論文集抄録
〈Vol.43 No.9(2007年9月)〉
論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)
年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)
〃 (会員外) 8,820円 (税込み)
タイトル一覧
[論 文]
[ショート・ペーパー]
[論 文]
[ショート・ペーパー]
[論 文]
▲
■ 電磁波レーダを用いた鉄筋コンクリート構造物のクラック及び空洞の検出
山口大・田中正吾
近年,コンクリート構造物の劣化による事故が多発する中,異常部の速やかな検出が叫ばれている.このようなコンクリート構造物には,トンネル壁のように基本的には鉄筋が含まれない構造物と,ビルディング,橋梁床版を始めとする鉄筋コンクリート構造物とがある.これらに対する非破壊検査手法としては,打音法,超音波法,電磁波レーダ法,レーザ法,赤外線法など各種の手法が研究開発されてきてはいるが,それぞれ得失があり,いまだに安心して使えるものはない.
そこで,著者は先に,対象をトンネルなどのコンクリート構造物に限定し,信号伝播モデルによる有効な方式を開発した.つまり,受信信号をコンクリート表面からの反射波と(もし欠陥があれば)欠陥各部位からの反射波の和に分離し,そのときの欠陥各部位からの反射波の到達時刻と反射波の一次結合係数の符号を用い,欠陥の形態,形状,深度,サイズを高信頼度・高精度に計測する方式である.すでにトンネル空洞探査,線路下空洞探査など多くの対象に適用されている.ところが,ビルディングや橋梁床版など鉄筋コンクリート構造物では,内部に鉄筋が密に配筋されているため,この方式は使えない.
そのため本論文では,まずレーダを単位区間走行させたときの受信信号を平均することにより鉄筋の影響を低減化する方法を講じ,その後で著者が先に開発の信号伝播モデルを適用する非破壊検査法を考えた.さらに,レーダの走行方向も鉄筋の配筋に無関係でよいとすることも検証した.これにより,鉄筋コンクリートといえども,鉄筋に邪魔されずに,電磁波レーダを用いて容易に高信頼度・高精度なクラックや空洞の検査が可能になることを示した.
▲
■ 定在波の直交性を考慮した補強コンクリートパイルの微細多重クラックの高精度検出
山口大・岡本昌幸,田中正吾
土木建設の分野では,地盤改良のため,コンクリート杭が多数土中に打ち込まれる.パイル(杭)の強度向上のための方法として,近年,パイルの表面にケプラー繊維と呼ばれる特別な繊維シートを巻き付ける方法がある.これらコンクリートパイルの強度試験においては,パイルを両側の2点で支持し,その中央で荷重をかけるが,これまでリアルタイムでクラック検出を行う有効な手法がなかったため,除荷後,表面を肉眼で確認する必要があった.
しかしながら,除荷後,ケプラー繊維のためクラックは強く圧着し,拡大鏡でもクラックの有無を検出することはできなかった.しかも,強大な荷重をかけている状態では,リアルタイムに近くで計測・確認することすら大きな危険が伴う.さらに,これまでの方法では,荷重をかけたときのパイル特性だけでなく,荷重をかけ続けたときのクラック発生個数の変化あるいはクラックの成長度の情報も得られない.
このようなことから,本論文では,加速度ピックアップをコンクリートパイルの一端に取り付け,この近くのパイル頭部をハンマー等で軽く叩くことによりパイル内に生じる弾性波を用いて,微細かつ多重のクラック検出を高精度に行う方法を考える.具体的には,センサ出力を,各クラックに対応する定在波を状態変数とする線形ダイナミックシステムの出力としてモデル化し,これにカルマンフィルタ,最尤法を適用する微細・多重のクラック検出法を提案する.さらに,クラック探索領域を分割することにより,計算時間の大幅低減化を図り,リアルタイム計測化を可能とした.
