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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.47 No.12(2011年12月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

センシングイノベーション」特集
[論  文]

                              [論  文]

[論  文]

■ 複数アジマス偏光イメージの相対的輝度特性を利用した鋼板表面検査技術

JFEスチール(株)・風間 彰,大重貴彦

 鋼板表面の光学式表面検査において課題となる油痕などの過剰な検出要因を除外する目的で,欠陥,油痕跡などの模様,正常部の3種の部位につき偏光アジマス角度方向の反射光強度の軌跡及びイメージの特徴を計算と実験で調査した.結果,3種の部位はそれぞれ異なる反射光軌跡を有することが判った.
 実用化に際しては,特徴的な3種のアジマス角度における鋼板の偏光イメージを正常部で正規化し,抽出されたオブジェクトの極性より,欠陥と模様の識別を行った.
 実際の製造ラインでの検証において,この手法を用いることで過剰な検出を大幅に抑制する効果が確認された.


■ 一般化バーニア効果とRF伝播時間計測への応用

東京工業大学・高山 潤也,高 尚逸,大山 真司

 無線センサネットワーク(WSNs)におけるセンサ端末計測値の有効活用には,計測位置情報が不可欠である.このための端末位置計測には端末間距離情報が必要とされるが,それがRF通信のみに基づき実現できるならば,WSNsへ適した計測法となり得る.本論文ではそのためのRF伝播時間計測を念頭に,異周期の動作クロック信号からバーニア効果を生成し,もとのクロック信号がもつ時間分解能を越える微細な仮想時間分解能を作り出す新たな計測原理・方法につき検討した.すなわち,異周期クロックをもつセンサ端末間で複数回のRFインパルス信号の送受信をすると,ノギスの主尺・副尺間目盛の合致と似た,RF伝播時間に依存する特殊な受信パターンが生成されることに着目して,時間分解能を向上させる.ノギスで知られた基本的なバーニア効果ではクロック間の周期差が仮想分解能を決めるため,さらにクロック周期比が分解能を決める一般化バーニア効果を導出して高分解能を維持したままクロック周波数選択の自由度拡大を図り,実用面での活路を見い出した.試験機による実験では理論通りの分解能を備えた計測系が設計・構築できることを確認し,低周波数の動作クロックが前提のセンサ端末間のRF伝播時間計測において,高い時間計測分解能を達成できる可能性を示した.


■ 二次元通信におけるデバイス位置・方向計測

東京大学・中妻 啓,篠田裕之

 本論文は、二次元通信環境に置かれたデバイスの高精度な位置・方向計測法を提案するものである。二次元通信は薄いシート上で無配線・非接触の通信・給電環境を実現する技術である。高精度な位置・方向情報を提供する機能を付加することでセンサネットワーク、ユビキタスコンピューティング、ヒューマンコンピュータインタフェースなど様々な応用が期待される。本論文で提案する手法は、シート最上層の導体メッシュ層に位置情報を持つ2次元パターンを付与する。これを静電容量センサアレイにより読み取り、センサの自己位置・回転角を取得する。本論文では手法の提案とともに、提案手法を実現するシートおよびセンサを試作しその性能評価を行った結果を述べる。


■ 遷移関係に基づくハイブリッドシステムの近似双模倣

北陸先端科学技術大学院大学・崔 舜星,平石邦彦,小林 孝一

 離散状態システムに対して開発された形式検証をハイブリッドシステムに適用するために,状態空間を領域に分割し,領域間の遷移関係で連続的な状態遷移を近似する離散抽象化手法が提案されている.その一つに,双模倣性を満たすような領域に状態空間を分割する手法がある.しかし,双模倣による領域分割は一般のハイブリッドシステムに対して停止性が保証されていないという問題がある.そこで,本論文では双模倣の近似である遷移近似双模倣を新たに定義する.遷移近似双模倣は遷移関係を近似したハイブリッドシステムの双模倣であり,有限の手続きで求めることができる.このとき,下近似に対する双模倣は到達可能性の十分条件や限定されたライブネスが扱える.また,上近似に対する双模倣は危険状態に到達しないなどの安全性が扱える.そして,下近似と上近似を組み合わせることにより,さまざまな拘束条件に対処可能となる.また,状態空間の分割を一度固定すれば,その分割を双模倣分割とする近似の中で最良なものを求めることができる.なお,時間とのトレードオフではあるが,分割を繰り返せば近似精度を制御することが可能である.


■ Stokes-Dirac 微分と場の陰的なLagrange 表現

理化学研究所・西田豪

 本論文では,集中定数系における,余接束上に誘導されたDirac 構造より導かれる陰的Lagrange系,および,その局所表現である陰的Euler.Lagrange 方程式に対応した,分布定数系における,場の陰的Lagrange 系,および,場の陰的Euler.Lagrange 方程式を導出した.


