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 会誌・論文誌・出版物
    産業論文抄録 第5巻
 第2号 [論  文]
■ 石炭からのナフサ合成プロセスのための供給原料質量流量計
       森山 峻

 本研究の目的は,移動層重力下降流プロセス,たとえば石油やコークス炭を節減し,石炭ナフサ合成,その水添水素合成,DRI(鐵鉱石直接還元)のような新プロセスの持つ移動層重力下降流のための新しい無侵襲(Non-intrusive)な質量流量計の開発である.筆者は既にPCI(微粉炭吹き込みシステム),RPFI(廃棄物プラスチック燃料吹き込みシステム)を開発した.本論文は来るべき第三次石油ショックとコークス炉更新に替わる本DRI新プロセス開発者のために,本質量流量計すなわち相互相関法S-1,定常状態熱伝達法S-2,PZT-AE法S-3,パルス加熱相関法S-4(特願'97-191970)の特徴を記述する.(2006年2月公開)

第3号 [論  文]
■ Development of a Support Tool for Constructing an Analysis Model for a Stock Portfolio
     日立製作所・高橋信補,宮田 真

 中国のような新興市場では,株式取引の制度改訂や投資判断のための新たなデータの出現などにより,マーケット特性が短期間に変化する可能性がある.このような環境下で,ポートフォリオの分析精度を維持するためには,分析に活用するモデルをユーザが平易に修正,評価可能なことが望まれる.本論文では,このための分析モデル構築支援ツールを開発した.本ツールは,@予め定められた複数の投資指標を柔軟に合成して,分析モデルの説明変数を設定する機能,A複数の回帰手法を利用してモデルを構築する機能,BGARCHモデルなどを活用しモデル推定値を補正する機能,C構築モデルをツールに登録し,そのリスク推定精度を評価する機能など,を有する.ツール活用により,モデルを市場に適応させることができ,分析精度の維持が可能になった.(2006年3月公開)

第4号 [ショート・ペーパー]
■ 音刺激によるカイワレダイコンの生長促進について
     法政大学・坂本憲昭

 植物に受音器官はないが,音刺激による生長の促進という知見が公表され,また,ネット上では野菜や果物などに音楽を聞かせて味を良くするなどの報告をいくつも見ることができる.産業応用の観点からすれば,植物工場において音刺激が収量アップになれば,コスト低減に寄与することが考えられる.しかしながら,音刺激による生長促進の真偽についての定量的なデータは非常に乏しい.そこで本研究では,植物工場の生産品目のひとつであるカイワレ大根を対象に,音刺激を与えることで収量アップが期待できるのか,定量的な傾向をつかむために基礎的な測定を行った.2つの音圧と6種類の周波数で実験を行った結果,音刺激がカイワレ大根の生長に影響を与えることを確認し,周波数と生長長さには左肩上がりの関係が見られること,音圧が高い方が生長を促進することを示した.(2006年3月公開)

第5号 [論  文]
■ 配送センターにおけるマテリアルフロー設計アルゴリズムの開発
     東京大学・安永能子,太田 順,二階堂 諒,村田機械・小林豊和,伊藤富男,東 俊光
     ムラタシステム・田村博文,秋吉正崇

 本論文では,「多品種の製品ごとに決められた量の出庫をリードタイム内に実現する配送センター内での倉庫サイズ,倉庫用クレーン・荷姿変換装置の台数,装置間の製品の流量を求める」配送センターのマテリアルフロー設計問題を扱った.
 多品種を対象とし,リードタイムの概念を組み入れた設計法を提案した.マテリアルフロー全体を,発注がなされてから実際に出庫するまでの時間帯と,出庫が終わってからつぎの発注がなされるまでの時間帯の2つに分け,それぞれを定常フローと見なす複数フローモデルを用いて混合整数計画問題として定式化した.結果として,49種類の相異なるリードタイムに対する導解を5分程度で行なうことができる高速性が得られた.実際の出庫データを入力として検証することで,提案モデルの妥当性を示した.
(2006年6月公開)

第6号 [論  文]
■ 光ファイバセンサによるバグフィルタの寿命予知
   信州大学・島川 聡,日向 滋,鮑 力民,名古屋工業大学・渡辺義見,
   日本スピンドル製造・木嶋敬昌,東京特殊電線・清水秀彦