▲
■ 加速度・音センサを搭載した点検ステップによるエスカレーター異常診断
三菱電機・蔦田広幸,平位隆史,三菱電機ビル・伊藤 寛,志賀 諭
エスカレーター点検作業の最適化と保守品質の向上を目的として,加速度および音センサを搭載した点検ステップによる異常診断手法を提案する.エスカレーターは,構造物の容積が大きく点検部位が多数存在しているため,点検作業の効率化が難しかった.本手法では,点検ステップを周回させて測定することで,一式のセンサにより広いエリアの点検を可能とし,作業時間を短縮化できるという利点がある.本論文では,点検ステップにより測定された加速度および音信号から,複数の統計特徴量を算出し,エスカレーターの状態を指標化する方法を提案する.つぎに,正常時と異常模擬時において,統計特徴量に差異が見られることを,実測結果に基づいて示す.最後に,複数の正常エスカレーターから得られた統計特徴量に基づいて判定閾値を定め,正常・異常判別を行った場合の診断性能について評価する.
▲
■ コンクリート構造物の診断・評価のための鉄筋および配管の位置・径推定と材質弁別
東工大・高山潤也,田中隆行,
NTTファシリティーズ・早川 輝
東工大・大山真司,大学評価機構・小林 彬
コンクリート構造物の安全性診断・評価に対する関心は,耐震偽装問題を契機に日々高まりつつある.その構造的な欠陥の診断・評価には,コンクリート部材中での埋設物の位置・形状・材質など内部断面状態を非破壊的に測定する技術が必要である.本論文ではマイクロ波レーダ技術を基盤とし,部材中で低深度に存在する鉄筋や配管の位置・径推定精度と材質弁別精度を高める測定方法の実現について検討した.はじめに,反射時刻の同定精度を低下させる表面波と反射波干渉の影響を規範表面波の差し引き処理を追加して抑制し,相互相関包絡線法における埋設距離推定と反射位相値による材質弁別精度を向上させた.続いて埋設物境界面に着目して反射波の時間的拡がりを抑制する境界面モデル適応度を提案し,再構成像を鮮鋭化して垂直分解能を向上させ,埋設物の正確な位置・形状推定を実現した.さらに図形検出法を応用し,得られた境界面像情報から埋設物の径推定を行う方法を提案した.コンクリート試験体を用いた実験では,位置推定の高精度化と実用上十分な材質弁別精度を実現できると共に,実用面で有効性が高い金属管の概径推定が可能であることを確認し,コンクリート構造物の安全性診断・評価においてその信頼性を飛躍的に向上できる可能性を示した.
▲
■ A Method of Improving SCR for FM-CW Radar
Kanazawa Inst. of Tech.・Fumio NISHIYAMA,Hideo MURAKAMI
FM-CW(Frequency-Modulated-Continuous-Wave)レーダにおいてSCR(Signal-to-Clutter Ratio)を向上する手法を提案する.FM-CWレーダの異なる搬送波周波数における目標からの受信信号(目標データ)は一般にクラッタデータよりも強い相関をもつ.この統計的性質の違いに着目して提案手法では受信データのみからSCRを向上するマッチドフィルタを設計する.まず受信データから数値平均によって異なる搬送波周波数における受信信号の相関関数を算出する.つぎに受信信号の相関関数から目標の相関関数を推定する.そして目標の相関関数を離散フーリエ変換して求めた目標パワースペクトルに基づきマッチドフィルタを設計する.60GHz帯FM-CWレーダで取得したデータに基づき目標データをMA(Moving Average)でモデル化し,設計したマッチドフィルタの効果を理論的に解析した.さらに計算機シミュレーションにより,その動作を確認した.
