福祉工学部会見聞録

 

20051024() 13:1516:30、福祉工学部会見学会セミナーにて

場所 早稲田大学 大久保キャンパス 藤江正克(ふじえ まさかつ)研究室

http://www.sci.waseda.ac.jp/campus-map/

http://www.fujie.mech.waseda.ac.jp/

 

2005年度第5回福祉工学部会見学会セミナーを開催しました。当日は作業療法士、理学療法士の方もおられ、12名で見学しました。最初に、藤江正克教授よりご挨拶と研究室の概要のご紹介があり、次に福祉関連ロボット、医療関連ロボットのデモ・見学とご紹介があり、最後に茶話会で情報交換しました。

 

挨拶中の藤江正克教授(超多忙な方であるが、いつもユーモアや笑いを忘れない。)

長年培った経験も活かし、21世紀のCOEプログラムの一環として、ロボット技術等の最先端技術を応用し高齢者・障害者のための福祉機器の研究開発も行っており、現在進行中の研究も含め紹介して下さった。

 

医療ロボットの研究者の柳原さんの引率でまず福祉ロボットのデモ見学に大久保キャンパスの向かえにある東京都心身障害者福祉センターに向かった。

 

福祉関連ロボットの研究紹介

トレッドウォーク(Tread Walk)の紹介(東京都心身障害者福祉センターの前で):トレッドミル(人が乗って歩くと後方に移動するベルトコンベア)に車輪をつけたような乗り物を研究開発中で、デモと試乗を体験させていただいた。高齢者の心理とニーズの研究に基づいて提案された従来にない移動支援機で、トレッドミルの上で歩くと、その際に蹴り出す力を検知し、歩くスピードに比例して車が速く前進し移動でき、歩くのを止めると止まる。高齢者の残存能力を活かし、生活範囲拡大を目指した移動支援ロボットで、いつもの歩行でいつもより速く移動できる。

次に、東京都心身障害者福祉センター(早稲田大学で一部借用中)に入り、計測実験の部屋で赤外線を用いた3次元位置計測装置、床反力計、日立の歩行支援機、日立の歩行支援機に装着し坐骨で支えて歩行を支援するロボットを紹介していただいた。以下の写真は、3次元計測の部屋で説明中の様子で、中央に見えるのが座骨で支えて歩行を支援するロボット。

沢山ご紹介いただきましたが、写真はその1枚です。左端が説明してくださった研究者の山本(やまもと)さん

 

次に藤江研での福祉関連の研究テーマについて、トレッドウォークの研究者の二瓶美里さんより紹介を受けた。

福祉関研究テーマを説明中の二瓶美里(にへい みさと)さん

 

福祉研究開発におけるテーマで早稲田大学が研究開発を行っていることと藤江研の課題の紹介(パワーポイントを使ってその一端の説明を受けました)

 早稲田大学で行っている福祉関連の研究

  ・歩行支援機

  ・電動車いすの燃料電池

  ・点字・触知図の改良

藤江研究室ではロボット技術を活用して寝たきり高齢者の自立を目指す歩行支援を研究中で、東京都心身障害者福祉センターの場で実験や、福岡ロボット特区で長時間歩行計測実験を行っている。

 

参考:東京都心身障害者福祉センターと早稲田大学がスクラム!
  ロボット技術を福祉機器開発に応用

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/soumu/news/0402/0402_2.htm

 

次に手術支援ロボットの見学に大久保キャンパスのシルマンホールに移動した。

シルマンホールには生命理工学関係の研究室が入居している。

http://www.waseda.jp/jp/news01/0313.html

 

医療ロボットの研究者の柳原勝(やなぎはら まさる)さん(最初に集合した部屋で藤江教授の隣で挨拶を聞いている写真)

 

柳原さんより「骨から筋肉を剥がす遠隔操作による手術支援ロボットまたは自動手術支援ロボット」の研究の紹介を受けた。作業療法士より具体的な質問があり、より丁寧な説明を受け問題の難しさの一端が伺えた。

次にハンバーグ型MRIを用いた際に用いる手術支援ロボットの研究開発の説明を受けた。ロボットアーム、ロボットアームの先につけるエンドイフェクター(人体に接触、手術する部分)、遠隔操作用コックピットとその操作時のコンピュータシミュレーションソフトエアを見学した。

左端が研究者の川村(かわむら)さんで、遠隔操作用コックピットの説明をしているところ。

 

茶話会

自己紹介で、様々な立場、研究者の方々が参加されたことがわかり、懇談をしているとき、福祉用具の評価やそのためのエビデンスに関し話題が盛り上がった。QOL(生活の質)の評価は様々な観点があり、多くの方々が知恵を寄せないとなかなか適切な評価が難しいことが、聞いていてよくわかった。

理学療法士(PTと略す)などとの協力について、何かあったらきくというのでは、「何か」がエンジニアの目線で見つからなかったときが問題に成り得るので、最初からPTと話をしながらやったほうがよいと、PTよりアドバイスがあった。別な機会に「評価とエビデンス」をテーマに、ワイワイやる機会を設けられたらと思った。

 

                       文責 小野栄一(福祉工学部会平成17年度主査、URLは2006.2.23現在)


福祉工学部会のホームページへ