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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.47 No.6(2011年6月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 第一原理モデルと同定モデルの状態に基づくツインロータMIMOシステムのモデリング

京都大学・田中 秀幸,太田 快人,川崎重工業・沖村 祐亮

 本論文はツインロータMIMOシステムに対するLPV(Linear Parameter Varying)モデリングを動機とし,第一原理モデルと同定モデルを用いた線形時不変モデリングについて考える.具体的には,第一原理モデルと同定モデルの状態を用いる方法を提案し,物理的構造制約をみたすような連続時間局所モデルを複素領域で得る方法を示す.さらに,構造制約をみたす局所モデルからLPVモデルを求める方法についても示す.


■ I-PD制御器設計のためのプラントモデル低次元化と飛行制御系への適用

防衛大学校・近藤弘幸,越智徳昌

 本論文では,以前に提案したパラメータ空間探索によるプラント低次元化手法よりもより合理的な低次元化手法を伴うI-PD制御器設計手法を示す.この低次元化手法では,まず与えられた制御対象を既約分解平衡化打ち切りし,次にν-Gapを指標とするホモトピー法によって制御器設計用の2次モデルを求める.また,この低次元化手法は,元の制御対象が安定か否かにかかわらず,同一の手順で適用できる.
この手法で元の制御対象との間のν-Gapが小さい2次モデル得られれば,線形最適レギュレータがもつ好ましい特性を与えるPID制御器が設計できる.さらにそのPID制御器は,参照モデルとフィードフォワード補償器とを付加することによって,出力フィードバックモデル追従型制御器に拡張でき,安定余裕を損なうことなく,出力応答を向上できる.提案する設計手法の有効性と有用性を,制御器設計例と計算機シミュレーションによって示す.


■ 磁気センサ型指タッピング装置の再現性評価

日立製作所・佐野佑子,神鳥明彦,広島大学・島 圭介,田村康裕,高木 寛,辻 敏夫,
野田正文,東川史子,大阪大学・横江 勝,国立病院機構刀根山病院・佐古田三郎

 我々は、磁気センサ型指タッピング装置の信頼性を評価するために、その再現性を試験した。本装置は、パーキンソン病や脳卒中等の運動障害の診断支援を行うための装置で、被験者が指タッピング運動(母指と示指の繰り返し開閉運動)を行っている際に二指の間の距離を計測することができる。我々は、ICC(級内相関係数)とANOVA(分散分析)を用いて、@計測日時が異なる場合、A装置が異なる場合、B測定者が異なる場合について、本装置から得られる指タッピング運動の特徴量の再現性を評価した。これらの評価では、3つの指タッピング運動のタスクを右手・左手で計測し、それら距離波形から算出された21個の特徴量を対象とした。その結果、A装置が異なる場合の再現性は、どのタスクや手でも高かった。@計測日時が異なる場合やB測定者が異なる場合の再現性は、一部のタスクでは高かったが、他のタスクでは低かった。また、現在のパーキンソン病の診断基準(UPDRS)で用いられているタスク(出来る限り大きく出来る限り速く指タッピング運動を行う)では、十分な再現性が認められなかったが、他の2つのタスクでは再現性が高いことが分かった。さらに、再現性が高い特徴量は、”総移動距離”(指タッピング運動の全体的な運動量を表す)、”オープニング動作中の最小加速度の平均値”、”クロージング動作中の最小加速度の平均値”(それぞれ二指を開いた状態での筋力の強さを表す)であると分かった。
これらの結果から、本装置の再現性が高さが示された。さらに、運動障害の診断支援をより正確に行うための指タッピング運動の計測条件を導くことができた。


■ 受動体節間関節を持つムカデ型多脚歩行ロボットの接地点追従法による分散歩行制御

名古屋大学・稲垣伸吉,丹羽智哉,鈴木達也

 本論文は,体節間に受動関節を持つムカデ型多脚歩行ロボットの分散型歩行制御法を提案する.本手法は,各脚が前脚の接地した点に接地するというムカデの生物学的知見に基づいており,その動きを分散型事象駆動型制御により実現している.また,先頭セグメントの脚の接地点を適切に配置することにより移動方向の制御と不整地の踏破が可能である.最後に,物理シミュレータ内に構築した20脚のムカデ型多脚歩行の整地・不整地歩行の実験結果を通して,接地点追従法の実現可能性について示す.



[ショート・ペーパー]

■ 最小二乗法による多入力システム同定のための同定入力の生成法

慶應義塾大学・竹中裕司,足立修一

 MISO(Multi-Input Single-Output)システムを FIR(Finite Impulse Response)モデルを用いて最小二乗法により同定する問題を考える。1入出力システムを同定する際の入力に関する条件はよく知られているが,MISOシステムに対する同定入力の生成法に関する研究はあまり行われていなかった。本論文では,一つのM系列信号を用いて MISO系の同定入力を簡単に作成する方法を提案する。そして,その提案法の有効性を数値シミュレーションによっても明らかにする。


 
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