▲
■ 高速増殖炉用抵抗方式ナトリウム温度計測システム
東大・山ア弘郎,慶應大・本多 敏,
日原研・上田雅司,故遠藤昭,横河電機・笛木 学
高速増殖炉は炉心かの熱出力密度が著しく高いため,冷却材として高熱伝導率の液体ナトリウムが使用される.炉の運転に重要な冷却材温度を管路外側から計測する新しい温度計測手法を開発した.その理論的解析,数値シミュレーション,試作検討結果を述べる.原理は管路壁を形成するステンレス鋼とNaとでは,比抵抗と温度係数の差が大きく,後者の温度係数が高く約4倍,比抵抗が低く約1/7であるのを利用して管路を横断する定電流を管壁から流したとき,管壁の電位分布が比抵抗の低い管路内の電流分布を反映することを利用する.管壁における電位計測からNaの温度が求められる.
高速増殖炉「もんじゅ」において,1本の熱電対温度センサのさや管が破損したためにNaが漏洩して火災が発生した.本方式は温度センサが管路壁を貫通しないでNa温度を管路外から高速応答で連続計測できるので高速増殖炉の安全性を一層高めることを目的とする.試作した結果200〜500度の範囲で±5℃の不確かさで計測可能であることが実証された.「もんじゅ」が停止中であるため,3次元解析により「もんじゅ」の実管路に本温度計を設置した場合の推定を行った.
[ショート・ペーパー]
▲ ■ 水中音観測による航行船舶の監視
海上技研・今里元信,桐谷伸夫,樋富和夫
沿岸部の重要施設において,不審船等を早期探知するためには,重要施設の沖合海域に海上監視システムの構築が有効である.これにより重要施設の安全を守り,安心を確保することができると考えられる.そこで,これまでにも海上を航行する船舶を探知し,識別する技術の開発のためにセンシング技術に関するさまざまな研究が行われてきた.
本研究では,水中音観測により接近する不審船等を早期に探知し,識別する装置の開発を試みている.ここでは航行船舶の水中音の観測と解析を行った.その結果,船舶ごとに異なる周波数特性をもつことから,航行する船舶の識別が可能であると考えられる.また雑音除去処理を行うことによって,強調された船舶のみの水中音を推定できることを示した.
本研究で開発している海上監視システムの機能・技術は,密漁監視等にも活用できると考えられる.さらには警備重点海域に広く設置することにより,密航・密輸監視その他の領海警備,ゴミの海上不法投棄取り締まり,海賊船監視など広範な他分野への展開が可能である.
[論 文]
▲
■ アンダーサンプリングによる正弦波のパラメータ推定法
小山高専・久保和良
アンダーサンプリングされた信号標本のエイリアシングを積極的に活用して,正弦波の周波数,振幅など4パラメータを推定する手法を示した.具体的には,わずかに異なる3種類のサンプリング周波数で正弦波をアンダーサンプリングしてエイリアシングを求め,3種類の推定周波数がサンプリング周波数の微小変化により変動する量から,エイリアシングの超過係数と変移方向からなるサンプリングモード情報を6通りの場合分けによって求める.
この手法をProny法と組み合わせて数値実験を行ったところ,約50[kHz]のサンプリングによって0.6[GHz]を超える周波数の正弦波を,そのサンプル値のみから再現できることがわかった.また周波数推定値についてはProny法の推定分解能よりも3〜5桁ほど高い分解能の推定が行えることがわかり,これらの理論的な考察を述べた.実用化に向けて,サンプリング周波数のドリフトによる影響を数値実験と理論をもとに考察した.
提案した手法によれば正弦波の高周波計測が安価なA/D変換器によって実現されるので,計測器のコストを下げることができることを述べた.
▲ ■ 符号化開口と半導体ガンマ線検出器を用いた小型ガンマカメラの設計と開発
群馬大・伊藤直史,
安西メディカル・内山浩志,竹内康直,
群馬大・大竹英則
符号化開口と半導体ガンマ線エリアイメージセンサを組み合わせたハンディな小型ガンマカメラを開発した.このカメラは乳癌の診断を目的とし,99m-Tcを核種とする点線源の深さを含めた位置情報を,線源の3次元分布画像として出力するものである.再構成アルゴリズムにはML-EM法を用いている.符号化開口による投影データのモデル式をガンマ線カウント数の統計的雑音と斜め入射の影響を考慮して導出し,これに基づいてML-EM法を適用する方法を示す.エリアセンサはCdZnTeの16×16画素のもの,符号化開口のパターンはM配列を用いた.与えられた要求仕様から符号化開口システムを具体的に設計する手順を示す.この手順に基づき,符号化開口を鉛アンチモン合金の厚さ1mmの板に1mm径の孔をピッチ1.5mmで,7x9M配列にしたがって開けて作製した.開発した小型ガンマカメラの基本性能を確認するために点線源を用いた再構成実験を行い,深さを含めた位置が再構成できることを示す.
