,2001年システム制御情報学会論文賞および砂原賞を受賞.システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
受賞図書「線形システム制御理論」
 本書は現代制御理論をわかりやすく記述した入門書である.近年システム制御に関するテキストは数多く出版されているが,それらはどちらかといえば研究用テキストとして最適であって,その1冊で制御全般を見わたすには必ずしも適していない.大学で用いるテキストは,カリキュラム上,一学期中に1冊の学習を終えるような薄い内容になってしまわざるを得ず,したがってそのようなテキストが巷間に数多くみうけられるが,本書はそれらとは一線を画し,現代制御理論一点に焦点を絞り,システムの数学表現,システムの安定性,可制御性・可観測性,レギュレータとオブザーバ,ダイナミックプログラミング法と最大原理による最適制御と現代制御理論で不可欠な線形代数を総ページ数 242頁で要領よくまとめている.本書では,システム制御理論がどのように構築されてきたかを詳しくかつやさしく記述することに心がけ,説明にはほとんど手が抜かれていない.各章に演習問題と解答をつけて自習書としても利用可能となるようにし,システム制御の基礎となる考え方を中心に記述することに留意して,システム制御理論のほぼ全般を勉強するのに適したテキストを目指して書かれている.
 線形時不変システムのみならず時変システム,さらには離散時間システムをも対象とし,式の誘導なども初学者でも十分にフォローできるように記述されている.また読者が親近感を覚えるように,Riccati,Lyapunov,Kalman,Bellman,Pontryagin の似顔絵を載せ,制御分野で名前が出てくる研究者や数学者の略歴と考え方のヒントなどを脚注に加え,また各章の冒頭にその章の内容に関連した著名人のフレーズや著書の一文を引用して知的好奇心を惹くように工夫されている.

うちやま まさる
内 山   勝 君(正会員)
 1972年東京大学工学部産業機械工学科卒業.77年同大学大学院博士課程修了,工学博士.同年東北大学工学部精密工学科助手.80年同助教授.92年同学部機械航空工学科教授.97年同大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻教授,現在に至る.ロボティクス,自動制御,スペーステクノロジーの研究,教育に従事.日本機械学会フェロー.日本ロボット学会,日本航空宇宙学会などの会員.
なかむら よしひこ
中 村 仁 彦 君(正会員)
 1977年京都大学工学部精密機械工学科卒業.82年同大学大学院博士課程退学.同年京都大学工学部オートメーション研究施設助手.87年カリフォルニア大学サンタバーバラ校機械環境工学科助教授.90年同準教授.91年東京大学工学部機械情報工学科助教授.97年同大学大学院工学系研究科機械情報学専攻教授.2001年同大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻教授.現在に至る.工学博士.ロボティクス,自動制御,脳型情報処理などの教育と研究に従事.日本ロボット学会,システム制御情報学会,日本コンピュータ外科学会,IEEE,ASMEの会員.日本機械学会フェロー.日本IFToMM会議実行委員長.
受賞図書「ロボットモーション」
 本書では,ロボットの運動の本質が知能にあり,ロボットの運動は,この知能が実世界に出会うところに生れるという立場より,ロボットモーションを論じている.この立場からすると,ロボットモーションは,情報世界と実世界をつなぐ重要な事象である.このようなロボットモーションについて,本書は,ひとつの新しい枠組みの提示をこころみている.この枠組みにおいては,機構,運動,力学,制御を論じる従来のスタイルが脱却され,空間運動の幾何学,計算から出発し,直接,運動と情報,運動と知能が論じられる.このような構成により,ロボット学が目標とする知能を実現するためのひとつの道筋が示される.この道筋に従えば,ロボット学における重要な概念である,ロボットのタスク,行動,スキルを論じることが可能となる.本書では,タスクという切り口から,これらの概念を論じ,その断面を示している.そして,ロボットの知能について,具体像を与えている.

はら しんじ
原   辰 次 君(正会員)
 1976年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程制御工学専攻終了.同年日本電信電話公社入社.80年長岡技術科学大学助手.84年東京工業大学工学部助教授.92年同大学総合理工学研究科教授.2000年同大学情報理工学研究科教授.02年東京大学情報理工学研究科教授となり,現在に至る.ロバスト制御理論,サンプル値制御理論,ハイブリッド制御理論などの研究に従事,工学博士.システム制御情報学会,IEEEなどの会員.
受賞教育活動「制御理論とその応用に関する教育と啓蒙活動」
 研究面における国際的な活躍の一方で,長年にわたり,本学会の講習会においてロバスト制御理論とその応用を中心とした教育,学会における講演や会誌解説記事等を通した制御理論の重要性の啓蒙,さらに高校生を対象とした制御工学セミナーなどに尽力され,わが国の制御工学の発展に多大の貢献をした.
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