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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.48 No.11(2012年11月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

SSI2011特集−人間・社会・自然との調和を目指すシステム・情報技術−
[論  文]


[論  文]

■ 追従運転時における車間時間の違いによる脇見時間への影響と追突警報の効果

日本自動車研究所・安部原也,筑波大学・伊藤 誠,日産自動車・山村智弘

 先行車追従時に脇見運転が誘発されるような状況において,脇見時間が先行車との車間時間(THW)に応じてどのように異なるかは必ずしも自明でない.THWの取り方と脇見運転との関係を明らかにすることは,追突警報の設計にも有用である.なぜなら,追突警報は脇見などのディストラクション状況において有効であるが,その有効性はTHWの取り方と脇見時間に依存すると考えられるからである.
そこで,本研究では,運転シミュレータ実験により,先行車追従時のTHW,先行車の減速度をパラメトリックに変えることによる脇見時間および減速行動への影響を調べた.さらに,追突までの時間的な緊急性に応じた追突警報による脇見運転時の追突リスクへの影響を調べた.得られた実験データにもとづいて,脇見時間,先行車が減速するイベントに対してブレーキ操作に要した時間と追突リスクとの関係から,追従中のTHWが長いことが,必ずしも安全とあるとは限らない可能性があることを示す.


■ 社会的交渉手法を用いた実仮想融合型生産スケジューリング(第2 報)−仮想システムの生成範囲が再スケジューリングにもたらす影響−

神戸大学・銭 毅,藤井信忠,貝原俊也,上智大学・藤井 進,神戸製鋼所・梅田豊裕

 本研究では,生産現場の変動要素に対し即応性と効率性を有する実仮想融合型生産スケジューリング手法の提案及び構築を目指しており,仮想システムのモデリング技術として,マルチエージェントシステムの概念を取り入れている.本論文では,実仮想融合型生産スケジューリングの運用段階において,マルチエージェントシステムと親和性が高い社会的交渉ベースの組合せオークション手法を適用し,さらに仮想システムの生成範囲を部分要素限定基準の組合せによって変化させ,より短時間で再スケジューリング可能となる手法を提案した.フレキシブルフローショップ問題を対象として計算機実験を行った結果,仮想システムの生成範囲を変更することで,再スケジューリングの実行時間と解の精度のバランスが両立できることを確認した.実生産システムの状況に応じて仮想システムの生成範囲を適切に調整することが可能であれば,短い求解時間で精度の良い解を得ることが期待できる.


■ 分散型故障診断におけるアークの重要度指標を用いたBayesian Networkの構造構築

名古屋大学・山口 拓真,稲垣 伸吉,鈴木 達也

 本論文では事象駆動システムに対する分散型確率的故障診断手法のベイジアンネットワーク構造の構築法を提案する.分散型確率的故障診断手法とは時間付きマルコフモデルとベイジアンネットワークを用いて故障診断手法である.この手法においてベイジアンネットワークは各サブシステムの故障と観測の関係を表しており,そのネットワーク構造によって計算精度は大きく変化する.そこで本論文では各ノード間の独立性を表現した,アークの重要度指標を用いてベイジアンネットワークの構築を行う.最後にPCでシミュレートした自動搬送ラインに提案手法を適用し,その有用性を示す.


■ 予測報酬に基づく個別化による学習分類子システムの学習性能の向上

電気通信大学・中田雅也,原田智広,佐藤圭二,松島裕康,高玉圭樹

 本研究では,報酬の有無により分類子の有効性を識別する個別化に基づく学習分類子システム(IXCS)が,雑音環境下では個別化の識別精度が低下することで学習性能が低下する問題について,予測報酬に基づく個別化による学習分類子システム(PIXCS)を提案した.具体的には,得られる報酬を予測することで,誤って与えられた報酬についても正確に識別し,学習性能を向上させる.PIXCSの有効性を検証するため20-Multiplexer問題(二値分類問題)と3×3Concatenated multiplexer問題(多値分類問題)に適用したところ,PIXCSは雑音環境下においても,IXCSより少ない分類子で高い学習性能を維持し,雑音耐性と一般化能力が向上することをを明らかにした.