▲ ■ アクチュエータの切り替えによる自己修復制御
九州東海大・高橋将徳
安全性・信頼性に対する社会的関心の高まりから,不慮の故障に対処可能な耐故障制御の重要性が増している.本質的に,故障によって失われた制御系の安定性は,故障した箇所を適切に修復することによって回復することができる.ただ,そのためには,故障の有無を自動的に検知する故障検知器が必要となる.ところが,既存の故障検知器は,オブザーバやモデル予測器などを利用しているため,それらの構造は制御対象の次数に依存して非常に複雑なものになる.
そこで,本論文では,上述の故障検知器を用いる代わりに,微小な試験信号と1個の積分器を利用してアクチュエータの故障を検知し,これにもとづいてアクチュエータを切り替え,交換(修復)する,自己修復制御法を提案する.この方法により,制御対象に関する事前情報を不要とする故障の検知と修復が実現可能となる.
本論文では,まず,具体的な自己修復制御系の構成を示し,さらに自己修復制御(故障の検知と修復)が確実に実行されることを理論的に示す.また,数値計算を行い,提案手法の有効性を検証する.
▲ ■ IDA-PBC 法による 3 自由度劣駆動平面マニピュレータの制御
愛知県立大・伊藤正英,戸田尚宏
本稿では,2階の非ホロノミック系である第3関節が非駆動の劣駆動平面マニピュレータに対して,Interconnection and Damping Assignment Passivity Based Control (IDA-PBC) 法の適用による状態フィードバック制御系の構成を試みる.
適当な座標の選択と大域的な入力変換によりマニピュレータの port-Hamiltonian (PH) 表現を与える.この PH システムに対して IDA-PBC 法が適用可能な条件を明らかにし,閉ループHamiltonian 系の慣性行列およびポテンシャルエネルギ関数の設計によって制御則を具体的に与え,命題としてまとめる.得られた制御則に関し2種類の制御問題を通じて数値実験によりその有効性を確認する.
[ショート・ペーパー]
▲ ■ ハイブリッド制御における有限オートマトンの時系列ベーストモデリング
北陸先端大・小林孝一,東工大・井村順一
ハイブリッドシステムのモデル予測制御(MPC)問題は一般に混合整数二次計画(MIQP)問題に帰着されることが知られているが,MIQP 問題は離散(0-1)変数の次元に対して,計算量が指数関数的に増加する問題点を抱えている.したがって,MIQP 問題における0-1 変数の次元が低減されるように,ハイブリッドシステムを表現することが望ましい.とくに,有限オートマトンのような離散ダイナミクスに対して,少ない 0-1 変数でどのように表現すればよいかという問題は非常に重要であるが,このような観点からの研究はこれまでほとんどなされていない.本論文では,著者らがこれまでに提案した有限オートマトンの最小表現をさらに拡張した時系列ベーストモデリングという手法を新たに提案する.有限オートマトンの最小表現では,任意の初期モードに対する(0-1)入力変数の最小性を議論していたが,モード遷移拘束の時系列は,初期モードに応じて異なっていることから,各時刻のモード遷移拘束を直接,モデリングすることが望ましい.これにより,有限オートマトンの最小表現を用いた場合より少ない 0-1 変数の次元をもつ MIQP 問題に,MPC 問題を帰着させることが可能となる.最後に,提案手法の有効性を数値例によって示す.
