見聞録:ケア工学ハッカソン 2020-1
ケア工学ハッカソン 2020-1
日時:2020年1月18日(金)15:00~16:00
場所:慶應義塾大学看護医療学部校舎301教室(神奈川県藤沢市遠藤4411)
今回の講習会は、医療や福祉の場、生活の場、さまざまな場で意識的にも無意識にもなされる行為であるケアについて、ケアの直接的な担い手である医療従事者と工学者が共に医療現場での課題を見つけ、解決策を多角的な視点から検討することを通し、協働することの意義や、コミュニケーション力を培うための新たな教育的取り組みです。
本会を通じ、「ケア工学」の可能性を広げるための「ハッカソン」に取り組みました。
また、ハッカソンに先立ち、「呼吸器疾患」に着目し、病院から生活の場に戻るためのリハビリテーションと訪問看護について2名の講師にお話をいただきました。
・講演1 心臓リハビリテーションにおける患者管理
国際医療福祉大学三田病院 理学療法士 千葉一幸先生
心疾患患者は、基礎にある動脈硬化や心停止というリスクがある中で、適切なモニタリングをし、心臓リハビリテーションを進めます。本講義では、この心臓リハビリテーションのエビデンスとなる要素や、安全な運用のための管理などの基礎知識を学びました。また、在宅で生活している人々においても、適性なモニタリングが大切なことが示されました。講師の実践知により、患者に寄り添いながら、患者への動機づけ、勇気づけも大切であることへの理解が深まりました。
高齢患者の増加という背景も踏まえ、早期からの呼吸・循環動態の変化への対応や、病院外での多職種での連携の重要性など、異分野の関係者が心臓リハビリテーションに関わるうえで考えるためのキーとなる知識について述べられた。
・講演2 慢性呼吸器疾患を抱える利用者の安全、安心した在宅生活の実現にむけて ~計測器の活用と看護師のアセスメントをのせて~
株式会社ウェリナ 世田谷事業所 所長 安藤正子先生
1980年代当初、呼吸器疾患のある患者は、入院を余儀なくされました。病院内のみ利用できた機器が、次第に生活の場でも使われるようになり、在宅での療養が可能となりました。このような経験とともに専門性を深めた講師からは、地域ケアシステムの構築の現状や課題や、訪問看護について基礎知識を学びました。訪問看護は、生活の場での支援であり、利用者の生活を大切にして、暮らしを広げる支援という特徴が示されました。また、慢性呼吸器疾患を抱える利用者の生活の特徴や、安全で安心して生活するための重症化の予防や早期対処の必要性について、説明を受けました。
最後に、訪問看護の場へ多くのテクノロジーが導入される状況が示され、医療関係者とエンジニアからなるチームによるケア工学ハッカソンをはじめるにあたってへの導入がなされた。
・
1グループあたり4-5名で計3グループに分かれ、アイスブレークを行いました。
企業でのブレインストーミングの経験のあるメンバーがファシリテータとなり、各グループの医療従事経験者から現場での困りごとについての経験談を聞きました。
あがった課題について質疑を行い、この解決にむけ、工学系大学の大学院生と学部生が技術のアイデアを出しあいました。
また,最後に各グループで集めたアイディアの発表と批評が述べられました。
(文責:大西・藤井,画像:本間)