SICE九州フォーラム2019
【プログラム】総合司会 中茎 隆(九州工業大学)
申 鉄龍 氏(上智大学) エネルギー効率の改善は自動車パワートレインにとって宿命的な課題である.現代の自動車にとってシステム制御技術のこの課題への貢献は益々大きくなっているが,モデリングの難しさや不確かさがゆえに,パワートレイン最適化制御手法の構築は容易ではない.本講演では,オンライン学習と最適化手法からのアプローチを紹介する.まず,オンライン学習と最適化理論の基礎について述べ,極値探索手法,マップ学習,GPRに基づく学習・予測や非線形最適制御問題の学習ベース近似解法など最近の理論動向を自動車エンジンとハイブリット自動車動力システム制御への応用例を講演者自身の研究事例を交えながら述べる. 矢入 健久 氏(東京大学) 動的なシステムの挙動を観測データから数理モデル化することは,工学,科学から経済学にいたるまで多くの分野において非常に重要なテーマである.特に,制御工学においてはシステム同定問題として長年にわたって研究されており,対象システムの特性に応じて多くの方法論が確立され,また,現在も発展している.一方,近年大きな注目を浴びている機械学習の分野においても,大量の時系列データから動的システムを学習する方法が盛んに研究されている.特に,最近では深層ニューラルネットワーク,ガウス過程回帰などの機械学習技術と組み合わされて,対象や応用の範囲を拡大している.本発表では,システム同定と動的システム学習との関連性を俯瞰した後,動的システム学習の手法を,(1)最尤法アプローチ,(2)スペクトルアプローチ,(3)ニューラルネットワークアプローチ,の3つに分けてそれぞれの基本的考え,理論,代表的手法を紹介する. 河原 吉伸 氏(九州大学) 飛躍的な計測技術・情報インフラの発展を背景に,データ駆動による科学的知識の抽出が近年様々な領域において重要な課題として認識されている.柔軟な統計的モデリングや逆問題へのアプローチを与える機械学習は,このような場面でキーとなる枠組みとして機能する.これに関連して本講演では,多くの科学・工学分野において重要となる,データを用いた動的なプロセスの解析に関して,力学系の作用素表現と機械学習に基づいた研究について紹介する.近年,力学系の作用素表現に基づく解析,特にクープマン作用素を用いた解析は,その汎用性や物理的概念とのつながり,また動的モード分解などの推定法の発展もあり注目を集めている.動的モード分解は,非線形性が内在する多次元時系列データから,固有の周期性と減衰率を持つモードへの分解を計算する方法として,当初は流体力学分野で提案された.その後,力学系のクープマン作用素を用いた表現との関係を数理的に議論することができることが明らかになり,最近では,当初本方法が提案された流体力学分野に限らず,脳科学や地球科学などの複数の科学領域への適用が進むと同時に,工学的応用も散見されるようになってきている.本講演では,上記のような一連の研究に関連して,力学系の作用素表現の推定問題について着目し,最近の話題を中心に紹介する.また,制御分野における応用事例についてもふれる.この中で,我々が取り組んでいるものを中心に,いくつかの応用事例についてもふれる. SICE九州支部ホームページへ戻る |