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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.45 No.7(2009年7月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 出力オーバーサンプリングに基づいた閉ループの可同定性と同定性能解析

北九州市立大学・孫 連明,慶應義塾大学・佐野 昭

 本論文では,連続時間雑音の下で,出力オーバーサンプリング手法に基づいた閉ループ直接同定アルゴリズムを考察する.出力オーバーサンプリングにおいて,連続時間確率過程の雑音信号および制御対象の入出力信号の周期定常スペクトル特性を明らかにした.その周期定常スペクトル特性を用いて,オーバーサンプリングした対象の入出力データには同定のための十分な情報が含まれることを示し,外部テスト信号とコントローラの構造に依存することなく,対象の入出力データのみを用いた閉ループの可同定性と対象モデルの次数選定の有効性を示した.また,時間領域と周波数領域において同定誤差の漸近評価式を導き,オーバーサンプリングに基づいた閉ループ同定法の同定性能を評価した.さらに,数値シミュレーションを通して,連続時間雑音信号がある場合における出力オーバーサンプリング手法の有効性を示した.


■ ウェーブレット解析を用いた区分的線形システムのトランジションタイムの推定

徳島大学・柏尾知明,池田建司,下村隆夫

 本論文では,ウェーブレット解析を用いた区分的線形システム(PWLシステム)のトランジションタイム(離散状態の遷移時刻)の推定手法を提案する.いったんトランジションタイムが得られれば,入出力データを離散状態の遷移を含まない連続ダイナミクスに分割でき,それぞれに既存の連続システムの同定法を適用できる.また,離散状態の遷移は微分方程式の切換え,または,連続状態の不連続な変換として表わされ,そのウェーブレット変換は特徴的なパターンとして検出できる.本論文では,まず,離散状態の可検出性を定義し,その必要十分条件を導いた.つぎに,出力信号をトランジションタイムの周りでテイラー展開し,そのウェーブレット変換の特徴的なパターンを明らかにした.その上で,解析パターンに基づいた推定手法を提案し,数値例を用いて提案手法の有用性を示した.


■ 非線形システムに対するモデルマッチング量子化

京都大学・東 俊一,杉江俊治

 本論文では,非線形システムの離散値入力制御を目的として,モデルマッチング型の量子化器設計問題を考え,その解析解のひとつを与えた.そして,制御系において最適な量子化を行うための普遍的な構造のひとつを示した.また,線形の制御対象に対し,量子化器のクラスを線形から非線形に広げたとしても,性能を上げることができないことを証明した.以上の成果によって,一般的な動的システムに対する最適量子化の普遍的構造のひとつが明らかとなった.


■ 遺伝的アルゴリズムによる疑似中間調二値画像からの画像復元

鹿児島大学・古屋 保,森 邦彦

 逆ハーフトーン技法とは,白黒二値の画像から連続階調の濃淡画像に復元する手法である.一般的に,白黒の二値データから8ビットグレースケールのピクセルデータを得るのは容易ではない.これまでさまざまな手法が提案されているが,特に誤差拡散法の線形モデルを元に逆変換を用いた方法は,良い結果を得ている.しかし,この手法は誤差拡散法により生成された二値画像に限定され,ハーフトーンカーネルが既知である必要がある.
 われわれは,与えられた二値データから,ハーフトーンカーネルに依存することなく,原画像に近いピクセル値を探索するこの問題を最適化問題の1つと考え,遺伝的アルゴリズム(GA)を使用した逆ハーフトーン手法を提案する.
 この手法は,推定する復元画像をGAにおける個体と定義し,入力画像から生成した,エッジ領域および,非エッジ領域におけるそれぞれの目標画像と個体とのRMSEをその個体の評価値とした.
 結果として,与えられた入力二値画像から,本手法により高品質な濃淡画像に復元することができた.


■ 時間オートマトンの分解と調整によるフローショップスケジューリング問題の解法

大阪大学・若竹雅人,西 竜志,乾口雅弘

 時間オートマトンによるモデルでは,スケジューリング問題を構成する個々の要素の並列合成を構成することにより,全体として実行可能なモデルを得ることができる.しかしながら,対象とするシステムの規模が大きくなるにつれ,並列合成の状態数は指数関数的に増加し,状態空間爆発の問題が生じる.そこで,本論文では,時間オートマトンの分解と調整によるフローショップスケジューリング問題の解法を提案する.スケジューリング問題を構成する仕事と機械の集合に対する時間オートマトンの並列合成によって表現される最適状態遷移問題に対する分解可能条件を与える.与えられた分解可能条件を用いて,分解アルゴリズムを構成する.このアルゴリズムを用いて,最適状態遷移問題をいくつかの部分問題に分解し,部分問題ごとの最適化を繰り返すことによって,解を調整することにより最適に近い解を得るというスケジューリング問題の解法を提案する.提案手法をフローショップスケジューリング問題へ応用することにより,提案手法の妥当性を数値実験により検証する.


■ 格子状に配置されたRFIDタグ床面を移動するロボットの姿勢推定

早稲田大学・小鷹研理,丹羽治彦,坂本義弘,菅野重樹

 本稿では,床面格子状に配列されたRFIDタグ上のロボットによる自己姿勢推定の手法を提案する.近未来にロボットが住環境に導入される場合,ロボットが自己の姿勢を推定することは,移動を含めたサービスを提供するにあたって基本的な条件である.
 早稲田大学WABOT-HOUSE研究所では,近未来の人間とロボットが共生する住環境を想定した実験空間「人間・ロボット共生ルーム」を設置し,そこに,床下に格子状に配置されたRFIDタグの環境を,将来実現されうる情報インフラの1つのプロトタイプとして整備している.われわれは,類似環境ではこれまで考慮されなかった,タグの配置間隔以上の精度で自己の位置と方向を推定するために,離散的な情報特性であるタグの検出モデルをシグモイド関数でモデル化し,モンテカルロ・ローカライゼーションに適用する姿勢同定手法を提案する.われわれは,まずシミュレーション実験により適切なモデルのパラメータを設計を行った.さらに,これらのパラメータを利用した実機による実験を行い,2本のリーダを適切に配置した場合に,直進時で約50mm/0.1rad未満,回転時で約20mm/0.1rad未満での誤差による姿勢予測が可能であることを示した.また,リーダの配置のデザインに関して得られた重要な指針について報告する.



[ショート・ペーパー]

■ 磁気浮上系に対する非線形最適サーボ系の設計

名古屋大学・藤本理唯宇,鈴木秀俊,坂本 登

 本報告では,磁気浮上系に対する非線形最適サーボ系の設計とその実験による検証を行う.非線形サーボ系の設計に必要なレギュレータ方程式に対しては,磁気浮上系がフィードバック線形化可能であることを用いて厳密解を求める.誤差系の安定化制御則の設計は,ハミルトン・ヤコビ方程式を解いて得られる最適フィードバックを用いる.これには,著者の1人によって開発された安定多様体法を用いた.実験では,定常偏差はシミュレーション通り,線形制御に比べ著しく減少した.過渡応答についても,実験によって非線形最適制御の効果を確認した.


 
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