論文集抄録
〈Vol.47 No.8(2011年8月)〉
論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)
年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)
〃 (会員外) 8,820円 (税込み)
タイトル一覧
[論 文]
[ショート・ペーパー]
[論 文]
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■ 近傍限比較戦略に基づく異種混合センサスケジューリング
慶應義塾大学・小杉 和也, 滑川 徹
本論文では異種混合センサ群によって移動対象物の観測と目標点までの誘導を行う問題を扱う.この問題は平面上に多数偏在するセンサノードの中から観測に最適なノードを選択するセンサスケジューリング問題である.
本論文ではスケジューリングの際にネットワーク規模に応じて比較ノード数が増加してしまう点に着目し,
この問題に対して観測距離と観測コストを考慮した評価関数を用いることで常に観測対象近傍のノードだけを比較するスケジューリングアルゴリズムを提案する.
そして評価関数が仮定の下で前の時刻で観測に用いたノードを継続的に用いた場合に上限値を取ることを示す.
最後に, 提案した制御側の有効性をシミュレーションと制御実験によって検証する.
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■ 合意形成における発話意味内容と発話ダイナミクスの時間発展
東京工業大学・吉田 誠,横浜国立大学・三宅 美博,古山 宣洋
われわれは社会的な合意形成プロセスの一例として合意形成の会話に注目し、発話意味内容と発話ダイナミクスの両者が合意形成過程に関与しているという仮説のもとで本研究を進めた。その結果、合意形成の会話において発話意味内容と発話ダイナミクスの間に対応する時間発展の構造が観察された。意味的な合意度の増大に伴って、交替潜時の変動の同調傾向が観察された。本研究で得られた知見は合意形成の解明に向けた包括的な研究に役立つものとして期待される。将来的には、合意形成のコミュニケーション支援のためのシステムや人間のコミュニケーションの評価への応用などが考えられる。
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■ アクティブ吸振器付き移動ロボットによる液体タンクの制振制御(液面振動の逆モデルを利用した制振法)
島根大学・浜口 雅史,谷口 隆雄
鉄鋼・鋳造業における溶融金属搬送やパイプレス化学プラントにおける混合液搬送などの液体タンク搬送では,搬送時の液面振動(スロッシング)を抑制し,かつ高速に液体タンクを搬送する自動化が望まれている.本論文では,回転式アクティブ吸振器付き移動ロボットによる液体タンクの制振搬送制御を行うことを目的とする.具体的には,スロッシングの逆モデルを利用したフィードフォワード補償器と最適レギュレータによるフィードバック補償器を併用する手法を提案する.本手法の有効性を,制御シミュレーションならび制御実験により検証し,スロッシングの制振性能が向上することを示した.
[ショート・ペーパー]
▲ ■ ポアンカレ写像にもとづく周期軌道に対する連続なリアプノフ関数
山口大学・新銀秀徳,小河原加久治
ポアンカレの定理は,非線形システムの周期軌道の安定性が周期軌道に対してとった横断面上での離散的な挙動の安定性と等価であることを示すものであり,周期軌道の安定性解析のための有用な道具である.これに関して,横断面上の挙動に対するリアプノフ関数から周期軌道全体に対するリアプノフ関数を下半連続な関数として記述し,ポアンカレの定理とリアプノフ関数による安定性解析を結び付ける結果が知られている.ここでは,システムの状態が横断面と交わるまでの所要時間が横断面上を除く周期軌道近傍において連続であることが利用されている.これに対して,本稿では,漸近安定な周期軌道に対するリアプノフ関数を,横断面上の挙動に対するリアプノフ関数から周期軌道全体に対するリアプノフ関数を連続関数として記述する.ここでは,上述の所要時間に加えて,時間を逆向する場合の所要時間を導入する.これにより,連続関数の範囲でリアプノフ関数とポアンカレの定理を結び付ける.
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