論文集抄録
〈Vol.47 No.7(2011年7月)〉
論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)
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タイトル一覧
[論 文]
[ショート・ペーパー]
[論 文]
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■ 二種の混合ガスの混合比率測定システムの測定精度向上に関する研究
東京工業大学・尹 鍾晧,向後 晃, 川嶋 健嗣,香川 利春
本研究では,二種の混合ガスの混合比率測定システムの測定精度の向上ついて検討をする.精度を向上するため,層流式流量計の粘度計算とベンチュリ流量計の流量係数の補正を提案した.空気と二酸化炭素,空気とヘリウム,アルゴンと二酸化炭素およびアルゴンとヘリウムの4種類の混合気体を使用して,流量および混合比率測定における精度を実験的に調べた.補正の効果によって空気と二酸化炭素では
±8.0 [%] F.S.以内から±4.0 [%]F.S.以内に,空気とヘリウムでは±9.0 [%]F.S.以内から±3.0
[%] F.S.以内にそれぞれ混合比率測定の精度が良くなったことを確認した.アルゴンと二酸化炭素およびアルゴンとヘリウムの2種の混合気体のおいても,精度が±3.0
[%]F.S. 以内であることを確認した.
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■ 確率パラメータを持つ線形系の分散抑制最適制御
名古屋大学・藤本健治,小川空記,太田祐平,神戸製鋼所・中山万希志
本論分では確率変数をパラメータに持つ線形系に対する状態の分散抑制を目的とした最適制御問題を扱う.対象とする系は加法外乱だけでなくシステム行列も確率分布に従い変動するものとする.このような系に対して状態と入力のニ次形式を評価する項に,状態の共分散行列に重みを付けた項を新たに加えた評価関数を考え,状態の平均と分散を別々に評価できるようにする.状態の平均を評価する項と状態の分散を評価する項の重みを調節することによって状態の分散の抑制を達成することができるようになる.また,システムの確率的な可安定性の仮定の下で無限時間の評価関数を最小にする最適制御則も導出する.最後に,数値例により提案手法の有効性を確認する.
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■ 粒子フィルタによるヒステリシスを含むシステム同定
京都大学・益田哲也,杉江俊治
ヒステリシスはその特性が微分不可能で非線形な形式で表現されるため,取り扱いの難しい現象であるが,現実の多くのアクチュエータはヒステリシスを有するため,高精度な制御にはヒステリシス特性の同定が望まれる.従来研究の多くはヒステリシス単体の同定に限定されており,ヒステリシスが別システムと複合している場合を取り扱うことができない.本論文では線形システムとヒステリシスが直列結合した複合システムを対象とし,幅広いクラスのシステムを取り扱える粒子フィルタに着目し,これをシステム同定問題に適用することを考えた.そして,その有効性を数値例およびDCサーボモータによる実機同定によって検証した.
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■ 閉ループ特性に着目した強安定予測制御系
岡山大学・岡崎 聡,西崎 純基,矢納 陽,見浪 護,東京農工大学・Mingcong
Deng
本論文では閉ループ系の目標値応答特性に着目した強安定予測制御系の構成法を提案する.具体的には,一般化予測制御則(Generalized PredictiveControl:GPC)を既約分解表現して拡張したコントローラについて,フィードバックループが切断された時の出力の定常値が,あらかじめ設計したGPC の閉ループ系の出力の定常値と一致する制御系の構成法を提案する.
[ショート・ペーパー]
▲ ■ モデル誤差と安定性に関する一考察
渡部慶二
乗法的モデル誤差がある制御対象(1+ Δ(s))G(s)に対する制御系設計には,モデル誤差のクラスにより,Δ(s)のゲインの最大値で抑えられるモデル誤差に対しスモール・ゲイン定理を基にする方法,Δ(s)の低周波の位相も考慮する方法,1+
Δ(s)のゲインと位相の範囲で抑えられるモデル誤差に対しナイキストの安定判別を基にする方法がある.それぞれに特徴をもった設計が可能である.この中で1+
Δ(s)のゲインと位相に着目する方法では,まだロバスト安定判別が容易と言えなかった.そこで,本稿では,計算可能な安定判別法を与える.
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