■ 知能化環境における人の位置観測に基づく通路地図生成と移動ロボットの経路計画への適用

岡山大学・前山祥一,西本雅規,渡辺桂吾

 人とロボットが共存する環境において,ロボットは,安全に課されたタスクを遂行することが求められる.さらに,ロボットは,人の行動の妨げにならないよう配慮して動作すべきである.そこで,本研究では,人頻度地図(Human Frequency Map : HFM)を提案する.HFMは,時間帯毎に,観測された人の位置と頻度をグリッド地図上に記載したものである.人が歩いた経路は比較的安全な経路と考えられるので,HFMの情報に基づいて移動ロボット用の通路地図を作成することができる.提案手法では,ボロノイのアルゴリズムを用いて,HFMから中心経路のネットワークを自動生成でき,さらに,人とロボットの出会いにくさやすれ違い易さを評価することで,人の移動に配慮した経路を計画できる.これら提案手法の妥当性について実環境データを用いた実験を行い検証した結果,HFMから得られる情報が移動ロボットの経路計画に適用可能であることが確認できた.


■ 軽作業用ハンド・アームシステムの開発 円筒回転指先を持つグリッパによる円盤状物体ハンドリング作業

東京工業大学・遠藤 玄,山田浩也,広瀬茂男

 本論文では円盤状物体をハンドリングするためのハンドアームシステムを提案し開発する.開発するハンドは2指の平行グリッパであるが,指の先端部が円筒形状をなしており,ピッチ軸・ヨー軸周りに指先のみ回転することができる.これにより円盤状物体を縦から横,横から縦に置く取り置き動作が可能である.
また自重補償機構と軽量構造材により省アクチュエータ化された軽作業用アームを開発した.これはセル生産現場で使用しうるよう,極力アクチュエータ出力を抑えたアームである.このアームの先端に開発したハンドを取り付け,円盤状物体の取り置き動作を行った.その結果,オープンループ制御であるにもかかわらず,円盤状物体の取り置き動作を連続して繰り返し実現することが出来た.また円盤状物体位置の許容誤差についても定量的に計測した.


■ 小型実験動物のためのバルーン式左心室弾性センシング

大阪大学・東森 充,石井亮平,多田隈建二郎,
金子 真,玉置俊介,坂田泰史,山本一博

 本研究では,小型実験動物の左心室弾性情報の抽出を目的としたセンシングシステムを開発する.ここでは,摘出後の心臓に施行される物性評価試験群の一環として,左心室の組織弾性を物性値で評価する立場をとる.はじめに,左心室の輪切り状検体を内圧制御されたバルーン式プローブによって拡張させ,バルーン内圧と検体ひずみの測定値を用いて検体弾性情報を獲得する手法を提案する.つぎに,バルーン−検体系の力学特性を近似するために二重円筒モデルを導入する.厚肉円筒に基づく検体の力学モデルと薄肉円筒に基づくバルーンの力学モデルを組み合わせることにより,拡張変形前後の幾何学情報とバルーン内圧を計測パラメータとした検体ヤング率の算出式を導出する.つぎに,実験システムを開発し,シリコン検体を用いた模擬実験によって提案手法の有効性を確認する.最後に,ラットを用いた動物実験の結果について,提案手法によって左心室の弾性状態が評価できること,ならびに,正常ラットと拡張心不全ラットの判別が可能であることを示す.また,マウスレベルの小型左心室の弾性が評価できることを示す.


■ 産業用ロボット教示作業支援のための複合情報GUI

京都大学・堀口由貴男,黒野晃平,中西弘明,椹木哲夫,
三菱電機・永谷達也,野田哲男,田中健一

 本研究では,産業用ロボットの教示作業の効率化するための教示作業支援GUIを開発した.まず,パーツハンドリング動作を構成する組付け点の教示作業を詳細に分析し,手段─目的関係の観点から,作業のポイントとなる力─変位関係の情報を特定した.その結果に基づいて力覚センサの導入効果を検討するとともに,力情報を利用した組付け点教示作業における動作点探索プロセスを力学モデルを導入して分析し,教示作業支援GUIにおいて呈示すべき情報要件を抽出した.最後に,作業を確実に遂行するために必要な情報を画面上に配置したGUIを設計し,それが組付け点教示作業の効率化と誤操作率低減に効果があることを被験者実験によって確認した.開発したGUIは,教示対象に固有の特徴が呈示情報を構成していないため,幅広い製品や現場を対象とした教示作業への利用が期待できる.


 
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