 近年ゴミ焼却施設などの排ガス問題を抱える多くの施設では,粉塵を含む有害ガス,ダイオキシン及び重金属などを高効率で除去できる優れた方法としてバグフィルタが広く用いられている.バグフィルタは連続運転が可能であるといった利点があり,ゴミ焼却施設,石炭ボイラ排ガス処理など多方面から需要がある.ところがこの集塵機に使用されるフィルタには粉塵による摩耗のため寿命があり,交換時期を誤ると大気中に汚染物質を排出してしまうという重大な事故が発生する.このような事故を防ぐことは社会的要請である.しかし現状では破損を未然に予知できないだけでなく,経験的な周期でフィルタ交換をしていることもありコスト面でも不経済である.
 そこで本研究ではバグフィルタ安全性能向上の一つの試みとして,機内のバグフィルタと同じ環境下にさらされるよう一緒に取付けた光ファイバセンサの摩耗寿命を知って,バグフィルタの寿命を予知する新しい計測法を提案する.光ファイバの摩耗による光の伝送量の減衰特性を種々の流動条件下で調べ,次いでバグフィルタ試料片の摩耗により破損するまでの時間についても同じ流動条件にて調べる.これらの検討から光ファイバが摩耗により破損するまでの寿命時間とバグフィルタが摩耗により破損に至るまでの寿命時間の関係を明らかにし,本計測法が繊維製品であるバグフィルタの寿命予知に有用であることを示す.(2006年8月公開)

第7号 [論  文]
■ ジュール加熱技術を応用した清酒殺菌システムの2自由度制御
     秋田大学・長縄明大,関 健史,秋田県総合食品研究所・秋山美展,
     日本精機・安田基樹,佐々木善幸,渡辺健吾

 清酒は,その製造工程において,一部の凍結清酒を除いて出荷前にすべて加熱処理される.清酒の加熱は,火入れとも呼ばれ,残存する酵素活性の失活と火落ち菌の殺菌がその主な目的である.普通酒の加熱殺菌では,一般にプレート式や蛇管式の熱交換器が用いられるが,吟醸酒などの高級酒では,その香気成分の変化を最小限に抑えるため,ビン火入れと呼ばれる殺菌法が用いられている.しかし,ビン火入れ法では,ビン内壁面と中心部では温度むらが生じ,その作業には熟練度,時間,労力などを必要とする問題点もある.
 そこで,少量でも精度よく加熱ができること,加熱ムラのない殺菌が容易に行なえること,加熱に伴う風味変化がないことなどを目的とし,ジュール加熱技術を応用した清酒殺菌システムについて検討を行なっている.これまで,汎用のディジタル調節計を用いた温度制御について検討したが,殺菌される清酒が変わると電気抵抗率も変わるため,装置駆動時における昇温特性や定常特性にばらつきが生じ,安定した性能が得られないという問題点があった.本論文では,高精度な温度制御を実現するため,清酒殺菌システムの2自由度制御を行なった結果について述べる.(2006年8月公開)

第8号 [論  文]
■ ガス減圧機構直後における圧縮性流体の減速流れの圧力脈動
   東京ガス・横山知章,東京工業大学・王 涛,香川利春

 本論文はガス減圧機構(ガスガバナ)直後における圧力脈動についての実験的研究を述べたものである.圧力及び圧力脈動についてはレジューサ,レジューサに接続された管,エルボの各点で計測された.スロート部(ガバナの出口かつレジューサの入り口部分)の流速が音速に達すると,レジューサ部における負圧の発生と急激な騒音の増加が認められた.30度の広がり角度を持つレジューサに比べ,16度及び8度を用いた場合は,ガスガバナ以降に接続される直管とエルボにおける圧力脈動の発生が少ないこともわかった.16度ないし8度のレジューサを用い,スロート部におけるガス流速が150m/sを超えなければ,圧力脈動は少ないとの結論となった.(2006年8月公開)

第9号 [論  文]
■ A Temperature-Dependent Multi-Rate Robust Controller for Hard Disk Drives
     東京大学・大野敬太郎,原 辰次