▲ ■ 通信容量の制約をともなう外乱抑制
京都大・新銀秀徳,太田快人
本稿では,一次システムについて,通信容量の制約をともなう有界振幅外乱の抑制問題を考える.一般に,制御対象と制御器の間の通信容量と制御性能の間にはトレードオフの関係が存在する.すなわち,通信容量を削減するほど達成可能な制御性能は低下してしまう.本稿では,このトレードオフの関係を定量的に求めることにより,通信をともなう制御系の性能限界を明らかにする.通信容量はビットレートにより評価し,制御性能は振幅により評価する.このとき,最適な制御性能は,状態の予測誤差を符号化して送信し,受信した符号語にもとづいて状態を復元する観測方法と,予測値をもちいて状態を打ち消すための入力を生成する制御方法の組合せにより達成することができる.
▲ ■ あるクラスの参照信号に対する追従性能限界の解析
大阪大・岡島 寛,浅井 徹
制御出力と参照信号との偏差を考え,そのL2ノルムの下限値を解析的に求めることが従来より行われている.このような下限値を求めることは制御対象と達成しうる制御性能との関係を知る上で有効である.しかしながら,従来研究では,ステップやサインなど,特定の参照信号に対する下限値が個別に求められていた.そのため,制御の難しさが制御対象に起因するものか,参照信号に起因するものかが明らかでない.
そこで本研究では,より広いクラスの参照信号を統一的に考え,それらの信号に対する過渡性能の下限値を求める.得られた結果より,追従性能限界に対する参照信号の寄与を陽に与えることができる.最後に具体例を用いた結果の検証も行う.
▲ ■ 人間の指タップ運動計測を目的とした磁気センサの較正法
広島大・島 圭介,閑 絵里子,辻 敏夫,辻 徳生,
日立製作所・神鳥明彦,宮下 豪,
大阪大・横江 勝,佐古田三郎
パーキンソン病や脊髄小脳変性症などの神経疾患を診断する際の検査には,指のタッピング運動(以下,指タップ運動)がよく用いられる.本論文では,人間の指タップ運動計測を目的として,電磁気学に基づく磁気センサの較正法を提案する.磁気センサは2つのコイルから構成され,電磁誘導により誘起する検出コイルの電圧はコイル間距離に応じて変化する.そのため,計測される出力電圧と距離の関係をモデル化することで,コイル装着時の指先間距離に応じた出力電圧を推定することが可能である.
本論文では,まず出力電圧と指先間距離の関係を非線形方程式として導出する.そして,一次近似を用いて非線形較正式を線形較正式に変換することで,計測した指先間距離に対応する出力電圧から線形最小二乗法により較正式のパラメータを推定可能であることを示す.提案法を用いた実験結果から,被験者ごとに計測したわずか3点の計測点で出力電圧と指先間距離の関係が算出できることを明らかにするとともに,高速カメラを用いた計測結果と比較することにより,提案法の計測精度を確認する.また,提案較正法を用いた磁気センサにより,パーキンソン病患者,健常な高齢者,男子大学生の指タップ運動を計測し,その特徴を定量化できる可能性を示す.
[ショート・ペーパー]
▲
■ 連立型代数リアプノフ方程式を解くための勾配法に基くアルゴリズム
広島大・向谷博明
本論文では, 連立型代数リアプノフ方程式を解くための勾配法に基くアルゴリズムを提案する.
従来研究で提案された2つの勾配法に基くアルゴリズムを考慮することにより,
新規なアルゴリズムが得られる. 得られたアルゴリズムは, 連立型代数リアプノフ方程式を構成する行列と同じサイズの記憶領域しか必要としないため,
クロネッカ積に基く直接法と比較して, 大規模な次元及び未知数を伴う連立型代数リアプノフ方程式でも解を得ることが可能であるという点から非常に有用であると考えられる.
また, 提案されるアルゴリズムは行列の和・差・積のみの演算で計算可能である一方,
逆行列の計算を必要としないため安定した計算が可能である.
|