■ 環境規制と企業戦略に関する研究

慶應義塾大学・大野文夫,高橋大志

 環境規制が施行されると、対象企業はその規制に従わなければならない。しかしながら、環境保護対策にはコストがかかることから、対象企業は規制に従う以外の戦略をとることが考えられる。本論文では、エージェントベースモデルを用いて、3種類のエージェント(国、企業、消費者)のモデル化および市場環境の構築し、規制に従う企業の活動や消費者の購買行動、また国の動向についてのシミュレーションを行った。分析の結果、(1) 罰則がない場合、常に規制に従う企業が残ることが少ないこと、(2) 企業の戦略の維持期間による影響は小さいこと、(3) 規制の有効性については消費者の購買動向の変化が重要であることなどの興味深い現象を見出した。


■ 自律神経活動評価のための対数線形化末梢血管粘弾性インデックスの提案

広島大学・平野 博大,堀内 徹也,平野 陽豊,栗田 雄一,日本光電工業・鵜川 貞二,
広島大学・中村 隆治,佐伯 昇,吉栖 正生,河本 昌志,辻 敏夫

 本論文では,心電図や動脈血圧,光電脈波といった生体信号を用いて血管状態をモニタリングする新しい手法を提案する.提案する手法は,動脈血圧と光電脈波の関係が2次の対数線形化モデルを用いて表現できるという点に基づいており,血圧変動に依存せずに自律神経活動に関する末梢血管壁の力学特性を1拍ごとに推定することができる.提案法の有用性は位置負荷試験と交感神経遮断術中の血管状態推定実験により検証した.位置負荷試験の結果では,手指の末梢血管の剛性が計測部位の垂直方向の位置変動に依存しないことを確認した.また,胸腔鏡下交感神経遮断術の結果では,剛性が交感神経遮断前に対し遮断手技中に有意に増加すること(p<0.01),また遮断手技中に対し遮断後は有意に減少することを確認した(p<0.01).これらの結果から,提案法を用いることにより,血圧変動に依存することなく自律神経活動に関する末梢血管壁の力学特性変化を定量評価できることが明らかになった.


■ 生体ゆらぎ理論に基づく室内照明の適応的制御

大阪大学・松本裕樹,武村紀子,中村 泰,
鳥取大学・岩井儀雄,大阪大学・石黒 浩

 本論文では同一空間内の全ての人にとって快適な照度空間を構築するための照明の制御方法を提案する.人物などによる照明の遮蔽や外部光の変動により空間内の照度分布は動的に変化するため,照度を目標値にするのは容易ではない.本研究では遮蔽度の推定を行い,照明を生体ゆらぎ理論に基づき制御する手法を提案する.実験の結果,本手法により効率よく遮蔽度を推定し,安定して目標照度に近づけることが可能なことがわかった.


■ 超大規模センサネットワークに適応したセンサデータ収集・分散故障診断アルゴリズム

電気通信大学・服部 聖彦,高玉 圭樹,大谷 雅之,松島 裕康,佐藤 圭二,市川 嘉裕

 本研究では,構成モジュール数が1万以上の超大規模センサネットワークを対処に,センサ情報の集約と分散故障診断を動じに行える新たな手法を提案した.提案手法は大きく,トークンノードによる情報集約,トークンノード間の情報共有,故障ノードの発見と分離,トークンノードの新設からなっており,シミュレーションから構成モジュール数が約1万の大規模システムにおいてもこれらの機能が問題なく動くことが明らかになった.加えて,既存手法の一つであるAdaptive DSDと比較したけ結果,故障診断能力とセンサ情報収集のための通信量の両方において,提案手法がすぐれていることが明らかになった.


