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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.48 No.1(2012年1月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

特集 システムインテグレーション最前線
[論  文]


[論  文]

■ むだ時間を考慮した時間軸状態制御形による非ホロノミック車両の経路追従制御

東京都市大学・門田啓史,野中謙一郎

 むだ時間を含んだシステムの制御は古くから研究され、特に線形システムや厳密に線形化が可能な非線形システムを対象とした制御方法はある程度確立されている。例えば制御対象のモデルを用いて予測を行うスミス法はその代表である。一方、非ホロノミックシステムに対しては、研究の余地は大きい。本論文では、むだ時間を有する前輪操舵車両の制御問題について、時間軸状態制御形を用いた線形化を行い、さらにスミス法を適用したむだ時間補償によって,軌道追従における安定性を改善した制御手法を提案している。他の手法と比較して本手法は、スミス法と線形制御理論による見通しの良い制御系設計が可能になった点が特に有用である。本手法の有効性はビジュアルフィードバックによる移動車両の軌道追従実験により検証している.


■ 超音波センサアレイを用いた新しいナビゲーションシステム

岐阜県情報技術研究所・田畑克彦,産業技術総合研究所・西田佳史,
岐阜県情報技術研究所・飯田佳弘,東京農工大学大学院・岩井俊昭

 製造現場などの無人搬送車に対し,これまで屋内(工場内)の固定された経路を搬送することを想定した磁気や光反射テープによる従来のナビゲーションシステムから,屋内外によらず,容易に経路変更が可能な新しいナビゲーションシステムを提案する.このシステムの特徴は,安価なナビゲーションシステムとなるよう,超音波センサのみを用いていることである.しかしながら,一般に超音波センサは雑音に弱いとされており,この課題に対する対策が必要である.そこで,信号対雑音比を改善するために,空気中ではあまり用いられていないフェーズドアレイ方式を採用し,ランドマーカからの超音波信号により相対的な自己位置を推定する手法を取る.また,このランドマーカは,混信を避けるために特定のIDが割り振られており,該当するIDを受信した時のみに応答するように工夫している.さらにこのシステムは,無人搬送車に搭載することを想定していることから,実装上コンパクトにする必要があるため,年々低コスト高性能化が進むマイコンやFPGAなどの組込技術を適用する必要がある.本論文では提案した試作システムを開発し,その基本性能を明らかにしたので報告する.


■ パワーアシスト搬送を考慮したノッチフィルタ切替法による天井クレーンの遠隔操縦システムに関する研究

岐阜高等工業専門学校・森 貴彦

 近年,クレーンのような振動を有する構造物の振動抑制制御に関する研究が盛んに行われている.クレーンは,搬送の際には慎重な吊り荷揺れ止め操作が求められる.特に熟練したオペレータはその操作を感覚的に行うことが多い.しかし昨今,熟練者が減少しつつあるため,未熟練者に対して制御手法による支援法の確立が重要な課題である.
 クレーンの吊り荷揺れ止め制御を施す場合,フィードフォワード制御やフィードバック制御が提案されている.しかし,フィードフォワード制御の場合,目標値応答,振動励起の抑制などのメリットがあるものの,目標軌道の設定,熟練までのコスト,残留振動などのデメリットがあり,高い位置決めや不定型作業に不向きである.また,フィードバック制御の場合,吊り荷揺れ角の制振性は良いものの,目標値の応答特性が犠牲になってしまう問題がある.
 そこで本研究では,目標軌道はオペレータの意思によって逐次決定されるものとし,新たに厳密に閉ループ特性を指定可能なノッチフィルタを用いた最適サーボ系設計手法およびパワーアシスト機能を用いた位置決め操作支援法に基づいたクレーンの位置決め操作支援法を提案する.本提案支援法により,目標値応答,振動励起の抑制,残留振動の抑制,およびオペレータの直感的な操作が実現できる.


■ 柔軟構造物のパワーアシスト搬送のための制振から位置決めへの切り換え制御手法

豊田工業大学・藤本 勲,名古屋大学・原 進,山田陽滋,
名古屋工業大学・森田良文,ワイテクノ・瀬下 清,豊田工業大学・東 正毅

 本研究では,柔軟構造物をパワーアシスト搬送することを考え,その際の作業者の搬送中の制振から位置決めへのなめらかな切り換え制御手法について示す.本研究における重要な課題は,目標位置や位置決め時刻が搬送開始時にあらかじめ設定されていない点である.また,センサの一つは,位置決めに重要となる計測を行うが,常に計測できるわけではない.また,目標位置に物体がある場合,位置決めの際のオーバーシュートは衝突を避けるために可能な限り小さくしなければならない.これらの問題を解決すべく,著者らは適応的非定常制御を応用した切り換え制御を考えた.また,制限されたセンサの計測値から目標位置を決定する方法を2種類提案している.提案手法の有効性を示すために柔軟構造物の搬送と位置決めに関する以下の4つの実験を行った.すなわち,1)パワーアシスト搬送のみ,2)パワーアシスト搬送に制振を考慮した制御,3)レーザーセンサを用いて目標位置を決定し,切り換え制御による制振から位置決め,4)制振の特徴を利用して目標位置を決定し,切り換え制御による制振から位置決め,である.実験ならびに対応する数値計算結果から,本問題における提案手法の有効性を確認した.特に,位置決め時にセンサ信号が増える場合は,適応的非定常制御を適用することが有用であることを示した.さらに,最終的には位置決めが制御目標であっても柔軟構造物の制振は重要な役割を果たすことを確認した.提案手法は,目標位置が搬送前に設定されていなくても目標位置への位置決めを実現できることを示した.


