福祉工学部会見聞録
2005年4月15日(金) 13:30−16:00、福祉工学部会運営委員会にて
場所 株式会社 東芝 研究開発センター
URL http://www.toshiba.co.jp/rdc/mmlab
東芝のマルチメディアラボラトリーを訪問しました。研究開発センターの研究概要の紹介を受け、マルチメディアラボラトリーで実際に3つの技術を体験させていただきました。
1:数秒間の顔の撮影で顔のデータを登録でき、顔を認識する技術。
顔の認識技術はロボットへも応用されており、顔の認識によりドアの鍵をあける装置はすでに販売されているそうです。実際、研究室のドアの開け閉めに使われていました(1)。顔をお手軽に覚えさせられるので、福祉施設や病院、他の科学分野への応用も期待されると思いました。
2:瞳の位置、唇の形を即座に検出する技術。
瞳と唇を検出して、その画像に即座にメガネや口紅、頬紅などのお化粧をしてディスプレイ画面に表示して見せてくれる「デジタルメイク」を体験しました。顔を動かしてもちゃんとお化粧した顔がディスプレイ画面に表示されます。リハビリメイク(2)などで、お化粧するとどのような感じになるのか知る際に有用と思いました。
3:顔の向きを即座に検出する技術。
顔を動かすと、その動きに合わせパソコンのマウスが動きました。顔を振ると左右に、うなずくと上下にマウスが振動し、その動きはスムーズでした。
デモはいずれも普通のCCDカメラ1つとパソコンで実現されていました。体の不自由な人が、魔法のようにパソコン、テレビ、自動カーテンなどの操作ができる日を想像させてくれる技術でした。
体の不自由な人の不便さ解消の目的で最初に作られた技術やモノが、いつの間にか多くの人が一般的に使うようになった例は多々あります。(リモコン(3)、電話、FAX、パソコン通信、ライター、柄の長い靴べらなど)拝見させていただいたマルチメディアラボラトリーの技術もそのように育ってほしいと思いました。
(1)FacePass http://www3.toshiba.co.jp/snis/scd/fps/facepass.htm
(2)リハビリメイク http://www.kazki.co.jp/kazki/make/
(3)テレビのリモコン 社会福祉法人太陽の家[別府市]で、重度障害者のための実験住宅(1969-70)を作った際、テレビを操作できるようにと開発されたものが最初です。そして1971年日本初のリモコン付きカラーテレビが販売されました。
余談ですが、当時のチャンネルはアナログ(ガチャガチャとまわすタイプ)で、日本初の上記製品のリモコンは、ボタンを押すとチャンネルがガチャっとひとつ分だけ回転するというものでした。しかし、回転方向は一定だったそうです。でも画期的でした。(若い人は想像できないだろうなぁ。)
http://www.taiyonoie.or.jp/09_information/information_0301.html
社会福祉法人 太陽の家 http://www.taiyonoie.or.jp/
(文責 小野栄一)