 本論文はH∞制御をベースとした磁気ディスクのヘッド位置決め制御技術に関するもので,系統的なロバスト設計が可能であるというH∞制御設計の利点を生かし,実応用で問題となる@温度による機械共振特性変化への対応,Aマルチレート実装(サンプリング周期制約のもとでの性能向上),Bメインテナンスの容易さ,の3つの課題を総合的に解決する一設計手法を与えるものである.設計手順は,まず@温度依存の不確かさモデルの作成とそれに基づくH∞制御設計を行い,AH∞制御器の低周波補償器(固定)と温度依存の高周波補償器への分割し,最後にB低周波補償器を低サンプルレート,高周波補償器を高サンプルレートとするマルチレート実装を行う,という3つのステップからなる.結果として得られる補償器は,@従来採用されている補償器と極めて似た構造となるため実装し易く,Aマルチレート実装により,実サンプリング周期での性能向上が可能であり,さらにB製造ロットの違いにより発生する機械共振の平均中心周波数のずれに対しては,温度依存不確かさモデルを修正し高周波数側の補償器の温度依存特性を変更するだけでよく,H∞制御設計を始めから行う必要がなく,メインテナンスが容易である,という3つの特徴を備えている.上記設計方法により設計された補償器の有効性を,シミュレーションと実験により評価し,良好な結果を得ている.(2006年8月公開)

第10号 [論  文]
■ 路面上に残留する凍結抑制剤濃度の非接触検出手法に関する検討
     名古屋電機工業・山田宗男,谷嵜徹也,上田浩次,名古屋市工業研究所・宮田康史,
     愛知県立大学・安川 博

 冬季における安全走行の確保を目的とした道路雪氷対策として,塩化ナトリウムに代表される凍結抑制剤の散布が各地で行われているが,その散布量は年々増加傾向にあるため,沿道環境への影響が懸念されている.この問題に対しては,凍結抑制剤の散布量を必要最少限に抑えることが重要であり,そのためには路面上に残留している塩水の濃度を正確に把握することが必要となる.本稿はこの問題に鑑み,道路上の塩水の濃度を非接触で検出するための新たな方式に関して検討を行うものである.その方式としては,マイクロ波による反射特性に注目し,濃度に対する反射率特性における極小ピークの変移に基づいて濃度の検出を行うものであり,試験フィールドでの検証結果についても併せて示す.
(2006年8月公開)

第11号 [論  文]
■ ガントリータイプ精密テーブルの精密速度制御について
 東レエンジニアリング・苅北一朗,立命館大学・前田浩一
 
 フラットパネルディスプレイの検査機やスリットノズル・コータの分野においては,近年ガラス基板のサイズが大きくなるにしたがい,ガントリータイプの精密テーブルが一般的になってきた.摩擦抵抗を避けるためにガントリーはエアーベアリングで支えられている.しかし,このことはガントリーのピッチ動作とヨー動作の原因となり,これらは新たな種類の外乱となっている.従って本論文において取り扱われる制御の問題は従来のガントリー制御の問題から大きく異なっている.本論文では,ステージの速度制御に要求される項目が述べられてる.ここではクロスカップリング制御を採用したPID制御が用いられ,速度ノイズと外乱を考慮にいれたパラメータ調整を施すことにより,制御要求を充分に満たす結果が得られことが示されている.更にゲイン切替をクロスカップリング制御に加えることにより,制御結果が大幅に向上したことが述べられている.(2006年9月公開)

第12号 [論  文]
■ 多変量統計解析による回転機械の状態判定基準値の決定法
     三井化学・三笘哲郎,三重大学・陳山 鵬

 生産現場において,回転機械設備の状態を監視・診断するために簡易診断という手法が定着してきている一方で,その状態判定基準値の設定において,さまざまな問題が残っている.本論文では,現場で長年間の簡易診断により蓄積された膨大な量の実データの確率分布について統計理論により解析し,振動値と設備仕様(回転数,動力,軸径)との相関関係を多変量解析法(非線形モデルの当てはめや重回帰分析)により明らかにし,生産現場で効率よく,精度が高い簡易診断の判定基準を設定する方法を提案し,現場の実データで提案する方法の有効性を検証した.(2006年10月公開)

第13号 [論  文]
■ 6自由度マニピュレータを用いたパレタイジング作業のタクトタイムマップによる環境整備
 東京大学・千葉龍介,藤田武久,太田 順,新井民夫
 デンソーウェーブ・植山 剛

 本論文では,パレタイジング作業における,作業時間を短縮するための作業環境を設計する手法を提案する.設計時間が1時間以内である条件化において,パレタイジング作業を行うマニピュレータの位置,パレットの形状および位置・姿勢を適切に設計することにより,作業時間の短縮を可能としている.これら設計対象の適切な値を高速に探索するために,タクトタイムマップを作成する手法を提案し,シミュレーション実験から,従来の経験的な手法に比べ,40%の作業効率向上を確認した.(2007年1月公開)
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