■ 磁気粘性流体ブレーキを搭載したインテリジェント制御型歩行車

山形大学・菊池武士,佛教大学・谷田惣亮,
山形大学・田中利昌,小林慧吾,水戸部和久

 現在,リハビリテーションの臨床現場において様々な歩行補助具が使用され,患者や施設入所者の歩行練習が日常的に行われている.なかでも車輪付歩行器(歩行車)は速度や方向性の自由度が高く,有用な歩行補助具である.しかしその一方でバランス不良の利用者や認知機能の低下した高齢者の場合,安全な歩行に介助を要することもあり,単独での使用が転倒などにつながることもある.そこで本研究では,市販の歩行車を基礎とし,磁気粘性流体(MR流体)ブレーキを搭載したインテリジェント歩行車(i-Walker)を開発した.i-Walkerは前方にWebカメラ,車輪に回転角センサおよびブレーキを搭載し,カメラからの環境入力に基づくインテリジェントな運動制御が可能である.本稿では主に,i-Walkerの基本構造と機能,およびカメラ画像処理によるライン追従について述べる.まず,基本機能の確認用に開発した一次試作機(i-Walker1)についてその基本構造と機能を述べる.次に,i-Walker1を実際の福祉施設利用者に使用していただき,確認した問題点等について述べる.その後,上記の問題点を解決するための制御方式の改善と本格的な施設内実験用に開発した二次試作機(i-Walker2)に関して述べる.


■ 収縮型PVC ゲルアクチュエータの位置制御

信州大学・柴垣南,早坂暢,橋本稔

 筆者らはPVC ゲルの駆動特性に着目し,PVC ゲルとメッシュ陽極を用いた収縮型のアクチュエータを提案してきた.この収縮型PVC ゲルアクチュエータは,電場による収縮駆動によって変位を生むため,印加電圧による制御が可能であり,さらに低消費電力であるという特徴を持つことから,幅広い分野への応用
が期待されている.本報では,この収縮型PVC ゲルアクチュエータを制御要素として扱うために駆動システムの動特性を線形モデルで表し,印加電圧による収縮変位の制御則を導き,その有用性を評価した.その結果,提案モデルにより動特性がモデル化できていること,またフィードフォワード項を含むPD 制御
則で位置制御が可能であることが分かった.


■ いちご収穫ロボット「M型3号機」用RTコンポーネントの開発

前川製作所・山下智輝,田中基雅,生研センター・山本聡史,林茂彦,齋藤貞文,
早稲田大学・堀内大介,菅野重樹

 筆者らは生研センター次世代機械等緊急開発事業(緊プロ)の一環で,高設栽培施設で稼動するいちご収穫ロボットの開発を行ってきた.その際,開発施設,収穫ロボット実証農場など場所によってハードウェア構成が変わることから,ソフトウェア側でもこれに随時対応する必要があり,またこれまで参画機関ごとに分担開発してきたソフトウェアの統合を容易にするため,2009年から開発を開始したM型3号機に関してOpenRTM-aist1.0を用いて収穫ロボットの制御ソフトウェアを機能ごとにモジュール化して開発した.開発したコンポーネントは収穫動作シーケンス制御用RTC,アーム運動学RTC,アーム駆動用モータ制御RTC,画像処理RTCなど計9種開発した.本報では開発したコンポーネントの概要,および現地実証試験等を通して挙がってきた問題点などについて論ずる.


■ ドライバの頭位制御戦略の解析と姿勢制御装置への応用

香川大学・藤澤 智,和田隆広,今野寛之,土居 俊一

 本論文の目的は自動車乗員の頭部運動の動揺病低減効果を明らかにし,その知見に基づいて動揺病低減を目指した同乗者の姿勢制御装置を開発することである.先行研究においてSubjective Vertical Conflict theoryに基づく動揺病数理モデルが構築されている.本研究ではこのモデルを用いることにより,カーブ旋回方向へのドライバの頭部傾斜運動には動揺病低減効果があることを示す.さらにその知見に基づいて,ドライバに近い頭部運動を同乗者に誘発する姿勢制御装置を開発し,実験により同乗者頭部ロールが減少することが示されると共に,乗車姿勢の安定化を示唆する主観評価を得た.この結果から提案装置には動揺病低減効果が期待される.


■ 構造物の応力分布に起因した応力発光のパターン検出

産業技術総合研究所・上野直広,小野大輔,
産業技術総合研究所,JST CREST・徐 超男

 応力発光体は、力学的な刺激を直接光信号に変換できる新機能性材料である。特にユーロピウムをドープしたアルミン酸ストロンチウムは強い応力発光を示すが、漸減的なバックグランド放射を伴う。応力発光体を微粒子化し、塗料に混合して構造物表面に塗布すると、構造物の動的な応力分布を応力発光の強度分布として可視化できる。本論文では、応力発光画像が構造物の応力分布を反映し何らかのパターンを伴うことに着目し、バックグランド放射の課題に対応する。応力発光パターンの検出過程は二段階で構成される。まず、隣接する時系列画像間のユークリッド距離と相関係数の二つのパラメータを計算し、応力発光パターン発生をフィルタリングする。次に、フィルタリングされた画像に高次自己局所相関法を適用し、詳細に応力発光パターンの存在箇所を検出する。構築されたシステムについて、供用中の橋梁で計測されたデータを基に、その有効性を検証する。


 
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