■ 自発的な省燃費運転行動を促すエコドライブ支援システム

京都大学・平岡敏洋,クボタ・西川聖明,京都大学・川上浩司,塩瀬隆之

 自動車が排出するCO2の削減に有効な手段の一つであるエコドライブは,従来の運転に比べると複雑な操作となるために,実行するか否かは運転者のモチベーションに依るところが大きい.したがって,エコドライブに対する動機づけを高めるための方策を考えなければならないが,エコドライブに対する動機づけに関する研究はほとんど行われていない.そこで,本研究では動機づけに関する心理学の各種知見に基づいて,運転者に自発的なエコドライブを促す仕掛けとして,1) 運転者の運転技能に応じた目標燃費を提示する,2) 運転者自身の操作によって目標燃費の難易度とシステムの表示内容を選択できる,という機能を有するエコドライブ支援システムを提案し,ドライビングシミュレータ実験により有効性を検証する.


■ 学習進度に基づくマルチエージェントQ学習における競合回避

電気通信大学・市川 嘉裕,高玉圭樹

 マルチエージェント学習環境で起こる競合の原因であるエージェントの学習の進行にフォーカスし,学習進度を評価,共有し,それに応じてエージェントが学習方針を変更することで協調を導くメカニズムをQ学習に導入し,その有効性を検証する.割引率を一時的に変更することで多くの競合から回避できることを明らかにした.


■ ヘッドラインニュースが債券市場に与える影響に関する分析

中央三井アセット信託・山下泰央,上瀧弘晃,慶應義塾大学・

 テキスト情報分析を通じ,ヘッドラインニュースと債券市場の関連性について分析を行なった.分析の結果,ヘッドラインニュースと金利変化の間に統計的に有意な関連がみられることを見出した.更に,テキスト情報を対象とした分析を通じ,分析の際に用いるキーワードのリストが分類精度に大きな影響を与えることを確認した.


■ ニューラルカルマンフィルタを用いた車群走行車両の車速と車間距離の動的推定

日本工業大学・鈴木宏典

 本研究では,車群が追従走行する際の,各車両の車速と車間距離を動的に推定するシステムが提案された.この動的推定システムは,拡張カルマンフィルタ(EKF)及びニューラルカルマンフィルタ(NKF)の両方で定式化され,ともに車群の一部の車両の加速度を直接計測して,車速と車間距離を間接的に推定するものである.EKFでは,状態方程式は車速と車間距離の保存則で,観測方程式は追従モデルで定式化されている.一方,NKFではこれらはすべて人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルで定義され,解析的な式を用いる必要性を除外した.数値計算の結果,幾つかのデータセットでNKFはEKFよりも推定精度が高い結果となり,NKFの非線形性の記述に優れる点が明確になった.しかしながら,データセット数の不足もあり,統計的にはNKFとEKFでは顕著な有意差はあまり見られなかった.今後の課題として,データセット数の増加,車両台数の増加,観測変数の増加等を通じてモデルの改良が必要であることが明らかにされた.


■ 連続状態行動空間を有する問題に対する群強化学習法

京都工芸繊維大学・飯間 等,黒江 康明

 著者らは,状態行動空間が離散値である強化学習問題に対して,エージェントと環境の対(これを学習世界と呼ぶ)を複数用意し,各学習世界が個別並列的に学習するとともに,学習世界間で情報を交換して学習を行う群強化学習法を以前に提案した.しかし,現実には状態行動空間が連続値で与えられる問題が多いと考えられる.そこで,本論文では,基底関数に基づく関数近似法を導入した個別学習を用いることにより,連続状態行動空間を有する問題に対して短時間に最適な方策を獲得する群強化学習法を提案する.このとき問題となるのは,関数近似法を導入することで,先に提案している情報交換法をそのまま用いることができなくなることである.そこで,連続状態行動空間の問題に適用できる情報交換法を新たに提案する.二足歩行ロボット制御問題を例題とした数値実験を行い,提案方法の有効性を検証する.


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